神奈川県水産技術センター メルマガ249

掲載日:2014年1月30日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.249 2008-06-06

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.249 2008-06-06
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□研究員コラム

○三崎まぐろブランドの心意気  (栽培技術部  一色 竜也)

○10年ぶりの試験場 (相模湾試験場  山本 章太郎)

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○三崎まぐろブランドの心意気

 前回から引き続き、今回も三崎のまぐろ業界の心意気を示すエピソードを紹介したいと思います。今回は三崎のまぐろ小売、加工業の人々の心意気についてです。

 以前、このメルマガで紹介したとおり、漁獲物の年齢構成を知ることは資源量を解析するために重要です。しかし、魚に年齢を聞く訳にはいかないので、鱗や耳石に刻まれた年輪を読んで年齢を調べるのです。さらに、その魚の体長等が分かっていれば、年齢と体長の関係から、漁獲物の年齢組成を推定することができるのです。

 しかし、鱗はともかく耳石となると魚の頭の中にある訳ですから、特にまぐろ類のように1尾の値段が高価な魚からのサンプリングは予算上困難です。さらに、体長と年齢の関係をある程度の精度を保って推定するには、高価な魚体を数十から数百尾単位でサンプリングする必要がありますので、もはや不可能となってしまいます。

 今から10年近く前の話になりますが、三崎のまぐろ水揚物の多くを占める太平洋メバチの漁獲量を制限しようという国際的な動きがあり、我が国としては日本のまぐろはえなわ漁船が漁獲するメバチの資源情報を明らかにする必要に迫られておりました。

 その頃までに、漁業者にお願いして漁船上での体長測定が実現し、体長データの蓄積は拡充しつつあったところでしたが (2007-04-27 no193「マグロ資源を守るものこれからも美味しいマグロをいただくために」)、体長から年齢を推定する知見が不足しておりました。

 過去のデータはあったのですが、年齢と魚体の大きさの関係は資源の大きさによって変化するので、その時点での両者の関係を導く必要があったのです。

 なんとか、メバチの耳石を得ることができないだろうかと考え、三崎ならではの地の利を生かした方法を考えつきました。それは、三崎のまぐろ小売、加工業の方々にお願いして、耳石を含むまぐろの頭を譲っていただけないかという考えでした。

 そう考えていた矢先、三崎のまぐろ小売、加工業者の方々から「まぐろ資源の動向について話をしてもらえないか」と依頼があり、まぐろ類の資源国際会議で提出された知見の紹介や、まぐろ資源を持続的に利用していくためには科学的なデータが重要であることを説明しました。そして締めくくりに、「まぐろの年齢解析に必要な耳石を含む頭の部分をご提供いただけないか」とお願いしてみました。

 すると、早速数件の業者からご連絡をいただき、メバチの頭の一部を譲っていただけるようになりました。この直後、私は人事異動でまぐろ調査研究から離れることになり、私の後任の加藤健太研究員によって調査研究が受け継がれ、結果の一部は神奈川県水産総合研究第7号にまとめられました。

 この資料の中には三崎水産高校の実習船湘南丸によって収集されたサンプルも含まれています。メバチ成魚の複数個体から収集された成長の知見として世界的にも非常に貴重なものであると思います。

 こうした調査研究が、小売・加工業者のご理解によって支えられたというところが、非常に重要なことではないでしょうか。三崎のまぐろブランドはまぐろ資源を守る、理解しているという点においても伊達ではないということの現れなのです。

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○10年ぶりの試験場

 メルマガご愛読者の皆様、はじめまして。

 私は、今年4月の人事異動で相模湾試験場に異動してきました。試験研究業務は10年振りで、今回、この原稿を書くにあたっても、「お魚の話」とか「海の中の話」とか、水産の試験研究らしい話が思いつきません。

 そこで、最近まで自分が取り組んできた「魚食普及」とか「鮮度保持」といったことについてお話をしたいと思います。そのなかで今回は、「漁獲物の鮮度保持」についてのお話をしたいと思います。

 相模湾の沿岸では、定置網や一本釣り、刺網など様々な漁業が行われています。そのなかでも中心的な漁業である定置網では、アジ、サバ、イワシ類、ソウダガツオなどが漁獲されています。これらの魚種は「多獲性魚種」とよばれるだけあって、1回の網締めで漁獲量が10トンを越えることがあります。これだけたくさん獲れると、氷の使用量が足りなかったり、出荷に時間がかかってしまったりして、魚の鮮度が低下してしまい大きな問題となっていました。

 その対策として、「殺菌冷海水製造貯蔵装置」が導入されました。この装置は海水を汲み上げ、そこへ紫外線を照射して殺菌し、0℃まで冷却して貯水しておく装置です。この装置で作られた「殺菌冷海水」と氷を出港時に漁船の魚倉に入れておき、定置網で漁獲した魚をこの魚倉へ入れるわけです。

 ここで肝心なのは、あらかじめ魚倉の中に「殺菌冷海水」と氷を入れておき、魚倉を「よく冷えた状態=性能の良い冷却装置」としておくことです。つまり、漁獲された魚は魚倉に入れられると「短時間で冷却=即殺」されることになります。この「漁獲直後の適切な処置」が魚の鮮度を大きく左右します。

 以前は氷だけを魚倉に積み込んで出港し、沖で魚と一緒に海水を入れていました。これだと海水の温度が暖かいため、魚倉の中はさほど冷えていない状態となり、そこへ魚を入れても「なかなか冷えず=苦しむ時間が長い」ということになり、鮮度が悪くなります。

 この「殺菌冷海水製造貯蔵装置」が導入されたことにより漁獲物の鮮度が格段に向上しました。以前は鮮度保持が難しいことから食用として出荷されていなかった「カタクチイワシ」も最近はスーパーの鮮魚売り場や魚屋さんに頻繁に並ぶようになりました。みなさんもスーパーの鮮魚売り場や魚屋さんで「カタクチイワシ」を見かけたら産地表示を確認してみてください。相模湾の定置網で漁獲され「殺菌冷海水」が使われているものかもしれませんよ。

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