神奈川県水産技術センター メルマガ160

掲載日:2014年2月21日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.160 2006-9-8

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.160 2006-9-8
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□研究員コラム
○密漁 (栽培技術部 照井 方舟)
○あなご学うんちく(2) (資源環境部 清水 詢道)
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○密漁 (栽培技術部 照井 方舟)

 以前このメルマガで「アワビ資源回復計画」についてご紹介させて頂きました(No.139)。

 メルマガ139号へのリンク

        http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582868.html

 漁業者自らが禁漁区を設け、種苗を放流し、適正な漁場管理を行い、親貝を育成、そして、その産卵により減少しているアワビ資源を倍増させようという壮大な取り組みです。

 この取り組みに先立ち、一部の禁漁区で今年3月に種苗放流を行いました。放流後も何度か潜水調査を行いましたが、順調に生残・成長しているようです。

 しかし、5月末に大変残念なことが起こってしまいました。最初からある程度懸念していたことではありますが、この禁漁区のうちの1つが密漁の被害にあってしまいました。漁協、警察、海上保安部の協力により、3人組の密漁者が捕まりました。押収されたアワビ・サザエ類の中には、3月に放流した標識付きのアワビも混ざってました。証拠品として留め置かれた後、漁協に帰ってきましたが、弱っていたので、当センターで一晩養生させた後、私が潜って再放流してきました。

 (写真1 密漁された標識アワビ)

       http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582834.html

 あとで聞いた話ですが、この密漁者は常習で、たびたびこの地でも密漁していたようです。また、この密漁者の他にも数件の密漁目撃情報もあります。せっかく漁業者が禁漁区にして大切に守っていても、他所から来て密漁されては元も子もありません。この計画の成功を信じて調査を行っている私としては、腹立たしい事この上ありません。現場で実際に資源回復に取り組んでおられる漁師さんたちは、もっと口惜しかったと思います。

 調査で潜っていると密漁者が落としたと思われる道具を発見することがあります。また船で航行中も背の立つ位の深さのところで何かを獲ってるらしい漁師でない人を見かけることがあります。結構、身近で密漁が多いことを実感します。

 (写真2 潜水調査で拾った密漁道具)

        http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582834.html

 密漁(漁具・漁法、漁獲サイズ・漁期の違反等)については、メルマガ157号で原田研究員が説明していますので、今回は省略します。

 メルマガ157号へのリンク

        http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582839.html

 密漁者は、次の3つのパターンに分けられると思います。

 まず、一般の方が遊びで、虫捕りや釣りの感覚で、法令違反になるとは知らずに獲ってしまうもの。件数としては一番多いと思います。行政や漁業者が根気よく説明、理解を求めていく必要があると思います。

 次は、密漁を常習とし、利益を得ている者。組織的かつ手口が巧妙または暴力的であったりと、なかなか厄介です。被害額は最も多いと思います。

 3番目は、漁業者自身による密漁。これも許せません。本県ではありませんが、新聞によると今年だけでもC県では漁協組合長らが、A県では漁協役員兼「密漁監視員」らが密漁で捕まっています。また昨年S県では、漁協役員ら43名が漁協ぐるみの密漁で逮捕されています。

 先日、全漁連主催の「海のルール説明会」が県内で開催され、そのお手伝いに行ってきました。親子連れの参加者に海のルール(密漁を含む)の説明のあと、磯遊びと生物の観察を行いました。大変有意義なイベントで、楽しみながら海や漁業に理解を深めてもらえたと思います。このような取り組みを広げ、皆で協力して海と水産資源を守っていきたいと思っております。

 このイベントの時、海上保安部の方が言っておられました。「海で密漁等の不審な人を見かけたら118番へ通報してください」と。あまり知られていないかもしれませんが、警察の110番のように、海での事件・事故は局番なしで118番です。かける必要がないことを祈りますが、もしもの場合に備え、覚えておくことをお勧めします。

 最後に、つい先日、Aテレビで三浦半島の密漁について取り上げており、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、番組の最後で解説者が「被害額が1万円とか10万円とか少額なら逮捕されない」と言っていましたが、これは間違い。量にかかわらず違法であれば捕まります。

 密漁に対し強い憤りを覚えつつ書いていたため、長くなってしまいました。最後に密漁がなくなり、アワビ資源が増大することを切に祈ります。


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○あなご学うんちく(2) (資源環境部 清水 詢道)

 日本全国のマアナゴ漁獲量は、近年減少していますが、おおむね8-9千トン前後です。瀬戸内海沿岸の各府県(兵庫、愛媛、山口、大阪など)と愛知県、島根県、福島県、宮城県などで毎年多くの漁獲があげられています。神奈川県では2-3百トン前後、全国で10番目くらいです。マアナゴの漁獲方法は大きく分けて2つ、ひとつは「底びき網」系、ひとつは「はえなわ」系です。底びき網系は、小型底びき網(兵庫、愛媛、山口など)と沖合底びき網(島根、福島など)、はえなわ系はあなご筒(宮城、神奈川など)、あなご篭(大阪など)にわかれます。神奈川では漁獲量の90%以上があなご筒によるものです。

 さて、このあなご筒漁業ですが、そう歴史の古いものではありません。漁具の主要な材料である石油化学製品(塩化ビニ-ルなど)が大量に、安価に提供されるようになった1960年代以降に発展した漁法です。神奈川県でのあなご筒漁業は、1960年代はじめに横須賀の漁業者グル-プと私たちの先輩職員が協力していろいろな漁法を調査した結果、もっとも有効な漁法であるとして採用されたのがはじまりです。宮城県では、それまでは竹筒の節を抜いて使っていた、といいますが、やはり60年代以降は石油化学製品に変わっていったといいます。

 日本人が全体としてどのくらいの量のマアナゴを食べているか、は残念ながらわかりません。首都圏の巨大な台所、東京中央卸売市場(通称、築地市場)には1年間に4千トンのマアナゴ(活魚、鮮魚、冷凍)が入荷しています。この全部を首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)だけで消費するわけではないのですが、仮にそうだとして、首都圏の人口は全国の約26%ですから、ざっとみて日本人が1年間に消費するマアナゴは1万6千トン、国内漁獲量だけでは不足、ということになります。不足を埋めているのはもちろん輸入です。

 1980年代から中国、韓国、90年代に入るとこれに加えてチリ、ペル-、アルゼンチンなどの南米諸国からの輸入が始まったようです。中国、韓国のものは日本と同じマアナゴですが、南米諸国のものは分類的には全く違う種類で、実はウミヘビの仲間であるといわれています。輸入業者から名前をつけることを頼まれた魚類学の大家が「マルアナゴ」と命名したことで、アナゴとして輸入されるようになり、もともと現地の人は食用にせず、日本に輸出するためだけに漁獲している、という話です。輸入はじめの頃は品質があまり良くなかったけれど、最近は品質が向上していて日本国内で認知され、業者からの引き合いも増えているといいます。値段の安い寿司屋さん(回転系?)のアナゴは南米産かもしれませんね。味がよければウミヘビの仲間でも何の問題もないですが。


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[編集後記]

 9月に入り風もさわやかになり、市場では秋の漁獲物が見られるようになっています。

 当センターホームページでは、「市場を歩く」と題し、神奈川県内各地の漁港の水揚物の紹介等をしておりますので、是非ご覧ください。

http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/ichiba/no174%5B%92%86%91%BA5%5D.html
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