神奈川県水産技術センター メルマガ268

掲載日:2014年1月28日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.268 2008-10-17

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.268 2008-10-17
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□研究員コラム

○川の中の魚 (内水面試験場 高村 正造)

○トラフグ資源の創造を図る (栽培技術部 一色 竜也)

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○川の中の魚

 内水面試験場で働き始めて半年が経ちました。初めの頃に比べると大分慣れてきたかなと感じます。私はアユと希少魚に関する仕事をしているので、今回はアユの調査で川の中に潜ったときの話をします。

 アユの調査では、魚の様子を見るためによく川に潜ります。川の中で魚の様子を観察すると、水槽とはまた違った魚の行動を見ることが出来ます。潜った直後は魚は逃げますが、しばらくじっとしていると戻ってきて、目の前を悠々と泳ぐようになります。餌を食べたり、群れになっていたり、他の魚を追い払ったりなど魚によって様々な行動を観察できます。

 川魚の中でもアユは敏捷な魚で、逃げるときはあっという間にいなくなります。採集調査でもアユは動きが素早くて苦労します。他方、カジカやハゼなどの川底にいる魚たちはのんびりとしています。触ろうとするとさすがに逃げて行きますが、そんなに遠くには行きません。

 オイカワの雄は色鮮やかな魚体で鰭をヒラヒラさせて泳ぎます。まるでサンゴ礁にいる熱帯魚のようです。また、60センチ位の鯉がいきなり突進してきてビックリすることもあります。

 調査は緑豊かな場所から都会の近隣にある川まで色々な地域で行いますが、都市河川でも結構、多種多様な魚を見ることができます。

 潜るときはウエットスーツを着ていますが、川で遊んでいる子供たちに会うと不思議そうな顔をされます。はたから見たら全身黒ずくめの服で川をうろうろしている不審者?という感じなのでしょう。

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○トラフグ資源の創造を図る

 今年度から水産技術センターでは正式にトラフグの栽培漁業をスタートさせました。トラフグは以前から神奈川県下で年間最大で1-2トンくらいの漁獲がみられてきましたが、年変動が大きく、主力となる漁業対象種ではありませんでした。しかし、高級魚として価格が高いため、漁業者から注目されておりました。

 房総半島から相模湾にかけての関東周辺海域ではトラフグの漁獲量は少ないのですが、駿河湾を挟んで伊勢湾・遠州灘を中心とした海域には比較的大きな資源があり、近年ではトラフグを地域の観光名物として活用できるほど、漁業や関連産業が盛んに営まれています。

 沿岸漁業の重要種となっているマダイやヒラメが房総半島から伊勢湾に広く分布しているのとは違いがはっきりしています。もしかすると、時々相模湾や東京湾に現れるトラフグは、伊勢湾・遠州灘群から来遊してきた群かもしれません。

 トラフグの分布が伊勢湾・遠州灘に偏っている理由としては、産卵場の有無が大きな要因になっていると思われます。マダイやヒラメは房総半島から伊勢湾に至る海域にいくつもの産卵場が分布しておりますが、トラフグは伊勢湾口にあるのみで関東周辺海域に産卵場はみられていないのです。もし、東京湾口に産卵場が形成されれば、新たな資源群が形成するかもしれません。

 伊勢湾・遠州灘群も実は1989年に大きく漁獲をのばした時期があり、その後、種苗放流等の人工的な添加もあって現在の資源が形成されたといわれております。産卵場の形成にはある程度、まとまった量の群が来遊することが必要条件ですので、種苗放流により人工的に資源を添加し、それを元手に新たな資源の創造が望めるかもしれません。しかし、種苗放流しても関東周辺海域で生き残り、親魚まで成長しないのであれば、その可能性はありません。

 神奈川県では、すでに平成16年度から相模湾における一部の漁協でトラフグの種苗放流が行われおり、その後、隣接の魚市場でまだ若いトラフグの水揚げがみられ始めました。天然のトラフグがこれほど頻繁に水揚げされることはないので、放流種苗の生き残りと考えられました。

 このことから放流効果は高いのではないかとの期待が高まりましたが、トラフグの種苗生産時期の3-8月は当水技センターではヒラメ、(財)神奈川県栽培漁業協会ではマコガレイとマダイの種苗生産時期にあたってしまい、現有の施設や人員体制ではトラフグの種苗生産に取り組むことができませんでした。ところが、平成18年度の6月中旬にその状況を一変させる思いがけないことが起こりました。

 それは、(独)水産総合研究センター南伊豆栽培漁業センターから「トラフグ種苗に余裕があるので放流してみないか。」との提案をいただいたことです。急遽、(社)全国豊かな海づくり推進協会の栽培漁業技術実証事業 注)に正式にエントリーし、(財)神奈川県栽培漁業協会と共同で相模湾に1万尾と東京湾に5千尾を放流しました。せっかく供与いただけた種苗なので「放流魚」であるとの証が必要と考え、相模湾には青、東京湾には赤のアンカータグを全個体に装着しました。

 種苗供与の提案から7月末の放流までの約1ヶ月間はアンカータグの確保、実証事業へのエントリー、放流海域の選定と漁協との協議、さらに標識の装着等、すべてに迅速な対応が求められましたが、トラフグ種苗を放流すること、それも標識を付けて放すことは本県の栽培関係者、漁業者にとって「夢のようなこと」でしたので、トントン拍子に進みました。

 これまでの標識魚再補報告によってで、東京湾放流群は相模湾や外房周辺海域へ、相模湾放流群は伊豆半島沿岸から房総半島館山周辺海域へ来遊することがわかりました。さらに、その成長は、伊勢湾・遠州灘のトラフグと遜色ないことも明らかになってきました。今年度は標識放流調査以外にも種苗生産技術の確立に向け、南伊豆栽培漁業センターからトラフグ受精卵の供与を受け研究を開始しております。

 標識魚採補報告は釣り人からも多く寄せられております。背中に標識をつけたトラフグを発見された時は、是非、水産技術センターにご報告よろしくお願い申し上げます。

 注)(独)水産総合研究センターで生産したトラフグ等の種苗を使って放流技術の開発にかかる試験研究を行う事業 

 写真はこちらから

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