神奈川県水産技術センター メルマガ271

掲載日:2014年1月27日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.271 2008-11-07

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.271 2008-11-07
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□研究員コラム

○手取り、足取り、ヒラメの飼育 (栽培技術部 長谷川 理)

○鳥山の「トリ」 (資源環境部 田島 良博)

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○手取り、足取り、ヒラメの飼育

 皆さん、覚えていらっしゃるでしょうか、98年1月8日に起こった首都圏の大雪騒動を? 私は歩道に積もっていた雪に滑って、足首を捻挫しました。怪我をして10年経過しましたが、季節の変わり目になるとこの古傷が今でも時折痛くなり、あの時の悪夢を思い出します。この出来事以来、私は、足首で季節の変化を感じるようになってしまいました。

 ヒラメを飼育していて思うことなのですが、高水温に弱いヒラメでも、夏場までの昇温期における飼育管理の上手い下手によって、夏場の斃死状況がずいぶんと変わってくるようです。今年は、この昇温期間を無事に乗り切り、夏場の斃死が少なく、ホッとしていました。

 ところが、ここにきて、毎日のように、死亡魚が散見されるようになってきました。この時期は水温が徐々に下降します。季節の変化はヒラメ達にとってとても重要で、この変化をヒラメたちは敏感に感じ取り、来期の産卵に備えて食欲が旺盛になっていきます。

 しかし、一部の個体の中にはこの変化に対応できずに、病気を患ってしまうものがあるようです。「change」という言葉が巷でよく聞かれるようになっていますが、この自然の変化に対して、適応性のあるものだけを選べば私が担当しているヒラメの育種は成功するのでしょうか?

 たぶん、それは無理でしょう。変化に「対応できるもの」と「対応できないもの」の両方があってはじめて育種の研究は、成り立ちます。すなわち、「対応できないもの」をいかに上手く飼育できるかが、この研究の成否を決定するのかもしれません。

 今後も自分の腕だけでなく季節を感じることができる足も駆使しながら、この水温の不安定期に生じるヒラメの微妙な変化に注視しつつ、いろいろな個性を有するヒラメを飼育していきたいと思います。

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○鳥山の「トリ」

 私は、2004年4月に「海鳥は天敵?」(No.40)でメルマガデビューしましたが、それ以来久しぶりに「鳥」の話題です。

 漁業者にとっては、「トリ」が重要な存在であることは、「海鳥は天敵?」の最後でもふれました。「トリ」の群れは、魚群を探す目安となり、魚群探知機やソナーが普及した現在でも、遠くから見える「鳥山」は、漁場探索をする上で重要な存在です。

 この鳥山の「トリ」は、神奈川県の沿岸では主にオオミズナギドリ(写真1)です。漁業者は単に「トリ」と呼び、逆に漁業者が「トリ」といえば、たいてい鳥山を形成するこのオオミズナギドリやカモメ類のことを指します。洋上生活をするミズナギドリの仲間は、普段あまり岸近くにいないため、馴染みのない方も多いと思いますが、東京湾でもフェリーなどに乗ると時々見かけます。

 オオミズナギドリは、洋上生活が染み付いているのか、岸近くに居るときも陸上で羽を休めることはほとんどないようです。これは、飛び立ち方の違いのせいかもしれません。カモメ類は、陸上にいてもその場から飛び立つことができますが、オオミズナギドリは助走が必要です。このため、繁殖の時など、どうしても必要な場合以外は、助走しにくい陸上には降りないのかもしれませんね。

 さて、このオオミズナギドリが、今年は秋口から三崎港に大量に滞留していました。港内にマイワシやウルメイワシなどのイワシ類がたくさん居たためです。普段も、イワシ類の群れが港内に入ってきて、カモメの仲間(主にウミネコ:写真2)が賑やかになることはありますが、数ヶ月にわたってオオミズナギドリの群れが港内に滞留することは珍しいと思います。

 イワシを求めて港内に来たのはトリだけではなく、釣り人に人気のあるイナダ(ブリの子供)もやってきました。岸からイナダが釣れるということで、三崎港はちょっとしたイナダフィーバーに沸いていました。このイナダやスズキなどがイワシを捕食するために、海面に群れを追い詰めると、海面がさざ波立ったり、イワシが水面から飛び出したりして、そこに鳥山ができます。逃げ惑うイワシの群れは、めまぐるしく場所を変えながらも水面に追い立てられ、そのたびにあちこちに鳥山ができます。まさしく厳しい生存競争の現場ではありますが、あちこち移ろう鳥山を目で追うのも楽しいものです。(写真3)

 この原稿を執筆している10月末、急にオオミズナギドリの姿が少なくなりました。イワシの群れが港内から出て行ってしまったのかもしれません。メルマガが発行される頃には、三崎港もいつもの静かさを取り戻しているかもしれませんね。

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