神奈川県水産技術センター メルマガ169

掲載日:2014年2月13日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.169 2006-11-10

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.169 2006-11-10
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□研究員コラム
○魚の購入から調理までを観察して(2)(企画経営部 長谷川 保)
○日本の漁船は、何でみんな同じようなかたちなのか!(企画経営部 鎌滝 裕文)
〇神奈川県の漁業現場の紹介4 マダイ放流同行記 (企画経営部 鎌滝 裕文)
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〇魚の購入から調理までを観察して(2) (企画経営部 長谷川 保)

前回の(1)の話で、私は魚の種類より鮮度を優先して購入していることを書かせていただきました。今回は、購入後のスーパーのサービス、魚の調理などで感じたことを、とりとめがないかもしれませんがメモにしてみました。

鮮度の良いイナダ1本をスーパーの買物カゴに入れたとき、蓄冷材を持って来なかったと気づきました。早く帰らねばと思い、他の買い物を早めにしてレジの方に急ぐことにしました。レジでの支払いが終わり帰りの通路の途中に無料の蓄冷材を入れているクールボックスが置いてあるのに気づきました。蓄冷材は15cm四方の平たいビニールパック(水を凍らせたもの)です。これが2つまで無料でいただけると書いてあり、これ幸いと思い2つの蓄冷材をいただきました。サービスか行き届いているスーパーだと関心しました。(いつも町はずれに住んでいるので、都会では当たり前かもしれませんが・・・)

その後、自宅に帰り、早速イナダの前処理に取りかかりました。自宅には出刃包丁もありましたが、使い慣れた家庭用の包丁を研ぎ、まず、鱗を取ってから頭を落とし、内臓を取り出してから三枚におろしました。

ここまでは家庭用の包丁で対応できましたが、イナダのあらも無駄なく食べようと思い、あら煮にするため、中落ち(背骨の部分)と頭を適当に裁断することにしました。大きな魚の中骨と頭は、とても家庭用の包丁で切れません。例えば、今回のイナダの背骨は直径7mm程あり、家庭用の包丁を振り下ろしてもなかなかうまく切れません。そこで出刃包丁の出番です。重さもそれなりにあり、出刃包丁で背骨めがけて振り下ろせば「ガーン」と大きな音はしますが、一回で軽く裁断となります。こうして620円程のイナダは、「4人分として十二分な量の美しい刺身」と「大皿一杯のあら煮素材」のできあがりです。

ここまでは良かったのですが、あら煮素材がかなりの量であったため、これを元に家内にぶり大根の煮物を作ってもらいました。しかし、ぶり大根の煮物は、鍋一杯の量となり、これを食べきるのに土曜・日曜の2日もかかってしまい、丸の魚を食べることの良さと大変さを両方味わうことになりました。最も他の料理方法でやればそれぞれの料理の量も少なく、2日にかけて食べることにもならなかったのかもしれません。

前回と今回で魚の購入から調理まで感じたことをとりとめもなく書いてしまいましたが、さて、皆様は、どのように魚を選択し購入して調理をしておられるのでしょうか。第三者的に見てみるのもよいかもしれません。

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○日本の漁船は、何でみんな同じようなかたちなのか! (企画経営部 鎌滝 裕文)

 仕事で浜まわりをしていて、沿岸漁業を営む小型船舶(20トン未満の船舶を法律上小型船舶と呼びます)はなぜ似たような形ばかりなのかとよく思います。営む漁業種類によって、使い勝手を考えるため多少のデザイン上の違いは見られますが、漁業種類が同じ船なら形はみんな似てしまいます。もっと斬新なデザインというか変わった形の船があってもいいかなとも思います。

実は県に入りたてのころ、漁船の登録や建造許可といった業務を担当していました。漁船を建造するのにあたっては、漁船法や漁船法施行規則なる法律でかなり細かいところまで規定されています。魚をとり過ぎないように海の資源を守っていくためにはある程度の規制は仕方のないことなのかもしれません。船の長さと幅の比率、長さと深さの比率、幅と深さの比率をいくら以内に収めなさいという船の外形を制限するかのようなものもありますが、だからと言ってみんな同じような形になるものでもないと思います。

しかし、私の頭の中にすごいデザインの漁船の記憶が1隻だけあります。神奈川県の漁船ではありませんでしたが、今まで見たことがないようなすごいデザインのれっきとした漁船でした。居住区(操舵室と船室)が船体の一番前にあり、居住区の低層部分には応接間のようなソファーセットのある船室、その上層に操舵室がありました。まるでクルーザーのようでした。船体の真中より後の部分は作業スペースになっていました。特にエンジンと推進設備が凄かった。エンジンは外国製で二基あり、推進設備はスクリューではなくジェット推進でした。海上で後進(バック)をかけるのは大変だそうです。いろいろな規制をものともせず、「凄いデザインの船だなぁ。いったい誰が設計したのかな」などと感動したことがあります。

