神奈川県水産技術センター メルマガ218

掲載日:2014年2月3日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.218 2007-10-19

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.218 2007-10-19
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□研究員コラム

○ヒラメの身震い  (栽培技術部長  武富 正和)

○台風通過  (栽培技術部   原田 穣)

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○ヒラメの身震い

 今年も夏に、全長40-60mmの稚魚15.5万尾生産という実績をあげて、ヒラメの種苗生産シーズンが終了しました。

 「毎年、きっちりと目標数量を生産しています。」と聞くと、皆さんはきっと、機械化された施設からサイズの揃った種苗が流れ出てくる様な情景を思い浮かべるかも知れませんが、実は、この生産物は、我が栽培技術部魚類種苗生産班の血と汗の結晶なのです。(ちとオーバーか。)

 そして、この生産の成否の鍵を握るのが、担当者の観察眼ということになります。すなわち、早い時期に魚の不調を見抜けば、大量斃死を未然に防ぐことができます。

 通常、魚類の飼育では、仔魚期にはサイズが小さく、また、飼育水にナンノ(通称海産クロレラ)を投入したりするので飼育水が緑色となり、1尾の魚をずっと観察することは難しいのですが、ヒラメの着底期以降ですと、1尾の魚を長い時間観察することができます。

 この頃、ヒラメ飼育水槽の縁から中を覗いていると、必ず何匹かのヒラメが近寄ってきて垂直のコンクリートの壁にくっつき、こちらの様子を窺いはじめるのです。ご存知のように、着底後のヒラメは体の左側に半球状の2つの目があるのですが、このうちの1つの目を時々こちら向けてお茶目っぽく(実際は、グリーンがかった茶色です。)人間を観察しているようなのです。おっと、こんなことをしていては、上司に怒られてしまいます。

 さて、このようにヒラメを見ていて気がついたことがもう1つありました。それは、ヒラメが底(先程の場合では、「壁」です。)に到着するときに身震いする様な動作をするのです。そう、「すー」っときて「ブルブル」です。始めは「何してるのかなー」と思いましたが、直ぐに「ははあ、砂に潜っているつもりなんだな。」と気がつきました。その後、より大きなヒラメでも同じように身震いが見られましたし、ヒラメやマコガレイの放流の時にその行動で実際に砂に潜るのが確認できました。そして、「砂のない垂直のコンクリートの壁で身震いする様な本能で、何万年もヒラメが生き延びるなんて。」と妙な感心をしたものです。

 ところで、動物の色・形などの形質がDNAなどの働きによって次世代に伝えられるのは、何だか理解できるのですが、この「身震い」の様な本能から来る行動はどのように伝えられるのでしょうか。先程のお茶目なヒラメ達は、コンクリート水槽の中で、砂などの環境を経験していないのに身震いするなんて。

ヒラメの写真はこちらから

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○台風通過

 9月6日から7日にかけて、台風9号が神奈川県を直撃したことは、皆さんの記憶に新しいかと思います。これにより、西湘バイパスは下り線が不通になってしまい、復旧まではまだ当分時間がかかるような事態に陥ってしまいました。

 ところで、私が働いている水産技術センターの種苗生産施設は、城ヶ島という周囲に風をさえぎる山地がない場所に立地しています。そのため、どの方向からの風でも、非常に影響を受けやすくなっています。今回来襲した台風に限らず、台風が接近するとの情報があると、施設を守るためのさまざまな対策をとります。

 屋外に置いてある水槽などには特に注意を払い、強風で飛ばないようにロープで固定したり、また海上の養殖筏も流れていかないようチェーンでしっかり留めておきます。また、高波をかぶるところについては、流木などが直撃して配水管を破壊しないよう、角材などで防潮堤を作ります。

 台風9号の場合は、速度が遅く、われわれ職員も、6日から7日の朝にかけてずっと気の抜けない状態でした。6日の午後7時ごろに城ヶ島は停電してしまい、非常発電装置(燃料が2時間しか持たない)で、ブロアー(飼育水槽に空気を送る装置) のみを作動させていました。幸い当センターは午後9時前には電気が復旧し、生き物に大きな影響が出る前に海水ポンプを再起動させることができましたが、隣の敷地で種苗生産をしている財団法人は、結局翌朝まで電気が復旧せず、飼育している魚に大きな影響が出てしまいました。

 また、海が荒れると、海水が濁り、海水ろ過器がすぐに詰まってしまいます。そのまま放置すれば、ろ過海水が出なくなってしまうため、猛烈な風雨の中2時間おきにろ過器内部のろ材を洗浄し、詰まりを解消する作業もしました。

 そんなこんなで、夜を徹していろいろ作業しているうち、台風は去っていきましたが、朝、施設をぐるっと見回って、被害状況をまとめ、それでやっと気持ちが一休みとなりました。

 そして、7日の夕方、台風の被害を心配しつつ鎌倉市の自宅に帰ってみると、被害どころか、軒下につるして干したままになっていたタオルが、風に飛ばされもせずそのままになっていました。自宅は海岸から5キロくらい離れたところにありますが、海岸との台風の影響の違いを改めて感じさせられました。 

 

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