神奈川県水産技術センター メルマガ142

掲載日:2014年2月26日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.142 2006-5-5

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.142 2006-5-5
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□□研究員コラム
・相模湾試験場の潜水調査は・・・ (相模湾試験場 石黒雄一)
・悲しいアンコウの話   (相模湾試験場 川原 浩)
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○相模湾試験場の潜水調査は・・・
                    (相模湾試験場 石黒雄一)

  試験場の仕事の1つに潜水調査があります。一般に潜水というと“ダイビング”ということですが、仕事でダイビングできて良いな-なんて話も時々聞こえてきます。

   私も試験場に赴任して、初めてボンベを背負って水中に入ることになった時、仕事でダイビングができるなんて素晴らしい仕事だな-なんて思ったりしたのですが、現実はそう甘くはありませんでした。

  仕事ですから水中で様々な作業をしなければなりません。水中の観測機器の汚れをひたすら落したり、ノギスを持って波に揺られながら海藻の大きさを1本1本測定したり、数十キロある試験用魚礁を水中で運んだり、船で網を曳く曳網の改良のために漁具にしがみついて観察したりとかなりの重労働です。また、必ずしも透明度が良いわけでなく、自分の手が見えないほど濁っていたり、濁りのために海底が真っ暗だったりと決して気持ちよいものではありません。さらに、我々水産の仕事で潜るので潜水場所は漁業が行われている場所です。刺網と呼ばれる細い糸で魚を絡める漁具が水中に張られていることもあり、引っかかると漁業者に迷惑をかけるだけでなく、水中拘束といって自分の命にもかかわる事態になってしまいます。

   それでも、水中に潜ることによって目で見ないと判らないことが沢山、ここから得るものも多いのです。体力の続く限り安全に気を配りながら海の中を魚たちと一緒に泳ぎまわりたいと思います。

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○悲しいアンコウの話
                    (相模湾試験場 川原 浩)

 アンコウは、押しつぶされた平たいシャモジのような体形でバカでかい頭に鋭い歯が並ぶ大きな口といったグロテスクでもあるが愛嬌も感じさせる、決して身近ではないが馴染みのある魚である。

  日本で主に食用にされるアンコウは、アンコウとキアンコウの2種類であるが、両者はよく似ており、一部の地域を除き市場などではほとんど区別されていないようである。

  福島、茨城が産地として知られるが、他に青森県、北海道、新潟県、福岡県、山口県で底曳網や刺網で漁獲される。輸入もされており中国や韓国からはキアンコウの鮮魚が、アメリカ、スペイン、フランスなどからはアメリカキアンコウやニシアンコウのむき身や肝臓が輸入されているようである。

  旬寒さが身にしみる12月から梅の花が咲き終わる2月頃までが一般に旬とされ 西のフグ・東のアンコウと言われるほど冬の味覚の横綱格であるが、この時期を過ぎると昔から鮟鱇を皮肉って川柳でも「魚偏に安いと書く春のこと」と読まれるように春になると急に味が落ちる魚とされている。 表題の何が悲しいかというとこの評価の落差である。

  あまり知られていないが、私のいる小田原ではヒラメを対象にした刺網(ヒラメ網)が12-4月頃まで操業され、この網でアンコウ(キアンコウ)がよく漁獲される。しかし、悲しいかな漁獲が増えるのは味が落ちるとされる3月頃からである。

  2月頃までは1500円/Kgの値が付くが3月末には100円-200円/Kgにまで値が下がり、最後は水揚げしないでくれというところまでいくのである。当然、水揚げ量の多寡、鍋という冬の食べ物といういイメージからくるニーズの低下の反映や厳密な品質評価という市場流通の結果であるが、漁師でなくても「そんなぁ-(/_;)」と言いたくなる。 

  嘆いているだけでは仕方ないので、二つの取り組みをすることとしている。

  一つ目は、魚価の良い時期に深場にいるアンコウを漁獲することである。小田原市漁協の刺網部会では、数年前から水揚げ出来なくなったアンコウに標識を付けて放流してきている。その結果4-6歳の小型魚は相模湾を出て西に移動する(一番遠くは高知市で再捕された)するが、大型魚では放流地点の近傍で再捕されていることから値がよい冬にも相模湾内に漁場があると考えられる。刺網部会と協力して漁場や漁獲方法検討等の取り組むこととしている。

  二つ目は、鍋以外の食べ方のPRである。ヒラメ刺網にかかる春先のアンコウについて、鍋以外に普通の白身魚として焼く、煮る、揚げるなど幅広い料理方法があることを消費者に知って頂き、鍋材料というイメージを払拭することが必要と考えている。3月末に小田原市漁協の女性部の協力を得て、唐揚げとあんかけを作ってもらい、朝市で試食のアンケートを実施した。他の白身魚と遜色なく十分に惣菜魚として使える味であり、アンケートでの評判も高く、切り身パックもすぐに完売した。さすがに丸のままでは難しいが、提供の仕方によっては十分な可能性を感じた。

  神奈川の海にはアンコウに限らず先入観や認知度の低さ等から悲しい扱いを受けている恵みがまだまだある。産業施策だけでなく健康面、環境面から地産地消が盛んに言われているが、海有り県の特権として神奈川の獲れたての恵みを食卓にのせて頂ける仕組み作りを目指せたらと思う。


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[編集後記]

  ゴールデンウィークも残りわずかです。
 来週からの鋭気を養うためにも、楽しい休日をお過ごしください。

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