神奈川県水産技術センター メルマガ171

掲載日:2014年2月13日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.171 2006-11-24
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□研究員コラム
○ビール瓶の中身を考える (資源環境部 秋元 清治)
○水産技術センターホームページ「市場をあるく」 その二百を越えました。 (栽培技術部 一色 竜也)
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○ビール瓶の中身を考える 
(資源環境部 秋元 清治)

 かつて「地球がもし100cmの球だったら(世界文化社)」という本を読んだことがある。この本では地球を100cmの球に例え、オゾン層の破壊、砂漠化の問題、森林破壊などの環境問題を分かりやすく取り上げていた。海に関する記述でも、地球が100cmの球であった場合、海の平均の深さは0.3mm、一番深い海でも0.9mmの深さしかなく、海水はビール大ビン1本分の量となるなど斬新なイメージで記述されていた。

 地球を100cmの球とすると広大な海もわずかビール大ビン1本分におさまってしまう。このことは地球の大きさに比べて海水の量が思ったほど多くないことを印象づけるが、ビール瓶の中には他種多様な生物が無数に存在し、生息する生物相からみるとまさに海は小宇宙の観を呈している。さらに、陸上生物に比べて海の生物はまだまだ未知な部分が多く、魚類に限っても毎年100種をこえる魚が新種として発見されている。

 相模湾は動植物の宝庫として知られており、魚類では日本産魚類の約6割に相当する1,300種が確認されている。この中には漁業や遊漁による乱獲や海洋汚染、地球温暖化などの生息環境の変化により相模湾からすでに姿を消したあるいはその生息数が激減した魚種もいると思われる。しかし、これら希少種や絶滅種を対象とした研究はこれまでほとんど行われておらずその詳細は不明である。

 これに対して、水域が狭く、海面に比べて生息種数が少ない内水面(淡水)では、稀少魚や絶滅種を含めた生態系の研究が行なわれている。神奈川県でも県内の河川や湖沼で地道なフィールド調査を実施し、これに基づき絶滅や減少が危惧される淡水魚をレッドデータブックに記載している。(レッドデータブックとは絶滅のおそれのある生物種をとりあげ、自然の保護における優先順位を決定する手助けとなる種の分布や生息状況などの情報をまとめた本)

 稀少種や絶滅種を一つの糸口として、我々はビール瓶の中身が変化していることについてじっくりと考えてみるべきであろう。

 (神奈川県レッドデータブックに興味のある方は下記をご覧ください。)

 http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/naisui/fishfile/reddat.htm

 http://nh.kanagawa-museum.jp/kenkyu/reddata2006/gyo.html

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○水産技術センターホームページ「市場をあるく」 その二百を越えました
  (栽培技術部 一色 竜也)

 2004年10月26日、水産総合研究所のホームページに「市場をあるく」コーナーを開設して早2年、この11月1日号を持ちまして二百回を超えました。このコーナは、漁港の水揚げ場で実施の市場調査にて、出会った魚たちや私の所感などを画像と短い文章で綴ったものです。

 2年間で200回ということは、3-4日に1回は現場に出向き、お魚の顔を見ているということになります。この頻度ですから、色々と珍しいお魚にも出会えるチャンスが多いといえます。ここでは少しだけ、印象に残っているものをご紹介します。

 ここ百回分を見ますと、まず挙げられるのが「番外編(2006年3月15日掲載)」の白いシビレエイです。企画経営部の中村さんが掲載しました。アルビノ(白化個体)です。

 アルビノは目立つため稚魚の段階で食べられてしまいますが、シビレエイは胎生魚で10cm前後の稚魚で生まれるので、生き残ったのではないかとしています。私は実物が見られず残念でした。

 「その百三十九」には小田原魚市場のアサヒガニが登場しました。九州南部でよく漁獲されるようですが、相模湾では珍しいです。

 「その百四十五」には柴漁港のタイラギを掲載しました。東京湾では久しく水揚げがみられなかった貝です。このほかにトリガイ、アサリ、ミルクイ、ナミガイ等、貝類が多く登場するようになりました。少しずつ環境が蘇ってきているのでしょうか。

 「その百五十五」では小田原魚市場のアカグツが登場しました。深海性の魚です。小田原魚市場ではこの他にホタルイカやチカメキントキなどの水揚げもあり、陸地から沖に向かって急激に深くなる海底地形の漁場特性を感じさせました。

 「その百九十三」では佐島漁港のリュウキュウヨロイアジを掲載しました。魚市場の職員さんから「この魚はなに?」と聞かれたのですが、即答できませんでした。所に帰って調べてみると、リュウキュウヨロイアジではないかということが分かりました。リュウキュウという名前のとおり南方の魚で、相模湾への出現初記録は山田(1990)が報告しております。相模湾ではかなり珍しい魚とのことでした。

 こうした例は「その百八十四」に登場したキスジヒメジにも言えます。こちらは従来の分布は高知以南とされていましたが、相模湾からの発見報告は1989年です。相模湾は黒潮の影響を強く受けるため、南方系の魚がしばしば移入します。海の環境が変化して南方系の魚の分布が広がったとするのは早計ですが、やや気にしていく必要があるでしょう。

 この他多種多様な魚介類が登場しましたが、分量が多くてとても紹介しきれません。本編(水技センターホームページ)でご覧いただきたいと思います。

 また、「その百六十」から本ページの強力な掲載者として企画経営部の中村さんが加わりました。知識の豊富さやお魚好きについて私なんかとても敵わないです。また違った観点で興味深い情報を掲載されることと思います。今後ともご愛顧よろしくお願い申し上げます。

「市場をあるく」で登場してきた魚介類達
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/pic_171.html
「市場をあるく」
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/ichiba/
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