神奈川県水産技術センター メルマガ164

掲載日:2014年2月21日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.164 2006-10-6

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.164 2006-10-6
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□研究員コラム
○昨今の漁具開発研究について (相模湾試験場 石黒 雄一)
○「思考能力が低下します・・・」 (相澤 康)
----------------------------------------------------------------
○昨今の漁具開発研究について 
                                (相模湾試験場 石黒 雄一)

 相模湾試験場では、定置網や小型底びき網の漁具改良開発試験という題目でこれまで、様々な試験研究を行ってきました。一昔前までは、漁具試験といえば、どうしたら沢山の魚介類を効率的に獲れるか、といったことが1つの大きな目的になっていたのですが、資源管理という言葉が叫ばれるようになると、どうしたら特定の魚介類を獲らないようにするか、といったことが漁具試験の1つの目的になってきました。どういうことかというと、必要な魚介類だけを選択的に漁獲し、市場価値の低い小型の魚介類を漁獲しないようにして、資源を大事にしようということです。また、日本海で大発生した大型クラゲ“エチゼンクラゲ”のように、網に入ったら厄介になる魚介類やゴミを、網に入らないようにする(漁獲しないようにする)、といった研究も行われています。

 では本来、魚介類を沢山獲ろうと改良されてきた漁具を、どのようにして必要なものだけ漁獲できるようにするのか、ということなのですが、何を目的に漁獲し、何を逃がすかで様々な方法が考えられています。

 一番単純なのが、1つの魚種を対象とした、小さなものは逃がして、大きな商品価値の高い魚介類を選択的に漁獲するという方法です。要は網の目の大きさ(「目合」と言います)を大きくして、小さいものだけが網目をすり抜けて逃げられるようにするのです。一見簡単そうに思えますが、なかなか単純には行きません。魚をサイズで分ける場合、網目を抜けられるかそうでないかは、胴周長(人間で言えば“ウェスト”?に相当)で決まるのですが、魚は鰭などの突起物があるし、柔らかい、網地の方も形が変化するなど様々な要素があり、さらに商品サイズとそうでないものとの胴周長の差は僅かなので、スパッときれいに分けることは難しいのです。商品価値の有る魚介類まで逃がしてしまっては、漁業者に受け入れてもらえませんから・・・。

また、単一魚種だけを狙って漁獲する場合はその魚種だけのサイズで目合を調整すればよいのですが、多種多様な魚介類の中から選択的に漁獲する場合、獲りたい魚介類より大きなものを逃がさなければならないことも出てきます。こうなると網目の大きさだけでは不可能で、魚介類の生息場所(海底にへばりついているのか離れているのかなど)や行動様式を調べて、網を上下2段にしたり、網を部分的に大きな目にしたりといったことが行われています。

獲ることから逃がすことへ、漁具試験の目的は時代とともに変わっていきますが、いかに永続的に水産資源を利用できるか(地先の魚を美味しくいつまでも食べられるか・・・)、このことに少しでも貢献できればと思っています。


-----------------------------------------------------------------
○「思考能力が低下します・・・」
   (内水面試験場 相澤 康)
            

 内水面試験場では、魚の生態調査のために、潜水を行うことがあります。潜水では高圧ガス症や低体温症の障害で思考能力が低下することが知られています。事故が起きないように注意を払っているので、ここまではなりませんが、それでも「思考能力が低下します・・・」、そんなお話を。

重たい潜水器具を身につけて、春なお冷たい湖にエントリー。スーツを着ていても体は芯まで冷えて、手先足先顔面が悴んできます。作業してエグジット。水中では感じなかった体重と装備品の重さがドッとのしかかってきます。そして、次の地点へ。

これを繰り返していると、疲れと冷えのため、段々とボーっとしてきます。調査潜水なので、魚類、尾数、水深等々のデータを取らなければなりません。

私は普段から物忘れが激しいのですが、水中で疲労困憊した状況では、それに磨きがかかります。ほんの数個のデータを記憶・記録することも難しくなってきます。こんな時「我ながら、頭が鈍ってきたなあ」と自虐的に自己観察。

それでも頑張って水中作業を続けていると・・・。私の考えていることは普段からアホらしいですが、水中で疲労困憊した状況では、それに磨きがかかります。水中作業をしていると、ダイバーに興味を持ったブラックバスが寄ってきます。右に行けば右に、左に行けば左についてきて、キョロキョロとよく動く目でこちらの顔を覗き込んできます。バスと目を合わせながら「こいつら賢そうだなあ。芸でも仕込んで見物させたら、金儲けできるんじゃないか」とか、ダイバーには無関心で湖底の泥をバフバフしているコイを眺めていると、「その偉そうな髭を切って、フナ顔にしてやろうか」とか考えつつ「我ながらアホなこと考えているなあ。」と自虐的に自己観察。

疲労や冷えで体が動かなくなり、おまけに頭が鈍ってアホな事を考えるようになったら、無理は禁物。作業終了の頃合です。

パトリック・ロビンソン原作の本格海洋軍事スリラー「キロ・クラス」には、こんなシーンがあります。ロシア最新鋭キロ級潜水艦の破壊を目指す海軍特殊部隊のダイバーが「無理をしないことだ、絶対に無理はしない・・・死にそうなほど疲れきって、短い祈りを唱えながら限界と闘った・・・」。この小説のクライマックスです。私の調査潜水では「無理をしないことだ、絶対に無理はしない・・・死にそうなほど疲れきって、鈍い頭でアホなことを考えていた・・・」でしょうか。

それでも、魚を観察しつつ、「思考能力が低下した・・・」自分を、自虐的に自己観察するのも、中々オツなものですよ。

  -----------------------------------------------------------------
■水総研メールマガジン(毎週金曜日発行)
■配信の変更、解除は、こちらから↓
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/

発行:神奈川県水産技術センター 広報部会
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2311
ご意見・お問い合わせ:fish.415@pref.kanagawa.jp

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。