神奈川県水産技術センター メルマガ234

掲載日:2014年2月3日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.234 2008-02-22

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.234 2008-02-22
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□研究員コラム

○芦之湖漁業協同組合が農林水産大臣賞を受賞しました  (内水面試験場  利波 之徳)

― ワカサギを増やす取り組みに高い評価 ―

○-小さな忍者、イイダコ- (企画経営部  臼井 一茂)

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○芦之湖漁業協同組合が農林水産大臣賞を受賞しました

― ワカサギを増やす取り組みに高い評価 ―

 芦之湖漁業協同組合が行っているワカサギを増やす取り組みについては、以前にも簡単にご紹介(VOL.166 2006年10月20日発行)しましたが、昨年11月10-11日に開催された「第27回全国豊かな海づくり大会」 (以下、海づくり大会という)の功績団体表彰において農林水産大臣賞を受賞しましたので、改めてご紹介します。

 海づくり大会は、魚や貝などの水産資源を保護し増やすことと、海の自然環境を守ることの大切さを、みんなで考える大会です。昭和56年から海のある都道府県で毎年開催されてきましたが、昨年は琵琶湖を舞台に開催されました。

 今回、芦之湖漁業協同組合は栽培漁業部門において「人工増殖を通じて資源の維持増大に優れた実績をあげたもの」として表彰されました。

 表彰の対象となった功績は多岐に渡りますので、主なものをご紹介すると、(1)自家採卵による自活的な放流卵の生産、(2)不粘着化した卵のふ化器によるふ化管理技術の開発、(3)採卵・ふ化管理作業の省力化と経費削減などです。

 ワカサギの卵は、長い間、他県産卵の購入に依存してきましたが、芦ノ湖では平成15年以降は、芦ノ湖産の親魚から得た卵だけで放流を行えるまでになりました。独自に開発した水槽内自然産卵法による採卵と、東海大学との協力によって開発したふ化器を利用することによって、採卵・ふ化管理作業の大幅な省力化と経費削減効果が得られています。

 これらの成果は、内水面の業界関係者に広く知られるようになり、市販化されたふ化器は7県13団体(H19.5現在)が導入するに至り、採卵時期には多くの団体が視察に訪れるなど、関係業界への波及効果の点でも、芦之湖漁協の功績は極めて大きいものです。

 今回の芦之湖漁協の受賞は、長年にわたる関係者の努力の結果です。今後は、試験場としても支援を強めていきたいと考えています。 

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○-小さな忍者、イイダコ-

 相模湾ではあまり見かけませんが、東京湾では秋の風物詩になっているのが、この小さな忍者、イイダコです。

 イイダコは大きくても20cm程の小型のタコで、腕の付け根に2個の金色をした丸い紋様があるのが特徴です。日本に広く分布しており、北海道から九州の各地の浅い海の砂泥底などに棲息しています。

 日中は、岩礁の隙間のほか、二枚貝の貝殻や沈んでいる空き缶などを住処にして隠れ、夜のお食事タイムには海底をスルリスルリと移動して、小さなエビやカニ、アサリなどを捕まえて食べています。

 三崎の秋の夕方でした。外灯に照らされて明るい海を眺めていたら、漂う海藻や落ち葉、ゴミなどとともに、8の字の形をした葉っぱのようなものが、風や小さな波に逆らって、水面をくるくると回ったり、スイーとリニアモーターかエアホッケーのように滑らかに動いているのを見つけました。よく見ると、それが水面に何個もあるので、目の細かい網でゴミごとすくってみたところ、なんとイイダコが出てきたのです。

今度はライトで照らし、よくよく見てみると、平べったくした胴と脚で八の字を形どり、ゆっくりと泳いでいるのでした。

 いっぱいいたのですが、2匹だけすくい水槽を用意し、拾ってきた石や海藻を入れてみたところ、水槽の角で水面近くに脚の吸盤を外側に向け、頭を守るように抱え込んでいました。2、3日過ぎた頃にスーパーで買ったアサリを入れると、丸まっていたイイダコが、絡まった糸玉がほどけるように8本の腕を波打たせながら広げて、スーとアサリのそばに行ったと思ったら、ギュッと抱え込んでしまいました。10秒ぐらいでしょうか、頭を高くし、脚に抱え込んでる姿はヒョウタンの様でしたが、バキッと低音の音が響いてきたと思ったら、アサリのちょうつがいを壊し、中身を食べていました。

 それからは、毎日イイダコ1杯につきアサリ1個のペースで、開いた貝殻が増えていきました。

 さらにひと月も過ぎると、なんだかソワソワと水槽中をなにか探して回っているようになったので、何となく使わない小ぶりの白色の湯飲みを入れてみました。最初はおっかなびっくりで脚先を入れる程度でしたが、いつの間にか定位置となっており、いつしか入れてあった場所から移動して、見えない様にガラスに湯飲みの口をくっつけていました。

 1月に入った頃です。朝、ふと見てみると、久々にイイダコが出てきてアサリを拾い抱え込んでいました。その隙に湯飲みをよく見ると、白い米粒のようなものが沢山ぶるさがっていました。そう、産卵していたのです。

 イイダコは米粒の形をした卵を内臓のある胴につめていることから、イイ(飯)ダコといわれ、200-300粒程の卵を持ちます。雄から精子を受け取り、産卵後ひと月半程で孵化するのです。孵化したての赤ちゃんのイイダコは体長が1cmもあり、ちゃんと吸盤も見ることができ、すぐに底生生活を始めるそうです。そして子供達を残して母親は1年の一生を終え、命のタスキをつないでいくのですね。

 魚なら、卵を持ったものは「子持ち」と呼ばれますが、このイイダコの場合は米粒に似た卵であることから「いい(飯)持ち」と呼びます。このいいを産卵する時期は冬であり、それがイイダコの旬ともなっています。寒い時期に、あっさりでもこってりでも、イイダコの煮付けはおいしいですね。

 そうそう、産み付けられた卵は房状なので、まるで「藤の花」の様だと明石藩の儒者が命名したことから、海藤花(かいとうげ)と呼ばれてもいますね。塩漬けの瓶詰めなどで販売され、そのままでも、塩抜きしてポン酢でも美味しいものです。

 最近では、めっきり地場産のイイダコを見かけませんが、魚屋さんで並んでいたなら、是非、お試しあれ。

 写真はこちらから! 

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