神奈川県水産技術センター メルマガ205

掲載日:2014年2月4日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.205 2007-07-20

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.205 2007-07-20
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□研究員コラム

○海で働く宿命  (相模湾試験場  木下 淳司)

○海藻おしば教室に向けて奮闘中 (相模湾試験場 場長  川原 浩)

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○海で働く宿命

水産技術センターに職を得て潜水調査をはじめた時,漠然と思った。いつか自分は海でホトケ様に出会うだろう。その時,正しく対応できるだろうか?意外にもその時は早くやってきた。

 潜りはじめて4年目の春,水はまだ冷たかった。透明度は6-7mだったろうか。自分たちは藻場のモニタリングをしていた。調査項目を終了し,ゆっくり藻場の中を観察しながら進んでいた。その瞬間は今でも鮮明に記憶している。靴が落ちてる・・靴には脚が付いている?・・うわあ◎×▲※!! ホトケはまだ新しかった。

逃げるか?まずそれが脳裏をよぎった。しかしこの藻場は自分の研究のホームグラウンド。見捨てたら次から怖くて潜れない。引き上げよう。覚悟を決めた。浮上して海上で待機していた船外機を呼んだ。その時の僕の叫び声は調査船うしおの語り草となった。「センチョー!ドザエモ-ン!!」

 船長はロープを取り出しホトケの脚に結んで来いと言った。船外機で浜に上げるのだ。僕はロープを手に彼のもとへ進んだ。心臓がバクバクして胃が痛い。

 震える手で脚に確実に結んだ。再び浮上して船長に合図した。しかしロープはするすると軽く上がり,その先に彼は居なかった。じつは2本のロープを結び合わせて1本にした結び目を,パニック状態であった僕はロープが絡まったと思い込み,水中で解いてしまったのだ。情けない。しょせんその程度であった。

 結局同僚と3人で再び潜り,彼にロープをたすきがけして,船外機で浜に上げた。警察官がたくさん来て彼を運んでいった。

 今でも不思議に思うのは,その日の調査場所はホトケから100m以上も離れていたのだ。普通は調査が終わるとすぐに浮上するのだが,その日は引き寄せられるように進んでいった。冷たい海の中で,彼の最後の願いが通じたのかもしれない。

 その後新しいホトケ様とは出会っていない。“ニアミス”は時々あるようだ。子供のころ怖がりだった僕に母は言った。

 「おばけは噛み付いたりしない。一番怖いのは人間!」名言である。ホトケも噛み付いたりしない。潜水で一番怖いのはパニックになることだ。

 海が濁っているとき,シケてきそうなとき,初めての場所。正直潜りたくない時がある。そんな自分であるが,ホトケ様から逃げなかったことがココロの支えとなり,今でも調査を続けられている気がする。

最後に月並みですが,これから夏を迎えます。海での遊びはくれぐれも気をつけて下さいませ。

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○海藻おしば教室に向けて奮闘中

 

 昨年当場に最新の自航式水中ビデオカメラ(ROV)が入り、カジメの藻場調査等に利用し始めたことから今年度8月5日の「小田原みなとまつり」とこれに引き続き行う当場のサイエンサマーでこの成果や藻場の大切さを広く知ってもらおうと海藻おしば作品展と子供達の海藻おしば教室を計画した。

 以前、海藻デザイナーの野田三千代先生の海藻おしばに触れ、海藻の繊細な造形とカラフルな色彩に驚いた。きっと子供たちも関心を持ってくれるにちがいない。

 しかし、海藻についてはコンブ・ワカメなどの水産有用種を除けば皆素人同然。教室開催にはかなり不安がある。先生の開催している「海藻おしば教室」にも入り、懇切丁寧な実技指導を受け、展示用作品の提供もして頂けることとなった。

 開催に向けて何よりも必要なのは材料の海藻である。先生は海に生えている海藻を採ってくるのでなく、海岸に打ち上げられた海藻を使うことを薦めているが、我々が動き出したのは採集適期の春先をとっくに過ぎた6月であり、これが一番の課題と思われた。

 褐藻、紅藻、緑藻を同じ種類で100名分ほど用意しなければならない。大潮時に県下の岩礁を歩き採集したが褐藻が多く、なかなか綺麗な紅藻類が集まらない。

 先生から伊豆の赤沢の海藻収集スポットにまだ打ち上げっているとの情報を頂き、台風4号のあとに行ってみた。漁港の片隅に海藻が打ち上げられており、カジメなどの褐藻の固まりをかき分けるとトサカノリ、ユカリなどの目当ての紅藻がかなり混じっている。

 これまで打ち上がった海藻はどこか汚げでこんなによく見たことはなかったが、中にはハッとするような綺麗なのを発見したときは宝物でも見つけたような嬉しさがこみ上げた。後で名前を調べるのが大変だと思いつつ手当たり次第に夢中で集め、1時間ほどで大きなゴミ袋一杯になった。

  いま、案の定、集めた海藻の名前調べに手を焼いている。図鑑を見ても種の特徴がいまいち分からない上に先生によると同種でも海域で形状や色に違いがあるとのこと。ほかにも材料の選別、塩抜き、色落ち防止作業、作品展示用の説明パネルの作成等なかなかの作業が待っている。

  陸の植物を使った押し花は生花の美しさには劣ると思うが、海藻おしばは海中生活に合った体を支える堅い茎等を持たず体の大半が薄い葉であることから、台紙に密着し易く、本来の繊細な姿を表現でき、カラフルな色彩と重なりによる微妙な色の変化が生の海藻以上の魅力を引き出していると思う。海藻アートという言い方に納得している。

  何とか子供達にこの海藻の魅力を伝え、海藻が生きている海の環境保全に関心を持ってもらえることを思い、後2週間頑張ろうと思う。

 これをご覧になった皆様もどんな展示と教室になっているか、子供達の夏休みの作品づくりと併せておいで下さい。

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