神奈川県水産技術センター メルマガ223

掲載日:2014年2月3日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.223 2007-11-30

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.223 2007-11-30
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□研究員コラム

○栽培漁業教室と再生アマモ場へのマダイ放流  (栽培技術部 工藤 孝浩)

○神奈川県小田原市に上陸した2007年台風9号の状況 (相模湾試験場  石戸谷 博範)

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○栽培漁業教室と再生アマモ場へのマダイ放流  

 今年度から、「漁場整備と栽培漁業を連携させた市民参加による海づくり事業の検討」という長くてカタイ名がついた仕事を水産庁から頂きました。内容は、魚礁、幼稚仔の保育場や藻場を造る漁場整備事業と、人が稚魚を育てて海に放つ栽培漁業とを連携させて、それぞれに市民参加を図り、両者を結びつけた新たな「海づくり事業」を検討しようとするものです。

 この仕事の目玉は、小学生を対象とした栽培漁業の理解を促す教室の開催です。これまでにアマモ場の再生活動に積極的に取り組んできた横浜市金沢区内の4つの小学校の児童と先生方80名を、8月22、23日の 2回に分けて、大型観光バスで城ヶ島にお招きしました。

 午前中に、漁場整備事業やマダイの増やし方などの勉強をした後に、普段は公開していないヒラメやアワビなどの種苗生産施設を見てもらいました。午後は、遊漁船に乗って小網代湾に浮かぶマダイの海上イケスを見学して、エサやりも体験してもらいました。

 そして夏休みが明けた9月8日、栽培漁業教室の仕上げとして、子供たちが餌をあげたマダイを放流するイベントを実施しました。場所は、2001年から市民とともに再生を進めてきた横浜市金沢湾のアマモ場です。これにより、子供たちが何年も前から取り組んできたアマモ場の再生という漁場整備と、夏休みに施設を見学しマダイのエサやりを体験した栽培漁業とを結びつけることができたのです。

 当日は、首都圏を台風9号が直撃した翌日で、真夏が戻ってきたような晴天に恵まれました。用意したマダイは2,000尾。小網代湾で育てられた誕生日が違う3つのロットのうち一番大きな平均全長8cmのものをトラックで運びました。

 放流場所は人工海浜である海の公園の砂浜で、放流に先立ってミニ勉強会を行いましたが、100名が入るその会場には、10時の開会前から親子連れが続々とつめかけて超満員となりました。2,000尾のうち半分は、事前に金沢漁港に降ろされ、地元漁業者と「海をつくる会」のボランティアスタッフの手により、船外機船を使って隣にある自然海岸の野島海岸のアマモ場に放たれました。

 11時には、ミニ勉強会の参加者に一般の公園来訪者も加わって砂浜に長い行列ができ、約200名が順番にマダイが入ったバケツを受け取って膝まで海に入り、マダイたちを優しく海に放流しました。

 今回のマダイは、そろそろアマモ場を離れてやや深みへと移動する大きさでしたが、その後の潜水調査で、9月20日までアマモ場にナワバリをつくって居ついている様子が観察されました。

 再生されたアマモ場へ水産有用種を放流する試みは、全国でも初めてと思われます。アマモ場の新たな利用と管理のあり方の事例として、きっと全国に広まっていくことでしょう。  

写真はこちらから

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○神奈川県小田原市に上陸した2007年台風9号の状況

 台風0709号は、2007年9月6-7日にかけて、小田原市付近に上陸し(図1)、湘南から西湘地区の定置網、漁港施設(写真1)、西湘バイパス道路などに大きな被害をもたらしました。被災されました漁業者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

ここでは、その時の定置網漁場周辺における気象や海の状況についてお話します。

 台風0709号通過前後の防災研究所平塚実験場観測塔の波、気圧、風、流れと小田原市江之浦沖観測点水深10mの流れの記録を図2に示します。

 台風が北緯30度を越えて本州に接近した9月5日正午頃から平塚の1/3有義波高(波高記録を大きい順に並べて上位1/3の記録の平均値)が2m以上となり、定置網の沖作業が困難となりました。1/10有義波高(同:上位1/10の記録の平均値))は 9月6日午前10時頃より5mを越え、翌9月7日午前3時まで18時間に亘り高波が継続しました。

 これだけの高い波が長時間に亘って継続したことは過去にも稀でした。台風が伊豆半島東岸を北上し、小田原に向かって進みつつあった時、風向が北から東に転向し、9月7日午前00時27分に東の風30.8m/sを記録しました。

同時に、流れは西向流(和潮、サキシオ、マシオ)が強まり、9月7日午前02:53に0.89m/s(1.74ノット)の急潮となりました。平塚から22km西に位置する江之浦沖でも、流れは平塚とほぼ同時刻の9月7日午前03時10分に0.83m/s(1.60knt)の南下流の急潮となりました。

 海中に敷設された定置網の側張りや登網、運動場等は、沖から襲う高波と岸に並行する急潮に晒されました。

 相模湾における台風通過等による定置網漁具被害は、高波による浅海部(垣網留め)の損傷、登網等のボタン綱切断、関東の沖を通過する台風の後急潮が特筆されていました。

 しかし、今回の台風0709号のような直撃型台風では、高波と同時に吹く東風(相模湾奥部の海岸に平行)の強風に伴う急潮が加わり、定置網等に極めて大きな被害を与えることが分かりました。台風コースによる波浪の予測と網撤去箇所の追加による側張りの軽量化等の検討が今後の課題であると思います。

 

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