イタリアへいけばジウジアーロやピニンファリーナなんてデザイナーが船舶にも惜しげもなく出てきそうですが、日本ではデザインより実用性重視という感じでつまらない。漁船にも「もっと華やかさがほしい」そんな気がしています。ただ、この職場へ来て、横浜で釣り船を兼業している漁業者から体の不自由な方も釣りを楽しんでもらえるようなバリアフリーの船を造りたいという話を聞きました。

現在のつり船って設備は立派になりましたが、私の知っている範囲ではバリアフリーという配慮がほとんどありません。この漁業者は、今一部を改良して車椅子の方でも楽しめる船にしていますが、こうした配慮も意識せずに自然に取り入れてこそデザインかなと最近思うようになり、見た目の華やかさだけではないのかなと思うようになってきました。

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〇神奈川県の漁業現場の紹介4 マダイ放流同行記 

 今回は、横須賀市東部漁協久里浜支所が行ったマダイ放流に同行させていただきましたので、その様子などを紹介したいと思います。

 マダイは神奈川県で一番多く放流されている魚種であり、同時によく研究もされている魚種です。親から卵をとって稚魚にして育てるといった種苗生産技術がすでに確立している魚種でもあります。神奈川県では多い年で百万尾以上放流しており、ある意味シンボル的な魚でもあります。

 現在、マダイの種苗生産を財団法人神奈川県栽培漁業協会というところが行っています。技術が確立されているからといって、マニュアルどおりにいかないのが、魚類の種苗生産の宿命ともいえます。大前提で読者の皆様にお伝えしたいことは生き物を育てるということは大変であるということです。種苗生産の作業が始まると職員はマダイの面倒をつきっきりでみないといけません。まず、魚が小さいうちは非常に病気にかかりやすく、早期発見できれば水産用医薬品で対応できますが、できなければ全滅ということもあります。薬で対応できると言っても薬事法で使用できる薬が魚種ごとに厳しく決められており対応が難しい部分でもあります。しかも小さい魚の病気の兆候を見抜く力はかなりの熟練が必要とされます。言葉はあまりよくありませんが、ある意味「オタク」になりきる必要があります。そのくらいしなければ魚は育てられないと言うことです。

 わたくし自身もナマコの種苗生産に漁協の研究会と取り組んでいますが、種苗生産する季節を少し見誤ったり、餌の与える量を失敗したり、水槽の掃除を怠ったりして、ナマコの幼生を全滅させた経験があります。仕事の結果はシビアに出るので、かなり緊張感もある職場と言ってもいいでしょう。

 マダイはある程度の大きさになると海上の生簀へ移されます。下記のURLに掲載している写真は、その海上生簀のシーンから始まりますが、ここまでマダイを育ててきた栽培漁業協会の職員の方々の苦労はかなりなものだろうという推測はできます。魚がある程度の大きさになれば餌をどんどん食べます。餌をやらなければいけないので、大量の餌を運ぶためにかなりの力仕事が必要になります。大量の魚を育てるということは、多くの力仕事もしなければならないことになります。

 マダイは神奈川県の沿岸に放流されています。マダイは漁業者よりもつり船のお客さんなどが釣る量の方が多いことが神奈川県では知られています。この日、一緒に放流を行った漁師さんは「釣り船に半分以上釣られても、放流は絶対に必要だ」「マダイを放流しなければ3年でいなくなるだろう」と言いました。何の根拠もありませんが、長年、海で商売をしてきた漁師さんの言葉は、それなりの重みがあります。根拠より説得力がありました。「3年でいなくなれば放流してもマダイは簡単には増えない」「今までそうやっていくつもの魚種が消えてきたんじゃねぇのかな」と言いました。もう、そんなことはしたくないという漁師さんの強い意思を感じました。

 現場の写真や風景なども撮影しましたので、こちらからどうぞhttp://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582819.html

                      (取材:企画経営部普及指導担当 鎌滝)

 (次回は、横須賀市東部漁協浦賀久比里支所浦賀出張所を紹介します。以前に浦賀久比里支所は紹介させていただきましたが、浦賀出張所はまだ紹介させていただいておりません。浦賀(うらが)という地名は歴史的にも有名ですが、漁業も行われております。風景も含めていろいろ紹介していきますのでご期待ください。)

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