神奈川県水産技術センター メルマガ141

掲載日:2014年2月26日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.141 2006-4-28
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□□研究員コラム
○魚の食性の不思議         (企画経営部 清水 顕太郎)
○寺田寅彦と米神漁場        (相模湾試験場 石戸谷 博範)
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○魚の食性の不思議
                    (企画経営部 清水 顕太郎)

 私は子供の頃から釣りが好きで、今でも(だいぶ頻度は少なくなりましたが)時々釣りに出かけます。

 エサ釣りもしますが、ルアー(疑似餌)を使った釣りもよくします。ルアー釣りは、大ざっぱにいうと「エサに似せたルアー(疑似餌)を使い、魚をだましてルアーに食いつかせて釣り上げる」と説明できると思うのですが、時々「このルアーは魚にとってどのように見えているのだろう?」と思うことがあります。

 エサによく似ている疑似餌としては、虫を模した毛針があげられます(私は毛針釣りをしないので、写真はありません。ごめんなさい)。日本古来の毛針もそうなのですが、西洋の毛針釣り(フライフィッシング)で使われる毛針は本物と見紛うものが少なくありません。また、「ミノー(minnow)」というルアーもあります(写真1)。「ミノー」とは「小魚」という意味ですが、写真を見ていただければ納得していただけることと思います。このような疑似餌であれば、魚がだまされて食いつくこともあるかな・・と思いますが、そうでないものも結構あります。

 エサに見えないルアーには、例えば「スピナー(spinner)」というルアーがあります(写真2)。このルアーは、金属製のボディに回転する羽がついていて、水中を曳いてくるとこの羽が水の抵抗で回転して魚を誘う・・といったものなのですが、「これはいったいどんなエサに似ているのだろう?何かの虫かしら?それとも小魚に見えるのかな?・・・」などとといつも考えてしまいます。

 色についても同様の事が言えます。先ほど小魚に似せた「ミノー」というルアーがあることを書きました。「ミノー」には本物とそっくりな色使いのものももちろんありますが、およそ自然界にいるとはとても思えない色のものもあります(写真3)。ルアーは水中で使うため、水色や光量・光が水中に入る角度・風などの影響で陸上にある時と見え方が異なることは想像できますが、でも、黄色や赤むらさきの小魚って・・・って思いませんか?でも、このような色が特異的に釣れることもあるので、私みたいな単純な人間には不思議でたまりません。

 もし、魚と話すことができるなら、「おまえはどういうつもりでこれに食いついたんだ?」と聞いてみたいです。魚の気持ちがわかれば、爆釣間違いなしだと思うのですが・・・・


写真 ルアーのいろいろ
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p759102.html
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○寺田寅彦と米神漁場 
                   (相模湾試験場 石戸谷 博範)

 寺田寅彦は科学者で随筆家。熊本・五高時代には、その人生に大きな影響を受ける夏目漱石と出会っています。科学者としての経歴は多彩で、気象物理、水産物理、地震研究、航空物理など各分野で活躍しています。

 水産物理に関わると、必ず寺田寅彦の漢字・カタカナ混じりの「網ニ對スル水ノ抵抗ノ研究」を読むことになります。それは、漁具実験の核である「田内の比較則」の重要文献となっているからです。

 この寺田寅彦が全国的名場、米神漁場(現在、小田原市漁協自営定置網 モデル網)に乗船調査をしています。時は明治45年2月10日(土曜)から11日(日曜)、寺田寅彦全集第19巻日記によると、「2月10日(土曜)午後6時30分急行にて小田原に赴く。大敷網見分の為なり。小伊勢屋に泊まる。」「2月11日(日曜)早朝早川に行き漁船にて米神の漁場に至る 網主鈴木善左エ門氏並びに同氏の子息にて漁政課長なる鈴木氏も行く。2回網を上げる。かははぎ沢山取れる。潮流を計る速力、半浬位、少しよふ。正午早川に帰る。河合氏は帰京、独り梅園を見に行く 5時40分の汽車にて帰京す、箱根細工土産に持ち帰る。」と記されています。

 網の抵抗や潮汐の研究に取り組む中で、漁業者の知恵で海中の潮汐や抵抗に順応して張りたてられる大敷網(明治時代の定置網型)に科学者の旺盛な見分欲が働いたと思われます。明治45年は7月に明治天皇が崩御、9月に乃木大将夫妻が殉死、海外では4月に英国サウサンプトンを出港したタイタニック号が西大西洋で氷山に衝突、沈没した年にあたります。

  当時の研究には見当たりませんが、すでに定置網漁業者はブリ時期の急潮を「寒の一発潮」と呼び日常的に恐れを抱いていました。科学と現場の両方の先人が残した知恵を我々は、真摯に学び、新たな発展に繋げて行きたいと思います。

  ことばの説明
田内の比較則 漁網の模型実験をする上での実物と同じ動きを模型に再現する法則
米神漁場 小田原市米神(こめかみ)沖に設置された大型定置網漁場
小伊勢屋 小田原市本町にある伝統旅館、今も繁盛している
鈴木善左ヱ門氏 (財)相模湾水産振興事業団故鈴木二六初代理事長の御父
半浬 0.5ノット=0.25m/sec
大敷網 明治42年から大正11年に真鶴から大磯の沿岸で、張られた網。構造は、魚が入りやすい反面、一度入った魚群が逃げてしまうこともあるので、一日中見張り(魚見)が魚群の入ってくるのを監視しました。

定置網の模型は下記をご覧下さい。 

http://www.agri-kanagawa.jp/sagami/teitimokei/mokei-menu.htm
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[編集後記]

  いよいよゴールデンウィークです。
 この時期は車が渋滞しますので、山や海に出かける際は電車を利用したほうがよいようです。
自然の中でゆっくりとした時間を過し、日頃のストレスを解消したいものです。

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