神奈川県水産技術センター メルマガ193

掲載日:2014年2月4日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.193 2007-04-27

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.193 2007-04-27
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□研究員コラム

○-メガマウスの話-  (企画経営部 臼井 一茂)

○マグロ資源を守るもの これからも美味しいマグロをいただくために  (栽培技術部 一色 竜也)

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○-メガマウスの話-

 2006年5月、相模湾の西、神奈川県足柄下郡湯河原町の沖合い約1キロにある定置網(福浦漁協所属)に、巨大な生き物が入りました。それはとても希少で、世界中でもまだ36匹しか見つかっておらず、国内では10匹目であった 「メガマウス」というサメの仲間でした。

このメガマウスは、大きく開く口が特徴的で、その大きな口が名前の由来となっています。 30年程前にハワイのオアフ島沖で捕獲され、日本では約20年ほど前に静岡の海岸で発見されていますが、生態などはまだまだ分かっていなくて、神秘のベールに包まれた生き物なんですよ。

 それでもいろいろと調べらてくるといろんなことが明らかになっているのです。まず、太平洋やインド洋など熱帯から温帯に生息していると考えられており、歯は小さくて大きく開く口なので、プランクトンを食べているようです。

 また、生きているメガマウスに超音波発信機を装着して追跡した観察記録があるそうで、日中は水深100-200m程で泳いでいたそうですが、夜間は10-20m程のという浅いところまで浮上してくるそうです。それから、泳ぐスピードはかなりゆっくりで、時速は約1kmだそうですから、プランクトン位しか食べられないですよね。そう、漂っている感じですもんね。

 また、遺伝子の解析から近縁種と思われるのはウバザメだそうで、両者ともプランクトンを食べているんですね。そういえば、ニュージーランドで日本のトロール船 「瑞洋丸」が引き上げた謎の生物“ニューネッシー”と新聞を賑わせたのは、腐敗し下あごがとれてしまったウバザメだったんでしたよね。

 今回のメガマウスは体長 5.69m、体重1.2tと、国内で発見され計測された7匹の中では最も大きく、世界的に見ても最大級の大きさのメスだそうです。

 ウバザメを含むネズミザメ目のサメは、母体で卵がふ化する胎生であることが多いそうですが、このメガマウスの繁殖については明らかになっていませんでした。そこで、専門家の藤田清・元東京海洋大学教授に見てもらったところ、交尾の際についたとみられる傷があったそうで、胎生か?それとも卵生か?と新事実が明らかになるかと期待されましたが、受精卵が見つかっただけにとどまったそうです。

 でも、子宮自体は大きく膨れ、もう少し時間がたってさえいれば確認できただろうとのことで、謎はまだまだ謎のままでした。

 現在、メガマウスの標本は国内には、福岡県のマリンワールド海の中道、静岡県の東海大学海洋科学博物館、そして今回、地元、神奈川の京急油壺マリンパークに特別展示されました。

 京急油壺マリンパークの特別展、早速見てきましたが、その大きさや、サメのイメージとちょっと異なる姿、迫力ですよ-。そして、やっぱり海って、土の上で空気を吸っている僕たちには、未知の生物がいて、そして未知なる世界なんですよね-。

 そういうのって、子供の時にあこがれましたよね。久々にワクワクするもの見させていただきました。それにしてもでか-い口ですよ!!

メガマウスの写真はこちらから↓

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582771.html

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○マグロ資源を守るもの これからも美味しいマグロをいただくために

 先日、三崎の魚市場でマグロ漁船の船首さんの講演を聞いてきました。試験場に勤めてからの数年間、私はマグロ漁業の調査研究を担当していたので、当時を知る者として講演内容は大変興味深いものでした。ただ、特に印象深かったことは、残念なことに良い話ではなく、今の状況はあの時より改善されず、さらに厳しいものになってしまったなあというものでした。

 私が担当していた当時も、人件費を抑制するために外国船員を日本人船員の代わりに乗船させたり、なるべく漁船を日本に帰さないで往復の航海日数を生じさせないなど、それこそ爪に灯を灯すようなコストカットを強いられておりましたし、業界上げてマグロ漁船の2割減船に取り組むなど、業界再編が取り組まれていたところでした。しかし現在、三崎にあるまぐろ船漁業会社は減少の一途を辿り、とうとう2社になってしまったようです。

 でも、マグロのイメージとして一般的にはどうでしょう?そんな暗いイメージを持つ方は少ないのじゃないでしょうか。日々、マスコミから報じられるマグロの話題は、美味しいマグロの寿司屋や料理店、安売り店の紹介といったものが中心で大変華やかな印象を受けます。マグロの人気や話題性は依然として高く、日本人のマグロ好きは留まるところを知らないかのようです。今後もこれまで通り、いつでもどこでもだれでも手軽にマグロを食べられる時代が永遠に続いていくことを、誰も信じて疑わないような感があります。

 でも、私はマグロを食べられなくなる日というのが、刻一刻と近づいているような気がしてならなりません。ここ十数年の軌跡を見ても、マグロ資源は年々減少の一途を辿っておりますし、それに伴うマグロ漁業やマグロそのものの消費に対する世界の見る眼が厳しくなっているのは間違いないからです。

