神奈川県水産技術センター メルマガ147

掲載日:2014年2月26日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.147 2006-6-9
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□研究員コラム
○県民の皆さんに認められる成果とは何かを考えること    (企画経営部 鎌滝 裕文)
○未だ生残?在来の丹沢ヤマメ            (内水面試験場 勝呂 尚之)
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○県民の皆さんに認められる成果とは何かを考えること
                                      (企画経営部 鎌滝 裕文)

 水産業普及指導員の成果を県民の皆さんに対して「これが成果です」という形でお見せして、納得をいただくことは難しいかもしれませんが、常に考えていかなければいけないことです。成果をどのような形で見せていくかは、たとえ小さいことでも重要と思います。また、他業種も含めていろいろなところから成果の表現方法や成果へ結びつけていくための鍛錬などを学び取ることができます。ちょっと前に成果について、本来の仕事とは違った側面から考えさせられることがありましたので書いてみたいと思います。

 私は、以前に妻の誘いで劇団四季の演劇を見ました。当時の私には演劇など何の興味もなく、長野オリンピック開会式をプロデュースした浅利慶太氏が率いる劇団とも知らずつまらないものと決めつけていました。また、見やすい席をとるとなると3時間程度の観劇で1万円以上も支払う必要があり、これはかなりのストレスです。私はこのとき厳しく成果を見る立場の人間になったようでした。冷静に考えれば観客の全員が成果をみる立場の人です。つまらなければお客は劇を見に来ないだけです。劇場が俳優さんたちには、ある意味究極の成果発表の場と言えるでしょう。

 実際、観てみると当初の私の思いとは違って、劇の始まりから終わりまでがあっという間でした。一言で評価するのは非常に難しいものがあります。音楽や個々の俳優さんの実力はもちろんですが、演劇に対して何も興味をもっていなかった私に対して、「すごいよかった。また観たい。」そう思わせたという満足感がありました。抽象的な言い方ではありますが、皆さんに満足感を与えるものをわかりやすいイメージで見せていくことは非常に重要なことではないかと私は感じました。

 四季の俳優さんたちはみんな夢をもって劇団の研究所に入っている人が多いことを最近知りました。「先輩からのアドヴァイスは聞き漏らさない」「夢に対しては省エネしない」というモットーなどまさに見習うべき点は多いと思います。四季の俳優さんの実力は非常に高いですが、個人が決して目立っているわけではありません。音楽、アンサンブル、使用する道具、セットなどトータルの組織力ですばらしい劇が完成されています。

 これからはトータルの組織力で成果を見せていかなければいけないと思います。そして四季ファンが汐留や浜松町の劇場へ何度も足を運んで、毎回劇場が満員になるように、県民の皆さんにファンになってもらい、普及指導員個人の成果というよりは、水産技術センターという組織としての成果を認めてもらうような親しみやすい機関を目指すべきであると私は思っています。その一歩として県民の皆さんには、神奈川の漁港や仕事の現場をもっと知ってもらうための情報をどんどん提供していきたいと思っています。
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○未だ生残?在来の丹沢ヤマメ 
                              (内水面試験場 勝呂 尚之)

 丹沢には釣り人に人気のあるヤマメが生息しています。容姿が美しく、釣って楽しく、食べても美味しい。冷たく綺麗な水にしかすめないデリケートな魚ですが、昆虫類や小魚などを食べる肉食魚で、どう猛な面も持っています。一時期は「幻の魚」と言われ、姿を見ることも難しい魚でした。しかし、現在は養殖技術が確立し、大量生産が可能になりました。その結果、漁協や釣り団体による放流が行なわれ、手軽に釣ることができるようになりました。

 しかし、喜んでばかりもいられません。丹沢各地で放流された魚は必ずしも地元の魚ではなかったため、現在の丹沢は産地不明の放流魚ばかりになり、昔から生息していた「丹沢ヤマメ」の生残が危ぶまれる事態となっています。

 そこで、内水面試験場では渓流魚の分布・生態調査を実施し、在来のヤマメについても、採集調査や聞き取り調査を通して、その可能性のあるエリアの特定を行なってきました。今となっては、純度100%の丹沢ヤマメが生息する可能性は極めて低いと思われますが、その血を残すヤマメの存在については期待できます。

 もともと、このエリアは、ヤマメとアマゴの分布境界線にあり、酒匂川水系の河内川など丹沢側にはヤマメ、鮎沢川など静岡県側にはアマゴが生息したと言われます。しかし、ヤマメとアマゴは、種の違いではなく、互いに交雑する亜種関係にあるため、生息域が水系や沢により、きっぱりと分かれるとは考えにくいのです。

  むしろ、分布境界線上に相方の特徴を備えた中間型が存在すると考える方が自然ではないでしょうか。昔から丹沢に入っていた年配の漁協組合員や釣り人の証言では、赤い線が体側に入るヤマメ(あるいはアマゴ)が大昔は普通に見られたそうです(写真1)

 また、隣接する箱根周辺のヤマメは、少し体側に朱斑が入る個体やパーマーク(体側の丸い斑紋)に特徴のある個体も報告され、在来魚の可能性が指摘されています。今回の調査でも、いくつかの支流から特徴のある斑紋を持ったヤマメが採集され、期待が膨らみます(写真2)

 今後は、DNA分析も含めて、これらの魚と東京の奥多摩や山梨県の在来個体群との比較を行い、丹沢ヤマメの可能性を追求していきます。関係の情報をお持ちの方はご連絡下さい。

写真 ヤマメの写真
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p759093.html
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[編集後記]

  今回は稀少となりつつあるヤマメ在来種の話題を掲載させていただきました。 海でも、昔よく釣れていた魚がめったに釣れなくなったとか、砂浜に打ちあがっている貝殻の種類が減ったなどの話を聞きます。 多様な生態系を保全していくためにも、稀少種の存在をより真剣に考えていく必要があるようです。

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