神奈川県水産技術センター メルマガ272

掲載日:2014年1月27日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.272 2008-11-14

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.272 2008-11-14
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□研究員コラム

○漁港の話 その2 (企画経営部 前川 千尋)

○田んぼにかける魚道 (内水面試験場 勝呂 尚之)

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○漁港の話 その2

 横浜から城ヶ島に転勤して半年が過ぎました。以前から仕事で城ヶ島には来る機会がありましたが、三崎や城ヶ島が観光地であるとの意識はあまりもっていませんでした。今年の夏休み、特にお盆の時期には、観光客の方が多くなり、三崎の道路は渋滞し、あらためて観光地に毎日通勤していることを認識したところです。

 さて、今回は、漁港の定義や漁港施設の話をしたいと思います。まず、法律上の漁港の定義ですが、漁港漁場整備法第2条で「天然又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体であって、第6条第1項から第4項までの規定により指定されたものをいう。」と規定されています。

 私は、最初のこの条文を読んだとき、何のことかさっぱり分かりませんでした。漁港は、漁業の根拠地であることは言っていることは何となく分かりましたが、「天然」や「水域及び陸域並びに施設の総合体」とは何???と考えこんでしまいました。

 色々資料を調べていきますと、「天然」とは、岬や島陰の静かな湾内は、天然の良港として古くから港として利用されてきたことから、波や風を防ぐ機能のある岬、島等の天然地形も漁港施設として位置づけようとしているものだということが分かりました。

 「陸域」というのは、船を揚げたり網干し場として利用している砂浜等を漁港の範囲に含めることを意図しています。施設というのは、防波堤、岸壁、護岸というような港の施設として思い浮かぶものを指しています。「第6条第1項から第4項までの規定により指定されたものをいう。」というのは、単に漁船が停係泊し漁業活動に利用されている湾や浜があっても、法律の規定で指定されたものでないと漁港ではない、ということを言っております。

 漁港施設は、法律の第3条で定義されています。この中では、防波堤、岸壁、桟橋、航路、泊地等港としてごく普通の施設もありますが、漁港としての機能を発揮されるための特徴的な施設も漁港施設とされています。

 例えば、魚などを輸送するための施設として鉄道、道路、駐車場や漁具を保管するための施設、水産種苗の生産施設、水揚げされた水産物を処理するための荷さばき所(魚市場)、倉庫、冷蔵庫、製氷施設などです。さらに、漁港の環境改善のための広場、植栽、休憩所も漁港施設として位置づけられています。

 これらの施設が漁港の中に全て揃っているわけではなく、それぞれの漁港の規模、機能によって必要な施設が整備されています。

 ちなみに、読者の方で城ヶ島を訪れたことがある方は、城ヶ島大橋を渡った思いますが、この城ヶ島大橋も漁港施設としての道路(臨港道路)として整備し管理されているものです。見た目は普通の道路と変わりはありませんが、法律上は漁港内の港内道路(工場の中の通路みたいなもの)という位置づけで私道扱いになります。また、長崎県の長崎漁港には、高速道路と見間違う臨港道路もありますが、このような道路も私道として扱われています。

 次回は、漁港の種類や漁港にまつわる数字の話をしたいと思います。

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○田んぼにかける魚道

 子供の頃、近所の田んぼの水路に、突如、シャベルカーが出現し、工事が行われたことがありました。何ができたのかな?と、様子を見に行くと、水路はコンクリートのドブと化し、魚やエビ、オタマジャクシなどでにぎわっていたはずの流れには、何もいなくなっています。とてもがっかりしてショックを受け、その近くを通る時には、無意識に水路から眼を背けるようになりました。

 最近は環境を重視し、生物と共存する時代へと変化しています。農業用水路の工事も見直され、生き物への配慮が行われるようになりました。そのひとつに魚道の設置があります。水路は人間の維持管理を重視すると、掘り下げられ、コンクリート化されます。その結果、水路と水田には大きな段差が生じ、生物の往来を分断します。

 実は、水田とその周辺の用水路は、水温が高く栄養が豊富なので、メダカ、ドジョウ、ナマズなどが産卵場として利用し、赤ちゃんの育成場になっています。そのため、水田の減少や水路の改変によって、これらの魚類は、全国的に減少しているのです。

 内水面試験場では宇都宮大学と共同で、絶滅危惧種のホトケドジョウとギバチに適した水田魚道の研究を行っています。主に千鳥X型とカスケードM型という二つのタイプを検討し、魚類行動試験室で魚を遡上させデータを収集しています。これまでに、ホトケドジョウには千鳥X型が適していること、カスケードM型では、魚道内の水深を確保することで利用できることなどがわかりました。

 また、屋外の人工河川「生態試験池」でも、この二つのタイプを並列で設置し、ギバチの遡上状況を調査しています(写真1)。水田周辺に生息する淡水魚に適した魚道を開発し、分断された生息環境を復元することで、メダカやドジョウがたくさん泳ぐ用水路を復活させることができればと考えています。

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