神奈川県水産技術センター メルマガ281

掲載日:2014年1月27日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.281 2009-01-23

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.281 2009-01-23
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□研究員コラム

○全国アマモサミット2008   (栽培技術部 工藤 孝浩)

○観測と記録  (資源環境部 清水 顕太郎)

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○全国アマモサミット2008 

 昨年12月5-7日に、アマモを象徴とした海辺の自然再生に取り組む市民、企業や行政の方々が津々浦々から集う、全国アマモサミット2008が、横浜市みなとみらいのはまぎんホール・ヴィアマーレなどで開催されました。

 初日午前中は、国交省国土技術政策総合研究所が主催する「第9回東京湾シンポジウム」が行われ、昨夏に実施された東京湾一斉水質調査の結果などが発表されました。午後は、金沢八景-東京湾アマモ場再生会議が主催する「アマモ場再生に関する全国主要活動成果発表」が行われ、岡山、博多、中海、佐渡、熊本、葉山、横浜・横須賀から、アマモ場再生を実践している方々の生の声が届けられました。

 2日目は神奈川県が主催となり、午前中に「世代を超えた連携による自然再生活動:アマモで見た東京湾のつながり」と題された子供たちの発表がありました。横浜の人工海浜・海の公園で活動する横浜市立金沢小学校と県立金沢総合高校、横浜唯一の自然海浜で活動する横浜市立瀬ヶ崎小学校、東京湾に注ぐ川の流域で活動する横浜市立大道小学校、お台場で海苔づくりなどに取り組む港区立港陽小学校、東京湾最大の盤洲干潟で活動する木更津市立金田小学校に加え、遠く四万十川流域からもゲストが駆けつけてくれました。

 午後は、NHKの與芝由三栄アナウンサーの司会によるパネル討論でした。松沢成文神奈川県知事も登壇し、海の自然再生に取り組む「海をつくる会」の高校生と、「NPO法人海辺つくり研究会」の理事とともに、本県のアマモ場再生について大いに語っていただきました。実は、松沢知事はアマモを植えた全国でただ一人の知事なのですよ。

 最後には、「全国アマモサミット2008横浜宣言」の案文が提案され、二日間の報告・討論などを踏まえて、パネラーと会場参加者が全員でその内容を検討しました。進行とともに順次書き換えられていく案文は、パソコンとのオンラインでスクリーンに映し出されて会場に共有されました。満場一致で採択された横浜宣言は、まさにサミット参加者が全員でつくりあげたものとなったのです。

 最終日には現地見学会が行われ、バスで県内のアマモ場再生と海の自然再生の現場を巡りました。2005年の全国豊かな海づくり大会で天皇皇后両陛下からお手渡しされたアマモが育つ横浜市海の公園、干潟や藻場を再生するための大規模な実験施設がある横須賀市にある(独)港湾空港技術研究所、50年ぶりに川崎市によみがえった砂浜の東扇島の人工海浜の3ヶ所に行きました。

 今年のアマモサミットは、鳥取・島根両県にまたがるラムサール条約登録湿地である中海で開催されます。今度は一参加者として、社会や人などの様々な条件が本県とは異なる地域での自然再生の取り組みを存分に勉強したいと思います。

 なお、アマモサミットの詳細は、次のWebをご覧ください。

 http://www.meic.go.jp/amamo2008/ 

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○観測と記録

 昨年のお話で恐縮ですが、昨年(2008年)の3月25日に北海道の札幌で3月としては117年ぶりに気温が15度を超えたとの報道がありました。117年前というと明治24年だそうで、この日の北海道は記録的な暖かさとなりました。

 こんなことがあると、皆さんは近年よく話題に上る「地球温暖化」と言う言葉を思いうかべる方も多いかと思いますが、今回は地球温暖化のお話はひとまずおいておきます。

 このニュースが流れた時、某テレビ局の朝の番組で某女性アナウンサーが「117年前の記録があるんだ・・・」と感心していましたが、私もまったくそのとおりだと思いました。

 私は昨年の4月に担当が変わり海況担当として、日々海水温などの観測結果を利用しています。現在では観測機器の進歩により、気温・水温・塩分などの時間的・空間的な連続観測は比較的容易になってはいますが、それでも、連続してまたは定期的に欠かさず正しいデータを得るのは大変な努力が必要となります。ましてや今のような便利な機器のない100年以上前に365日1日も欠かさず観測を継続し記録をとりつづけることはさぞかし大変なことであったろうと想像できます。

 さて、「100年以上前の気温の記録」というと、ほとんどの方に「貴重な記録」だと納得していただけるでしょう。しかし、「1時間前の気温の記録」というと、たいていの方がそれほど貴重だとは考えないでしょう。ですが、「観測」して「記録」しておかなければ、1時間前の気温も知ることはできませんよね?そのような意味では「100年前の記録」も「1時間前の記録」もたいした違いは無いでしょう。

 もっとも、100年以上前の記録を保管しつづけるということは、記録をとりつづけることとは別の意味で大変な努力が必要です。せっかくの記録も紛失してしまっては意味がありませんので、「記録を保管すること」は「記録をとること」と同じくらい大事なことです。そのような努力が払われた「100年前の記録」は「1時間前の記録」より貴重なのかもしれませんね。

 当センターでも業務として海水温や塩分等々を観測(つまり海洋観測を)してデータを取得しています。これは「現在の海の状態」を把握して海況図等で漁業者や県民の皆様にお知らせし、漁業操業や海のレジャーなどに役立ててもらうとともに、海の研究を行うための資料収集として行っているのですが、併せて取得したデータを記録として残すことも目的としています。海洋観測の成果のひとつとして「関東・東海海況速報」がありますが、その前身の「一都三県漁海況速報」ともども神奈川県の農林水産系のホームページで一番のアクセス実績があり、一般の方々の海に対する関心の高さを感じています。

 その一方、海洋観測は当センターの業務の中でもいろいろな意味で一番理解され難いもののひとつです。なにしろ、極論すれば「海の水温を測って記録しているだけ」なのですから・・・昨今のように財政が厳しくなると、「すぐに結果や成果の出ない海洋観測なんかやめてしまえ」とか「いつまで続けるの?」などという声も出てきます。それは海洋観測で得られたデータが様々な研究や情報の基礎資料となっていることが理解されにくいということと共に「観測して記録しておくこと」を続けるということの重要性がなかなか理解されないことがあげられます。

 しかし、各方面の努力にもかかわらず、おそらく(その程度はともかく)当分のあいだ「地球温暖化」は進行するでしょう。そのとき「なんだか昔と比べて暖かくなったような気がする」だけでは(そのような感覚はとても大事だと思いますが)少なくとも科学的な議論はできないでしょう。過去の観測記録と現在の観測結果とを比べて「過去と比べて現在はこう変わっている」と具体的に話せないといけないでしょう。そのような議論をするためにも、「観測して記録する」ことはとても大切だと考えています。何しろ、一度やめてしまえば二度と取り返しがつかないのですから・・・皆さんはどのようにお考えになりますでしょうか?

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