神奈川県水産技術センター メルマガ198
神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.198 2007-06-01
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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン VOL.198 2007-06-01
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□研究員コラム
○「平塚市漁協の漁場改善の取り組み」 (相模湾試験場 櫻井 繁)
○ さかなの性格と飼育設備(栽培技術部 原田 穣)
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○「平塚市漁協の漁場改善の取り組み」
平塚周辺の海域は、相模川から粒度の細かな土砂の流入があることから、海底が固くなり、ゴカイ等の底生生物や魚介類の生息環境が悪化しています。
これらの底生生物は魚の主な餌となることから、平塚市漁協では、これらを増やすため、固くなった海底を柔らかくし、底生生物の生息環境を改善する試みを平成9年度から行っています。
この方法は、海底耕耘と言い、平塚市沖の水深5から10mの沿岸域を幅70cm、重さ40kgのつめの付いた大きなスキを漁船で引っ張り、海底を耕します。この時、後に網を取り付けて海底のたまったゴミも回収します。これを、春先の2月から4月にかけて、月1-2回程度実施しています。この取り組みで、ナガラミ(ダンベイキサゴ)などの貝類が少しづつ増えてきています。
このような取り組みを通じ、漁業者自ら自分達の漁場や環境を守るという意識を持ち始めたことは、すばらしいことだと思っています。皆さんも、環境を守るために、不要になった物などを河川や海に捨てないよう心がけてください。
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○さかなの性格と飼育設備
現在、水産技術センターにおいて、魚類ではヒラメとホシガレイの種苗生産に取り組んでいます。この2種は、見た目が非常に似ていますが、実際に育ててみると性質がまったく違うことがわかります。もちろん、孵化してからの形態の変化や成長度は当然違いますが、魚自体の行動もだいぶ異なっており、それにより、ヒラメを飼うのに使っていた設備や道具が、ホシガレイを飼うのには使えないなどの事態も発生してしまいます。
当センターでのホシガレイ種苗量産化の大きなネックのひとつが「底掃除」でした。ヒラメであれカレイであれ、魚を大量に飼っていれば、当然ながら池は汚れ、底に魚の糞や残餌がたまっていきます。小さな水槽であれば、サイフォンを利用して人力で掃除が可能ですが、大量生産用の大きな飼育水槽ではそうもいきません(因みに当センターには、底面積が38平方メートルのヒラメ飼育水槽が4基あります。)。そのため、当センターのような魚類種苗生産施設では、底を移動しながらポンプで水ごとゴミを吸い上げる「自動底掃除機」を設置して省力化を図っています。
ヒラメは生きた魚などを餌にしているためか、動きが素早く、底掃除機が接近してくると敏感に反応して退避します。ところが、ホシガレイは、逃げるどころか、その場にじっとうずくまってしまうのです。敵が去るのを待つタイプなのか、こちらが近づいても動きません。これでは、自動底掃除機など使ったらほとんどゴミと一緒に吸われてしまうでしょう。
といった訳で、ホシガレイの場合は、やむなく、人力で慎重に1日数時間かけて掃除をしていたのです。これでは、使える飼育水槽も底面積3平方メートルのものがせいぜい2-3基で手一杯になってしまいます。また、掃除だけに多くの時間をとられ、他の仕事ができません。
困った挙句、今年は思い切って底掃除をほとんどしませんでした。しかし、普通に底掃除をしたところと、3ヶ月あまり掃除しなかったところの生残率は、ほとんど変わりませんでした。このことは、ホシガレイの種苗生産を発展させる、以外と大きなきっかけになるかもしれません。
「ヒラメ飼育水槽の底掃除機」と「触っても逃げないホシガレイ(成魚)」の写真はこちらから
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