神奈川県水産技術センター メルマガ227

掲載日:2014年2月3日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.227 2008-01-04

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.227 2008-01-04
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□研究員コラム

○あけましておめでとうございます (所 長  今井 利為)

○ところ変われば・・・ (相模湾試験場長 川原 浩)

○少なくなったムツ (資源環境部  秋元 清治)

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○あけましておめでとうございます

 平成20年の新年を迎え、皆様にご挨拶を申し上げます。

 国際的に水産物需要が増え、日本だけが水産資源を買占めることができる時代はそろそろ終わりつつあるようです。

 200海里制定までは、日本漁船が世界の海に出かけて漁獲してきました。その後、日本は水産物確保の方策として、「自国で獲る」をできるだけ維持しつつ、旺盛な需要に対して「他国から買う」方向で対応してきたのですが、ここに来て、また、一つの曲がり角に差し掛かったようです。

 例えば、中国を始めとする新興国の水産物需要が増加し、日本が他国との購入競争に敗れる「買い負け」などが生じています。また、地球温暖化に関連してバイオエネルギーの原材料確保に向けた国際的な動きが強まり、これが農産物を始めとした食料の需給に少なからず影響を与え、思うように食料を調達することが難しくなっています。

 こうした中、日本の漁業は、漁業者の高齢化や就業者数の減少、そして、水産資源の減少など構造的な課題を抱え、厳しい状況にあります。

 しかし、食料確保は国の基本的な安全保障であり、水産分野にあっては「これからは日本の200海里以内で漁獲量を確保していかなければならない」という考えをさらに強く持ち、施策を進めていくことが重要になるものと考えています。

 一方、食料の確保に合わせ、食の需要を育む日本の食文化を大切にすることも忘れてはならないことと考えます。

 今後、国際的に魚に対するニーズが高まる中、国においても様々な施策が行われると思いますが、本県においても県産水産物を県民に安定的に供給するとともに、県内水産業を「有望な産業」として発展させていくため、水産技術センターとして漁業者、漁業協同組合、そして、関係団体等とともに技術の開発と普及などに取り組んでまいりたいと考えていますので、皆様のご支援とご協力をお願いいたします。

 皆様方の健康と豊漁、そして、何よりも航海の安全をお祈りし、ご挨拶とさせていただきます。 

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○ところ変われば・・・

 以前このメルマガに,冬には高級魚として扱われるものの、鍋の季節が終わる春先にはもう見向きもされないという悲しいアンコウの話を書いた。

 これに対して、当場では12月から1月の鍋シーズンにアンコウがいる漁場を見つけることと鍋以外の食べ方のPRと売り方を見つけるという両面で取り組んでいるところであるが、食べ方についてはアンコウを余すところなく利用する鍋に勝るものはなく思案していた。

 そんな中、某氏のテレビで韓国のアグチムというアンコウ料理が紹介されていたとの情報を切っ掛けにコリアタウンを持つ川崎の産業観光の活性化に取り組んでいる臨海部活性推進課の仲介で、実際のアンコウ料理を食するとともにコリア料理店の皆さんと話をする機会が得られ、販路を模索している小田原の刺網漁業者の代表に同行した。

 集まったのはコリア料理店等を営むニューカマーの皆さんで、焼肉中心の韓国料理に本格的な家庭料理を加えて、魅力化に取り組もうと考えているが、材料入手に苦労しているとのことであった。

 アグチムは、ぶつ切りにしたアンコウにもやし等の野菜やミドド(親指大の小型のホヤでエボヤらしい)を唐辛子の辛いソースで蒸した料理でピリッとした辛さが食欲をそそり、韓国でも酒肴として人気のある料理のようである。

 アンコウのプルプルとしたゼラチン質の身やツルンとした皮等の食感も楽しめる。これであれば、アンコウを丸ごと使えるし、夏にでもビールのつまみとしてもいけると実感した。

 もう一品アグタンと言うアンコウの鍋料理も体験した。こちらはアンコウの骨などでとった透明な塩ベースのスープに、ぶつ切りにしたアンコウ、豆モヤシ、青唐辛子などの野菜にやはりミドド(エボヤ)などを具とし、粉唐辛子のピリ辛味であるが、スープは後を引く絶品の旨さであり、韓国のアンコウ料理の魅力を体感した。

 コリア料理店の側からは春先のアンコウを入手したいとの希望が出され、漁業者側も今後条件や課題を出し合い、前向きに検討していくこととなった。

 併せて同じく刺網で混獲されながらも捨てられているエイやギンザメの利用等興味深いも話が出て、ところ変わればと感じた次第である。アンコウを手掛かりにまだまだ未利用の魚が韓国食材に変わる可能性を感じた。

 この春には小田原のアンコウが韓国料理として川崎で県民の皆様に味わっていただいている光景が正夢たらんことを期待している。

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○少なくなったムツ

 冬に脂がのって美味しくなる魚は多いが、中でもムツは横綱格といえるだろう。刺身でも煮付けでも美味しいこの魚はキンメダイと同じく、水深数百メートルの大陸棚辺縁部や伊豆諸島近海の海山に生息している。

 本県の三崎では明治8年ごろにはすでにムツやキンメダイを対象とする立縄釣り漁が行われていたようであるが、かつて主役を演じたムツも近年はめっきり漁獲が少なくなってしまった。ムツは北海道から沖縄までの太平洋、また、わずかながら日本海にも分布するが、特に千葉県、東京都、神奈川県、静岡県の関東近海で多く漁獲されている。

 統計によれば前述の一都三県のムツの水揚げ量は1984年(昭和60年)までは1,000tを越えていたが、近年では300トン前後とかつての1/3の水準にまで減少している(参照1)

 ムツは秋に産卵し、仔稚魚は冬から春にかけて沿岸から沖合の表層域に分布する。その後は、春先から初冬にかけて沿岸の定置網に入網することからも分かるように沿岸域で生活し(参照2)、約1歳になると深場の漁場に移動していく。

 しかしながら、実はムツにはムツとクロムツの2種類があり、両種を外見上から見分けることはなかなか難しい。さらに、クロムツについてはその生活史もよく分かっていないのが現状である。

 現在、当所では日本大学と共同で両種を遺伝的に判別する手法を開発し、両種の分布特性について調査を行っている。調査では、これまでに確認されていなかったクロムツの幼魚も確認されつつあり、両種の生活史に新たな知見をもたらすことができそうである。

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□広報部会からのお知らせ 

 新年あけましておめでとうございます。

 今年も水産技術センターメルマガをよろしくお願いします。 

  

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