神奈川県水産技術センター メルマガ176

掲載日:2014年2月13日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.176 2006-12-29

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.176 2006-12-29
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□□研究員コラム
〇30年来の長患い「マダイ」      (栽培技術部 沼田 武)
〇あなご学うんちく(3)        (資源環境部 清水 詢道)
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○30年来の長患い「マダイ」      (栽培技術部 沼田 武)

 相模の海には多種多様な魚介類が生息し、これら海の恵みによって多彩な漁業が営まれているとともに、多くの人たちが四季を通じて遊漁を楽しんでいる。

 かくいう当方もこの海に面した小さな漁村に育ち、幼いころから地先の磯や砂浜で遊び興じ、ボートで沖に漕ぎ出せるようになってからは、手軽に楽しめるシロギスを手始めにして、アジやイサキ、カワハギなどを狙って、季節ごとの旬の産物を賜ってきたが、あることを契機にして、それ以後今日まで延々とマダイを追っかける羽目に陥った。

 30年来のターゲットであるマダイとの馴れ初めは、昭和30年代以降の高度成長期に発生した四大公害病の後、東京湾においても水銀やカドミウムなどの重金属やPCBによる漁場汚染が確認されたのが発端である。当然のことながら、水産生物への蓄積、生物濃縮が懸念され、これら有害物質の含有量調査を実施するにあたり、対象生物の一つとしてマダイの検体が必要になった。

 そのころのマダイは、職漁船の対象魚であり「エビタイ(テンヤ)釣り」と呼ばれる伝統的な釣法により漁獲されていたため、名人と謳われていた横須賀市佐島の老漁師に頼み込んで、東京湾や相模湾の主だった漁場で釣ってもらうことになった。その際、漁船に同乗したい、邪魔をしない程度に真似事をとの願いを聞き入れてくれたが、朝3時起きで本牧の餌問屋までサイマキを買いに行き、佐島に取って返しての出漁は慌しかった。

時期を変え、漁場を替えての釣行であったが、最初のうちははなはだ難儀な釣りで、潮が速かったり水深があると仕掛けのテンヤが底に着いても判らない、タナ取りができない、餌を盗られても判らないのないないづくしで、魚が触った、小せえ、でけえと釣り上げるのは、細い道糸を熟練した技量で操る老漁師。

しかし、習うより慣れろで、しばらくすると指先に伝わる微妙な重さの変化が、底立ちだ、餌盗りが寄っている、マダイの魚信だと判るようになり、検体集めの終わるころには名人とそこそこの釣果もあった。

その後、この老漁師にはプライベートでも2-3回お世話になったが、船代はともかく餌のサイマキがべらぼうな値段なので、金の切れ目が縁の切れ目となった。

それからしばらくたって、サイマキよりも格段に安い冷凍アカエビでも釣りになるという耳寄りな情報を聞き込み、うちの沖でもまずめどきなら顔が拝めるのではと、ある朝早く沖に漕ぎ出していったのが長患いのもと。本命のほかにクロダイやイシダイ、スズキまでも。

それからは、休みのたびに朝まずめ、夕まずめを狙って出漁していたが、やがて、揺れるボートで長時間の神経集中が苦痛になり始め、こりゃあ娯楽や趣味の域を超えて過酷な重労働だ、身が持たねえやとの思いが強くなった。

ちょうどその頃、釣りに革新的な影響力を及ぼした南極オキアミが登場し、さらにはマダイ資源の保護・増大を目指して、相模湾や東京湾に種苗の放流が開始されてから、マダイ釣りは一変した。

それまでの、御大尽が漁船を雇って遊ぶような高嶺の花であったマダイが、オキアミ餌によるコマセ釣りという釣法の普及によって大衆化され、誰もが気軽に楽しめてそれなりの釣果が上がるようになり、遊漁船は多くの釣り客で賑わうようになった。

「悪女の深情け」ではないだろうが、「渡りに船」とでもいえるこのコマセ釣法を早速試したところ、昼間でも釣れる、寝ながらでも釣れるこの上もない釣り方で、折り曲げても入り切れないたびにクーラーが大きくなっていった。

手を替え品を替えて、足掛け30年もの長い間良い思いをしてきた。ところが、ここ1-2年は満足に顔を見なくなった。

厳寒に、一日中竿がピクリともしなくても、それなりに充実感は味わえるのだが、沖に行けばマダイが届くと思っている輩に言い訳をするのが億劫になってきた。

そろそろ年も変わるころであり、お払いして大漁祈願をするか。

にわか信心ではご利益もあるまいが。

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○あなご学うんちく(3)      (資源環境部 清水 詢道)

 マアナゴが丸のまま手に入った場合、食べるにはおろさなくてはいけません。関東ではマアナゴは背開きにするのですが、頭を右側にしてまな板(木製!)にのせて目串というのを打ちます。これはウナギを開くのと同じだと思いますが、体が長いために目串を打たないと固定しにくいからです。まして活きのいいアナゴですとニョロニョロニョロニョロ、大変です。

 目串は、長めの釘でもいいですし、千枚どおしでも十分です。胸ひれの少し頭寄りに包丁を背骨まで入れて、背骨に沿って尾のほうに開いていきます。片側が開けたら、今度はその位置のままで、はじめに包丁を入れたところで背骨を切断し、やはり背骨に沿って包丁を尾にむかって開いていきます。背骨をとり、頭を切って、皮についている粘液を包丁でこそげとり、身を水洗いして内臓などを取り除いて、さあできあがり!

 でも、今の普通のご家庭では、こんな手間はかけられませんよね。木のまな板のないご家庭も適当な包丁(この場合は少し小ぶりの出刃包丁)のないご家庭も多いでしょうから。魚屋さんで開いてくれるでしょうし、ス-パ-などでは開いたものを売っています。また、横浜市漁業協同組合柴支所では、漁師さんが開いた新鮮なマアナゴをUパックで販売しています。送料がかかりますが品質、鮮度は保証付き、産地直送、グルメ向きかも。「是非江戸前のマアナゴを!」とお望みの方、お問い合わせは横浜市漁業協同組合柴支所まで。電話は045-701-8182です。

 「東京中央卸売市場(築地市場)では年間約4千トンのマアナゴを取り扱っている」というのは前回に書きましたが、4千トンの内訳は活魚が3千2百トン、鮮魚が6百トン、冷凍が3百トンといったところで、築地市場は活魚主体の取り扱いです。価格も活魚が一番高くなっています。

 一方、大阪ではマアナゴは加工が進むほど価格が高くなるそうです。活魚をよろこぶか、加工が進んだものをよろこぶか、食べ方や客と料理人のかかわり方を含めて、関東と関西の食文化の違いがマアナゴの価格にも表れているのかもしれません。ただし、築地市場でも最近は活魚、鮮魚、冷凍の価格差が小さくなってきていて、関東のアナゴ食文化が変わってきているのか、と考えさせられます。回転系の寿司屋さんが増えていることと、もしかしたら関係があるかもしれませんね。

 おいしいアナゴが食べたいけど、どこへ行ったらいいの?というお問い合わせが時々あります。確かに、東京湾はマアナゴの生産地で、横浜、横須賀の漁港では多くのマアナゴが水揚げされています。また、神奈川県が制定した「かながわの名産百選」には「横浜のアナゴ」が入っています。でも、どこへ行ったらいいの?という疑問を私も持っています。品目だけを選定するのではなく、買えるところ、食べられるところもあわせて情報提供していかないと仕様がないですよね。
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