神奈川県水産技術センター メルマガ178

掲載日:2014年2月13日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.178 2007-1-12

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.178 2007-1-12
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□研究員コラム
○スミヤキ    (相模湾試験場 中川 研)  
○チョウセンハマグリを増やす取り組み    (相模湾試験場 櫻井 繁)
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○スミヤキ    (相模湾試験場 中川 研)

  スミヤキと聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?真っ先に黒いカラスのような魚を思い浮かべた貴方は、昔から小田原近辺に住んでいた方か魚好きの方でしょう。

 標準和名をクロシビカマスと言い、神奈川県でも小田原などでは、スミヤキ、横須賀の長井などではナワキリ、三崎ではガランチョ、ダツなどと呼ばれている魚です。クロシビカマスというよりも、スミヤキ、ガランチョと言った方が分かる方が多いと思います。スミヤキの詳細については、水産技術センターHPに載っています。(下記URLからどうぞ。)
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/Sakana/Misc/Sumiyaki/

 この魚、横浜などの大消費地では、お目にかかることが少ない魚ですが、大変美味しい魚です。私は、神奈川県の茅ヶ崎で育ち、小さな頃から海や魚に親しんでおりましたが、この魚を知ったのは、恥ずかしながら水産の仕事をするようになってからです。最初の出会いは、三崎で普及員をしている時に漁業者の方から「ダツ」を干物にして直販したいと聞いたときです。ダツという魚は別にいるのですが、図鑑や資料を見て調べるとクロシビカマスのことで「ダツ」とは、この魚の地方名でした。

 「ダツの干物」として、漁業者自らが加工した干物をイベント時に試食販売を行い、クロシビカマスについて消費者の方にも知ってもらおうとパンフレットを作成し、販売時に配布しました。また、当時、キンメダイやムツ漁の外道として多く水揚されており、付加価値をつけて直販という機運もあり、加工場の設置などの検討も行っていました。(残念ながらクロシビカマスの水揚も減り、加工場の話は、途絶えてしまいました。)

 この時の出会い以来、私はクロシビカマス好きになってしまいました。三崎以外でも食べられているのかを知りたくなり、調べはじめました。すると前述のとおり、場所により名が異なりますが食べられていることを知りました。特に小田原では、秋にスミヤキ漁が行われ、昔から地元で食べられており、スミヤキだけでなくナガスミヤキ(標準和名、クロタチカマス)も小田原地域のみで食べられていることも知りました。

 干物も美味しかったのですが、脂がのっている魚なので、塩焼きや煮付けにしてもとても美味しく、刺身も脂に甘味があり大変美味しかったです。しかし、この魚には、難点がありました。皮と身の間や一部身の中に骨があることです。普通の魚のように皮の方から身をくずして食べるとこの骨が邪魔をして、食べにくいのです。そこで、背側から身を開き、身から皮に向って身をほぐして食べると比較的食べやすいようです。(小田原在住の方に教わりました。)

 このように小田原では、馴染みの深いはずスミヤキですが、たまたま、小田原市の中学校のPTAの方々に小田原で獲れる魚の話をする機会があり、スミヤキの話をした時のことです。当然、知っているという前提でお話したのですが、参加者のほとんどの方がスミヤキの名前さえ知らず、中には売っているのも見たことが無いという人もいたのです。(驚くべきことに、小田原で漁業が行われているのを知らない人もいました。)愕然としました。大袈裟に言えば、小田原の食文化が継承されず、途絶えてしまう危機に直面しているのです。

 小田原に限らず、魚が揚がる港町では、アジやサバのような大量に獲れ、市場に出回る魚だけではなく、前述の食べにくさや知名度、大きさや少量しか獲れないなどの理由で消費地に出回らない魚を美味しく食べる文化があります。そう、元々沿岸漁業は、このような少量多品種の魚が多く獲れます。それを地元の住民が季節や地域にあった方法で料理し、食べてきたのです。

 もう一度、スミヤキをはじめとする少量多品種の魚たちと食文化に光を当て、多くの人たちに知ってもらい、食べてもらうことも、私の仕事の一つであると実感した次第です。

 皆様、かながわの魚、漁業を知って、かながわの魚を食べましょう。


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○チョウセンハマグリを増やす取り組み    (相模湾試験場 櫻井 繁)

 藤沢市の湘南海岸から茅ヶ崎の海岸にかけて、以前は、チョウセンハマグリが生息していましたが、環境の悪化により見られなくなりました。しかし、近年は、下水道の整備等により環境改善が進んだことから、僅かながら生息しているのか確認されました。

 藤沢市地先は、単調な砂浜域であり、貝資源の利用が望ましいことから、藤沢市漁業協同組合では、チョウセンハマグリを増やそうと、平成13年から15年にかけて、茨城県から購入した親貝を鵠沼海岸に放流し、資源の増殖を試みました。放流したすべての貝には、ペンキ、傷による標識を付け、定期的に貝桁を使用して調査を行うと共に、平成17年度から稚貝が生息しているか、海岸での枠取り調査も実施しています。

 放流後、定期的に行っている調査の貝桁曳きで、親貝は放流場所より東側の引地川河口に移動しているものの残っていること。また、鵠沼海岸から茅ヶ崎市境にかけて、多数の稚貝(35-50mm)が確認されました。

 また、海岸での枠取り調査でも稚貝(5-8mm)が生息を確認出来たことから、再生産されている可能性が考えられます。

 二枚貝の増殖は難しいとされていますが、この稚貝がうまく残れば、2、3年先には漁獲サイズとなり、漁業者の今後の資源増殖の取り組みにも弾みがつくと期待されます。ただ、ハマグリやナガラミ(ダンベイキサゴ)は、漁業者が優占的に獲ることができる権利がある生物なので、漁業者以外が獲ると漁業法によって罰せられるので、注意して下さい。

写真はペンキによる標識付け、漁船による調査曳き

http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag//cnt/f450011/p582803.html
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