神奈川県水産技術センター メルマガ242

掲載日:2014年1月30日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.242 2008-04-18

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.242 2008-04-18
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□研究員コラム

○近所の雑木林との惜別  (栽培技術部  工藤 孝浩)

○2008年4月8日の低気圧による定置網被害の状況  (相模湾試験場 石戸谷 博範)

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○近所の雑木林との惜別

 私は仕事をしている平日はもちろん、休日にも海の自然観察などの環境活動をしているので、まさに「海漬け」の毎日です。その反動か、時として無性に森に行きたくなる衝動に駆られることがあります。気ままに木々の中を散策し、小さな花を愛でたいと心が騒ぎだすのです。

 特に、三浦半島の山が濃淡さまざまな新緑に彩られるこの時期はいけません。スミレやランが、私を呼ぶのです。しかし、現実は厳しく、この10年近くは日帰りの山歩きすらしていません。たまに時間が空いたとしても、疲れ切っていて山に出かけるだけの気力・体力が残っていないのです。

 それでも、精神の安定を失わなかったのは、自宅から徒歩15分ほどにある小さな雑木林で、スミレやランを見たいという欲求が満たされていたからです。その雑木林は、横浜駅からわずか2kmの住宅に囲まれた斜面にあります。コナラを主体に、イヌシデや花木のコブシやヤマザクラなどが混じる、手入れが行き届いた明るくて気持ちがよい林です。

 ここの他にも、徒歩圏内に雑木林は数ヶ所あるのですが、いずれもアズマネザサが生い茂って立ち入ることすら困難です。この雑木林の地主さんは、よほどマメな方なのでしょう。毎年きれいに下草刈りを施し、木も定期的に伐採しているので、良好な萌芽更新がなされています。

 手入れが行き届いた雑木林は、都会の真ん中にあっても生物多様性が高く、とんでもない植物が見つかります。ここでは、シュンランに始まり、エビネ、キンラン、ギンラン、ササバギンランといった、かつて多摩丘陵の雑木林を彩っていた里山のランたちが、早春から初夏まで人知れず咲き継がれているのです。

 都市近郊の里山では、ランの盗掘が深刻な問題となっていますが、ここでは盗掘はないようです。こんな所に貴重な花があるなんて、ほとんどの人が気づいていないのでしょう。

 私が日常生活圏に見いだした奇跡のオアシスは、塩まみれの心身を30年にわたって癒してくれましたが、それももうすぐ終わろうとしています。先日、シュンランを訪ねた私の目に飛び込んできたのは、白い工事看板でした。ここに斜面マンションが建つというのです。目の前が真っ暗になりました。長い間当たり前に身近に存在していたものが、こうも突然に失われようとは思ってもみませんでした。

 「あれほど丁寧な手入れを続けてこられた地主さんに、よほどの事情が生じたのに違いない」と自分に言い聞かせても、情けない事になかなか現実を受け入れられません。この先いつまで立ち入れるかは分かりませんが、残されたわずかな日々の中で、できるだけ濃密な雑木林との時間をつくって、思い切り別れを惜しんでみたいと思います。

写真はこちらから  

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○2008年4月8日の低気圧による定置網被害の状況

 相模湾試験場では、定置網を急潮や波浪から守る研究を進めていますが、10日程前の4月8日に、低気圧が相模湾の沖合を通過した際に、湾西部の定置網漁場中心に漁具被害がありました。ここでは、その時の定置網漁場周辺における気象や海の状況についてお話します。

 2008年4月8日の低気圧は、2008年4月7-8日にかけて、九州から関東の南岸を通過し、西湘地区の定置網に破網等の被害をもたらしました。被災されました漁業者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 この低気圧は、4月7日15:00には、鹿児島県大隈半島の南東沖200kmの海上にあり、1004hPaの勢力で、時速30kmで東北東に進みました。8日15:00には、房総半島の南約300kmの海上に至り、気圧は984 hPaまで降下しました。この間、気象庁の最大風速記録では、小田原では北風8m、辻堂では同じく11mとなっていますが、沿岸各地先での体感では、その倍程度の北寄りの強風と感じられていました。

 小田原市江之浦漁港では、西側防波堤を越波、真鶴港でも前面の防波堤を越波し、最大波高も目視では5mを越えていたものと見られます。

 この低気圧通過時を含む前後6日間の小田原市江之浦沖観測点水深5-45mの流れの記録を図に示します。低気圧が関東の南に接近しつつあった4月8日早朝から表層流(5-10m)が早くなり、1-1.4ノットに達しました。これは急潮と言われる海の中の早い流れです。 20m以深では、0.6ノット以下の比較的穏やかな流速となっていました。

 今回の定置網被害は、箱網等の水面付近での破網や垣網の側張りへの絡みであり、表層の急潮と高波が同時に作用した結果、発生したものと考えられます。

 相模湾における台風通過等による定置網漁具被害は、高波による浅海部(垣網留め)の損傷、登網等のボタン綱切断、関東の沖を通過する台風の後急潮が特筆されていました。また、昨年の台風0709号のような直撃型台風では、高波と同時に吹く東風(相模湾奥部の海岸に平行) の強風に伴う急潮が加わり、定置網等に極めて大きな被害を与えることが分かっています。

 更に、今回のような沖を通る低気圧では、強い北風と同時に発生する表層流の急潮と高波により、網の破れや絡みが引き起こされることが新たに分かって来ました。今後は波浪と同時に起こる急潮への対策が重要な課題であると思います。 

写真はこちらから  

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