神奈川県水産技術センター メルマガ196

掲載日:2014年2月4日

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.196 2007-05-18
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□研究員コラム

○ヨーロッパ各国における栽培漁業に対する対応 (所長 今井 利為)

○ヒラメの金さん (栽培技術部 長谷川 理)

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○ヨーロッパ各国における栽培漁業に対する対応

 2007年5月6-8日にベルギー ブリューゲルで開催された”生態系を基礎とした資源増大”研究集会に招待され、日本における栽培漁業の考え方と種苗放流の実態について福山大学の伏見 浩教授と私(今井)が報告してきました。

 参加者はFAO,EC本部大臣、ベルギー、ノルウェー、イギリス、スペイン、イタリア、デンマークの研究者、政策担当者、ベルギープロバンス州知事、ベルギー漁業協同組合連合会会長、私たち2人でした。

 EC各国の漁業政策ではTACなどの管理方策を主体に実施してきてきましたが、日本における種苗放流事業に対しては生態系の撹乱を懸念して、批判的な立場をとってきました。従来、ヨーロッパでは小規模の放流や実験が行われていましたが、放流効果の判定や経済的な効果の把握および栽培漁業を推進する社会的体制の整備が十分できなく、この点における意見を求めてきました。このワークショップでまとめられた提言は、EC委員会へ勧告書と言う形で提出される予定です。EC委員会でこの勧告書が採択されるとすると、ヨーロッパにおける栽培漁業の歴史的転換点になる会議でした。

 この会議に先立ち、5月4日、ベルギーのゲント大学において大学院生に講義をしてきました。この大学では種苗生産で使用するアルテミアの栄養学研究が行われていて、アルテミア世界市場の65%の販売をしているINVE株式会社とともに共同研究を行い、養殖の伸びが著しい中国、ベトナムなど東南アジア各国との連携に非常に高い関心を持っていました。

 日本の栽培漁業は国の基本方針、各県の基本計画によって推進されてきました。EC各国は日本と基本姿勢が異なり、環境容量に対する考え方や遺伝的予防対応や生態系を十分配慮したうえで、栽培漁業を推進したいとの考え方です。日本においても当然、上記の課題に対して十分注視して事業を推進しているところですが、現場での感覚は、事業を実施しながら、軌道修正を図る、順応的管理をしていると言ってもいいでしょう。

 ところが、ヨーロッパ各国の姿勢は、とことん議論を整理したうえ、予防的対応を図ってからでないと行わない論理の世界です。やはり、ECそれぞれの国の歴史、地政学位置、思惑など交錯するなかで、言葉の定義をとことん明確にし、英文の校正を重ね、最終文案を2日間でまとめあげるエネルギーに感心しました。

 日本では、事業が先行し、理論付けはあとづけの感があります。どちらが良い、悪いのではなく、国民性が如実に反映しています。

 写真はこちらから 

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p752393.html

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○ヒラメの金さん

 近ごろ、街中においてタトゥーと称する入れ墨を腕や背中などに入れている若い人たちをたまに見かけることがあります。このタトゥーについては、いろいろな御意見があると思います。私などは入れ墨というと「遠山の金さん」をイメージしてしまう世代ですが・・・。この場ではタトゥーの是非については触れません。

 このような話題をどうして持ち出したかというと、最近、当技術センターで飼育しているヒラメ達にもタトゥーをしている世代が増えてきているからです。

 以前にこのメルマガ(No.136)において、ヒラメ親魚に対してピットタグという個体識別標識を装着して優良なヒラメを選抜していることをご紹介しましたが、このタトゥーは個体を識別するのではなく、系統を判別するために付けています。

 各系統の耐病性や成長などの生物特性を把握するときに、飼育条件を揃えて調査することが必要です。このため、異なる系統を同一の水槽で混合飼育することが出来れば、各系統の生物特性をいっそう正確に把握することができます。そこで、このタトゥーを系統判別の目印としてヒラメの裏側(眼の無い側)に付けています。

 この標識をヒラメに入れる作業ですが通常は二人で実施しています。一人が魚を押さえ付け、もう一人が注射針で標識を皮下に挿入していきます。このとき、ひっくり返して押さえ付けられたヒラメは、力いっぱいに抵抗するためにしばしば自分の手に入れ墨を入れてしまいそうになることがあります。そのうち、私の手にも色鮮やかなタトゥーが彫られることになるかもしれません?

標識をつけたヒラメの写真↓

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f450011/p752478.html

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