神奈川県水産技術センター メルマガ259

掲載日:2014年1月28日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.259 2008-08-15

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.259 2008-08-15
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□研究員コラム

○八重山での出来事  (相模湾試験場  片山 俊之)

○アラメ   (栽培技術部  照井 方舟)

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○八重山での出来事

 神奈川県水産技術センターメールマガジンをご覧の皆様、初めまして。

 今年の4月から水産技術センター相模湾試験場に配属されました片山です。以後、よろしくお願いいたします。出身は静岡県の藤枝市というところで、大学生になって上京して来ました。大学4年生と大学院の2年間では魚類の種苗生産を専攻し、学部生の時は石垣島、大学院生の時は大分県にある国の研究機関で実験をさせてもらっていました。

 石垣島では、恐らく皆さんには馴染みの薄いであろうシロクラベラという魚の種苗生産を行っていました。シロクラベラはベラ科イラ属の魚類で、成長すると全長1mにもなる大型の魚類です。口からは上下2本ずつの出っ歯が飛び出していてなんともかわいらしい顔をしています (少なくとも自分にはかわいく見えました)。沖縄ではマクブーと呼ばれ、アカマチ(ハマダイ)、アカジン(スジアラ)と共に三大高級魚に数えられる魚です。そんな高級魚であるシロクラベラの種苗生産を毎日悪戦苦闘しながらも楽しくやらせてもらっていました。

 さらに、同時期に同じ研究室から石垣島に行っていた学生がタイマイとヤシガニについての研究を行っていたので、自分もよく飼育や実験の手伝いをしていました。

 今回は、そんな島生活の中での恐怖体験について書こうと思います。それはヤシガニのサンプリング中に起こりました。同期の学生がヤシガニの初期生態を明らかにするため幼生の飼育をするということで、抱卵個体をサンプリングしに行くことになりました。ヤシガニのメスは交尾を行った後自分の腹部の裏側に卵を産み付けます。

 ヤシガニは夜行性なので、抱卵個体を捕獲するため懐中電灯を持って夜の海岸を歩き回りました。しかし抱卵個体はなかなか見つかりません。半分諦めかけて行った最後のポイントで岩をよじ上り探していると、岩穴にじっと身を潜める抱卵個体を発見。近くに落ちていた棒で強引に引っ張り出しなんとか捕獲しました。

 嬉しさのあまり記念撮影などをして喜んでいたその時、なんとヤシガニが僕の胸部を挟んだのです!ヤシガニの挟む力はすさまじく指など挟まれた日には一大事!幸いにも、僕が挟まれたのは胸の皮膚程度だったので着ていたTシャツを破かれるくらいですみましたが、乳首のすぐ横だったので内心ドキドキでした。あの時もし乳首を挟まれていたら・・・思い出しただけでゾッとします(笑)。皆さんもヤシガニの挟み攻撃には気をつけてください。

 さて、試験場に配属されて早4ヶ月が経ちましたが、早く一人前の研究員になれるよう日々頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします。  

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○アラメ 

 アラメという海藻をご存じですか?北海道、東北の一部を除く水深10m以浅に広く分布するコンブの仲間の褐藻類です。比較的大型の海藻で海中林と呼ばれる大きな群落をつくり、カジメとともにアワビ、サザエの重要な餌となっています。

 写真1 アラメ群落 

 「里山」という言葉があります。人が手を入れることによりバランスが保たれ、多様な環境が維持されています。海でも同じようなことが言えると思います。過密になったアラメ、カジメの一部を刈って日当たりを良くすると、下草が生え、多様な生物相が形成されることによりアワビ、サザエも増えてきたと考えられます。

 昔はアラメ、カジメについたバテイラ(シッタカ、カジメっ食い、タマなどとも呼ばれる貝。写真2,3)を採るため、アラメ、カジメも刈っていました。バテイラを採った後、アラメ、カジメは海中へ。これがアワビのいい餌になっていたと思います。(アワビは海藻によじ登って食べるのではなく、波浪等でちぎれて流れてきた海藻を拾って食べます。)もちろん刈り過ぎはダメです。昔の人は、その辺のバランスを経験的に知っていたのかもしれません。

 一方、最近全国的に問題になっている「磯焼け」は、アラメなどの海藻が無くなってしまう現象です。その原因はさまざまですが、一つに食害が挙げられます。ウニやアイゴという魚が海藻を食べ尽くしてしまいます。餌がなくなればアワビ、サザエも居なくなってしまいます。

 このアラメは、ウニやアイゴだけではなく、人間だって食べられます。私が子供の頃、横須賀の魚屋から干したアラメを買ってきて、煮物にしてよく食べていた思い出があります。最近そのことを思い出し、周りの同僚たちに訊いてみましたが、誰も食べた事のある人は居ませんでした。そういえば売ってるのも見かけませんし…。

 先日、館山へ行った時です。アラメの煮物を売っていました。嬉しくなって買って食べました。ちょっと味付けが濃い目でしたが懐かしい味、まさにアラメの味でした。何でもっと普及しないのか不思議なくらいです。文才がないので味をうまく表現できませんが、程よい柔らかさの歯ごたえ、しわしわの表面の舌ざわり、昆布や若布にはないちょっとしたエグみ。

 最近、駅の立ち食いそば屋さんで見かけました。カジメが練りこんであるといううどん。早速食べてみました。こちらは煮物と違って鮮やかな緑色。磯の香りが口の中に広がります。煮物のアラメとは全くの別物という感じです。機会がありましたら、煮物とうどん、召し上がってみてください。それぞれお勧めです。

 このように美味しいのだけれど、あまり知られていないものが、海の中にはまだまだたくさんあると思います。先入観にとらわれず、おいしいものは、どんどん広まって欲しいと思います。 

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