神奈川県水産技術センター メルマガ177

掲載日:2015年6月19日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.177 2007-1-5
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□□研究員コラム
〇あけましておめでとうございます(所長 今井 利為)
〇ホシガレイの話        (栽培技術部 原田 穣)
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○あけましておめでとうございます      (所長 今井 利為)

 新年あけましておめでとうございます。 新春にあたっておめでたい「マダイ」の話をします。

 マダイは慶事に用いられてきた魚として日本人に珍重されてきました。 神奈川県においては、鎌倉時代に摂津、和泉から熊野、伊勢を通して足利末期(少なくとも弘治元年、1555年以前)に相州横須賀付近に蔓網(かずらあみ)という漁法が初めて伝えられ効率よく漁獲されるようになりました。

 特に、江戸の開幕に伴い食料需要の増大があり、幕府が漁業生産を保護、奨励し、漁業が発達しました。蔓網は武蔵本牧村、相模野比などにおいて盛んで、西国から漁民が押し寄せ、大魚、小魚を獲り尽くしたといわれています。

 タイ延縄は相模では慶安年間(1648-1651)に三浦の漁民が真鶴村の浜辺に漁労小屋を建てて、九月から翌年五月までの間、相模湾の早川沖から伊豆山沖で操業していて、明治13年における三浦郡南下浦町松輪村では鯛縄が行われていました。

 江戸幕府は祝宴の際に駿豆、相武、上総などから大量の活タイを納めさせましたが、江戸表に送る際には御用の幟、提灯を掲げた「押送船」や「活船」を仕立てて輸送し、江戸近くの「御圍場」に蓄養されました。タイ?(箕船)と呼ばれる蓄養の生簀が相州浦賀、泊浦、武州神奈川に設置されていたそうです。

 このような漁獲、蓄養、輸送方式が江戸時代にできあがり、1時に1万尾の活タイが運ばれ、明治時代には静岡、神奈川、千葉の3県で3,700トンもの漁獲が記録されています。

 現代の栽培漁業でも年間3県を合わせて、毎年約300万尾のマダイの種苗が放流されていますが、漁獲と遊漁を合わせた捕獲量は多く見積もっても400トン前後とみられ、明治時代と比較すると1/9に減少しています。

 江戸時代から昭和の初期までは、天然のマダイの資源は現在と比較すると10倍以上と推定され、マダイの幼稚魚が育つ藻場、干潟が広大に広がっていて、資源の再加入が補償されていたものと思われ、自然の偉大さを改めて感じる次第です。

 人間は便利な生活を追及し、自然を失ってしまいました。水産資源の減少は、自然を失った結果でしょう。失った自然を取り戻せば、自然が帰ってくることは間違いありません。幸福とは便利だけのことでしょうか。時間をかけ、手間をかけ、自然に逆らわず、生きていく生活をすることはできないのでしょうか。

 こんな初夢をみました。

 最後に今年の大漁と皆様の健康と安全を祈念して、新年のご挨拶といたします。

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○ホシガレイの話      (栽培技術部 原田 穣)

 ホシガレイ(星鰈)という魚をご存知でしょうか。当センターへ見学にこられる方のほとんどが「初めて見る」とおっしゃいます。私自身も、水産系の大学を出ているにもかかわらず、県に就職して初めて知った魚です。

 ホシガレイ(学名Verasper variegatus)は、カレイ科マツカワ属の魚で、本州中部から九州あたりまで、かなり広く分布するとされています。大きなもので全長70cmくらいまでになり(ただし雄はそこまで大きくなりません)、かなり立派な体型になります。

 普通に飼育していると、成長の早いものではだいたい1年くらいで全長20センチを超えますが、不思議なことに、海洋深層水で飼育した場合、2倍近い成長速度になります。しかも、ふつう雌が成熟して採卵可能となるまでには少なくとも3年はかかるとされるところ、海洋深層水で飼育した場合、1年で採卵可能な個体が出現します。

 また、和名は、無眼側(目のないほう)の背びれや尻びれ、体幹部に黒い丸い模様が星のように散在することから名付けられました。一方、有眼側は蛇の皮のような斑模様がついています(学名はこのことに由来します)。

 なお、ホシガレイは地方によってはマツカワとも呼ばれますが(体表の斑模様が松の皮を思わせるからだとか)、同じマツカワ属でホシガレイによく似ているマツカワという魚もいます。こちらは、ホシガレイより北方の岩手県や北海道周辺の海域に分布しています。

 ところで、一般にカレイというと、から揚げとか煮付け、干物が定番ですが、ホシガレイは刺身が一番のようです。肉質はきれいな白身で、ヒラメより旨み成分が多く、しかもヒラメのような歯ごたえがサクにしても数日持続する上、カレイ独特の臭みがなく、一度食べたら忘れられないほどの美味です。

 また、前出のマツカワとホシガレイのどちらがうまいか?ということについては、両魚種の研究・生産を手がけている方の話によれば、わずかな差でホシガレイのほうに軍配が上がるそうです。

 ちなみに、カレイは種類によっては生きている状態でもかなり強烈な悪臭がするようで、私も、以前サメガレイというやや深い海にすむ種類のカレイの採卵を試みたことがありますが、卵を搾り出そうと魚を抱えたところ、なんともいえない異臭が鼻をつき、吐き気を催しながら作業を続けた記憶があります。

 なお、現在、当センターではホシガレイの種苗生産事業に取り組んでいます。以前、神奈川県でもホシガレイは東京湾を中心に年間数トンの漁獲がありましたが、今ではほとんど漁獲されなくなってしまいました(しかも、漁獲される魚のほぼ全てが当センターで放流したものです。)。

 このすばらしい実力を持った魚が、ただ消えていくだけというのは非常にもったいないと思います。神奈川で獲れる魚の底力を示すものとして、ぜひ復活を図りたいと考えています。

 ホシガレイ画像(当センターホームページ)

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430693/p550048.html
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