神奈川県水産技術センター メルマガ163

掲載日:2014年2月21日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.163 2006-9-29

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.163 2006-9-29
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□研究員コラム
○また一人の漁師が・・・漁業者の事故に思う (相模湾試験場 川原 浩)
○相模湾西岸のアカナマコ (相模湾試験場 木下 淳司)
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○また一人の漁師が・・・漁業者の事故に思う 
                                (相模湾試験場 川原 浩)

  県に勤めて29年。異動を重ね各地で多くの漁業者と知り合うと共に幾度かの事故による別れを経験してきたが、後で人伝てで知ることが大半で勤務地で直に経験したことは無かった。

しかし、残念なことに今回の小田原勤務で初めて、漁業者が漁に出て、帰ってこないと言う事故が起きた。

 

彼は、タカアシガニやアカザエビを獲る深海カゴやヌタウナギの筒漁業など小田原では皆と違うユニークな漁業を営んでいた。昼休みに港を散歩している時に顔を合わせると笑顔で挨拶をくれ、漁模様や漁具の工夫を熱心に話してくれ、昼休みを超過することもしばしばあった。

 

知らせは9月9日の土曜の朝、彼が所属する漁協の参事さんからカゴが上げ掛けの漁船が発見され、本人が不明というものであった。早速、所属の調査船のスタッフに出動の連絡を取り、漁協に向うと漁協内ではひっきりなしで電話が鳴り響き緊迫した状況が伝わってきた。

港では多くの組合員が捜索のためにスタンバイしており、早出の遊漁船も続々引き返して来た。早速、漁協において海上保安部、警察も含めた発見時の状況、事故発生と思われる前日夕刻からの気象、海象情報等を交換し捜索態勢の打ち合せが行われた。

その後、捜索のため参集した組合員に組合長から状況説明と相模湾沿岸の各地、さらには静岡県の漁船も捜索に協力してくれていることが報告され、仲間のために3日間休漁し組合員一丸となって捜索に当たることが要請された。秋の漁に向けて、また土日とあって多くの予約を受けている遊魚船等各々事情はあろうが、静かに頷く顔があった。

捜索は約50隻の船が港口に横一列に体形を組んで司令船の指示の元、見事な形で始まった。まだ、肌を刺すような暑さの中で、日没近くまで東に西にと何往復もしながら行き交う漁船を眺め、胸に熱いものがこみ上げてきた。

結局、捜索最後の月曜日でも発見することが出来ず、捜索は終了したが、真っ赤に日焼けし疲れ切った顔で船から上がるなり「彼が大好きだった酒やビールを海にまいてきたよ」という声があちこちで聞かれ、皆の無念さが伝わってきた。

仲間を思い懸命の捜索に当たった姿に海の男たちの強い絆を感じさせられると共につくづくライフジャケットの装着の必要性を痛感した。

 

一人操業の彼の身に何が起きたのかは分からないが、このような状況を目の当たりにすると本人の安全のためと言うに及ばず、いざ何か起きたときに仕事も放り出して懸命に捜索してくれる多くの仲間のためにもと思うのである。浮いてさえすればあれだけの体制であれば発見出来たのではないか…。

今週末で3週間が経とうとしている。彼は得意としていた深海で静かに横たわっているのだろうか?心から冥福を祈る。そして二度とこのような事故が起きないことを。


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○相模湾西岸のアカナマコ  
(相模湾試験場 木下 淳司)  
            

 相模湾西岸の岩礁域には冬季を中心にマナマコ(アカナマコ)が多数分布する。近年輸出向けのナマコ買い付け業者が訪れ、相場が急上昇している。漁業者は収入増になったが、乱獲による資源の枯渇を心配する声が漁業者自身から上がった。またマナマコは水産重要種でありながら、未だ資源生態学的知見が乏しい。そこで平成17年度よりアカナマコの資源生態を明らかにして資源管理に役立てる取り組みを開始したので紹介したい。

相模湾沿岸には33種以上のナマコ類が分布し、食用となるものはマナマコの他、フジナマコ、オキナマコである。平成18年3-4月に相模湾西岸の3ヶ所で潜水調査を行い、アカナマコの重量を調べたところ、それぞれ平均397g、298g、203gと大きな差が見られた。漁獲強度の違いは影響していないと推測された。

 最もアカナマコが小さかった場所は、コンクリートブロックを設置した潜堤(人工リーフ)であり、海底の基質の違いが影響した可能性がある。商品価値の低いクロナマコの割合は低く、608個体について調べたところ97%がアカナマコであり、クロナマコは3%にすぎなかった。アカナマコの鉛直分布は水深5-11mで1.9-0.7個体/平方メートルの最大値を示し、5m以浅と11-14mでは0.3個体/平方メートル以下と低密度であった。水深5m以浅については漁獲による減少と考えられた。

 水深11m-14mは岩礁から砂浜帯への移行域であり、アカナマコの生息基盤が少ないためと考えられた。相模湾西岸のアカナマコの密度は、他の代表的産地に匹敵したが、分布する水深帯が狭いため資源量は多くないと考えられた。今後は漁業者との協働による資源動向の把握、資源保護のための生態調査(鉛直分布、繁殖期、稚ナマコの棲息場、夏眠場の把握)、種苗放流による増殖および資源の持続的利用を念頭においた漁業の実施を目指して取り組みを継続したい。

 ところで、これまで私が研究対象とした生物は、クラゲとカジメにナマコ・・・なぜかフニャフニャした奴らばかり。そういうフェチなのかなー?

 

 相模湾西岸のアカナマコ http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582829.html

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[お詫びと訂正]

 メルマガNo.157「磯遊びと規制」の文中、「神奈川県では、川崎市と横浜市の沿岸以外のすべての沿岸域に共同漁業権が設定されていますが」との記載をしてしまいましたが、「川崎市及び横浜市以外の大部分の沿岸には共同漁業権が設定されています」の誤りでした。

 誤解を招く表現で申し訳ありませんでした。

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