 すでに世界のまぐろ漁場は1960年代の前半に開拓され尽くし、今後新たなマグロ資源が発見され、漁獲が増加する要素は全くないといえます。昨年「大衆マグロにも漁業規制」との記事が新聞紙面を賑わしたことがありましたが、元々資源量の少ないクロマグロやミナミマグロといった「高級マグロ」に厳しい制限が科されるだけでなく、資源量がわりと潤沢にあった「大衆マグロ」であるメバチやキハダにも、いよいよ規制がかけられる時代が来たとのことです。そしてこの「大衆マグロ」こそ、庶民の日々の食卓に上がる刺身マグロであり、刺身の盛り合わせ998円とかスーパーのチラシにあるマグロの刺身は、まさしくこの「大衆マグロ」のことなのです。こうしたマグロでさえ、今や自由に漁獲することが制限されようとしているのです。

 特に、刺身マグロとして用いられるのはメバチですが、メバチ資源の悪化を助長しているのは、巻網漁業と増大する外国はえなわ漁船といわれています。ここ数年、巻網漁業は小型のメバチの漁獲量を増大させていますが、一般に小型魚の保護は乱獲を防ぐ手立てとして資源管理のセオリーといえます。メバチ資源の利用はその流れに逆行してしまったようです。また、日本漁船を2割も減船したのに、その効果が現れる前に外国漁船が増大してしまっています。

 かつて、まぐろはえなわ漁業における日本漁船の優位性は際立っていましたが、外国船員の混乗が当たり前になってしまってから、日本漁船の漁業技術が外国漁船にも伝播してしまい、また日本漁船において中核となって働いている人々の顔ぶれが外国漁船船と変わらない状況になってしまったことから、その優位性は急速に失われてしいました。今や外国漁船でも日本漁船と同等の漁獲能力を持ちえたということで、これが増えてしまっては日本漁船の減船効果も無きに等しい結果になったといえるのです。

 これら外国漁船は日本漁船より人件費等のコストの点で優位なため、今やマグロ流通に外国漁船抜きには考えられない状況になっています。経済学的に言えば、生産コストの高い国から安い国々に生産拠点が移っていくというのは自明であり、それが進んで何が悪いということでしょう。日本の多くの産業が空洞化していったのも同じ傾向です。だた、マグロ漁業が他産業と異なるのは、資源の減少に伴って、枯渇を防ぐという観点から国際的に規制が取りざたされる事態になってしまったということです。つまり競争原理に則って獲れるところまで獲り尽くしてしまうと、おそらくは回復不可能な資源レベルまで落ち込み、産業そのものが成り立たないという結果に陥るからです。では、規制をかけつつ外国船にマグロを獲ってもらえれば良いように思われますが、本当にそうでしょうか?

 資源の枯渇を防ぐ手立てとしては漁獲量規制や漁期規制等がありますが、実効力のある規制を行うには、資源動態に関するデータが不可欠です。

 現在のところ、マグロ資源について質量とも十分なデータを持つ国は、我が国において他はなく、国際資源管理は我が国のデータを基に議論がなされています。この点で外国勢は漁獲統計すら整備されていない現状なので、彼らに全て任せるには、こうしたデータの整備も同時に進める必要があるのです。もし、この事態を甘くみると、野生生物保護といった自然環境保護の観点から、人類の敵とみなされ、マグロを獲って食べることが悪であるという事態に陥りかねないのです。

 日本漁船は漁獲統計データの報告が義務付けられているのですが、義務以前に、資源に対する漁業者の意識が高いと感じられます。国際資源管理の根拠となるデータとして漁獲量のほかに、漁獲物の年齢組成データが必要です。ただ、これを得るためには年齢組成を推定しやすい魚体長組成が必要となります。10年近く前から水技センターでは、これら魚体長に関するデータを漁船船上で漁業者自らが測定し、データを集めるやり方で報告していただいています。

 マグロはえなえわ漁業は100km以上もの大型の漁具を扱う重労働です。その漁場は大洋のど真ん中、大きなマグロ漁船でも木の葉の如く波に翻弄されます。そんな状況の中、厳しい漁撈作業に加えて1尾、1尾、デッキに上がってくる魚を測定するのは、並大抵の苦労ではありません。ここ10年近くの間、この取り組みを続けてくれている漁業会社があります。その会社こそ、三崎に現存し健闘されている前述のマグロ漁業会社2社なのです。

 日本漁船がこうしたデータを大切にしてきた精神性は、やはり日本人にとってマグロは欠かすことのできないものであったからだと思います。資源を大切にし、永続的に利用しつづけようとする願いや望みが無ければ、データを残そうという発想は生まれないと思うのです。この長期間にわたって、魚体長測定を担い報告を続けて下さった漁業者の方々に、私は本当に頭が下がる思いがいたします。この資源を守るという精神性こそは外国漁船には真似のできないことと私は確信しております。今のような状況こそ、資源を利用するものにとって欠かすことのできないものは、資源を守りたいという確固とした精神性なのだと思います。これこそ「マグロ資源を守るもの」であると思うのです。

 経済学的にみれば日本漁船は高コストで生き残る余地は少ないかもしれません。しかし、こうした資源に対する高い精神性は誰かがどこかで受け継がないと、マグロが食べられなくなる日はそう遠い将来ではないと予感がしています。

マグロ漁船の写真↓

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p582772.html

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