神奈川県水産技術センター メルマガ288

掲載日:2014年1月23日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.288 2009-03-13

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.288 2009-03-13
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□研究員コラム

○魚体測定は水産資源の健康診断  (栽培技術部 一色 竜也)

○10年ぶりの潜水作業  (相模湾試験場 山本 章太郎)

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○魚体測定は水産資源の健康診断

 水産技術センターの調査の中で「魚体測定」は非常に重要な仕事と言えます。体長や体重のデータは年齢や成長等について、生殖腺の重さや熟度データは雌雄や産卵について、胃内容物の種類や量のデータからは対象資源を取り巻く餌環境についてさまざまな情報が得られるのです。こうした情報と漁獲量などの統計情報を組み合わせ、水産資源量の動態解析に用い、資源の利用方法や漁獲量が適正かどうかを検討するのです。

 魚体測定には、研究室に魚を持ち込んで精密に測定を行う場合と、漁港に出向き水揚げされた魚を測る場合があります。研究室で行う場合は、多くの項目について詳細な測定が可能となり、場合によっては必要な部位をサンプリングします。測定に用いられる魚は調査船等で職員が捕獲した物や漁獲物の一部を購入して行うので、サンプルの個体数には限りがあります。一方、漁獲された魚の全体の特性を把握するためには、漁港に出向いて水揚げされた魚を測る「市場調査」を行います。現在はマダイ、ヒラメ、トラフグなどで行われております。

 市場調査では水揚げされた魚を測るので、そのタイミングが重要になります。すなわち、「魚が漁港に水揚げされ、荷捌き場に集められ、競り落とされる。」という一連の流れに合わせ、集荷と競りの合間の短時間に行う必要があります。集荷と競りが早朝の場合や午前と午後の2回行われる場合は、その時間に合わせて漁港に出向く必要があります。

 また、水揚げ場所や時期によっても魚の大きさや質が異なるので、県下各地の市場に頻繁に出向く必要もあり、調査員はほとんど出ずっぱり状態で各地を飛び回っていることになります(その模様は、水産技術センターのホームページ「市場を歩く」のコーナーに掲載しています。)。

 市場では、水揚げされた魚について1尾ずつ体長測定と放流魚判定を行います。特に活魚の場合は、水槽に泳いでいる魚を一旦手持ちの網に収容し、弱らせないように1尾ずつ手早く測定します。加えて、マダイについては年齢解析と集団遺伝解析を行うため、鱗をサンプリングします。鱗には輪紋という年輪の様な筋がついており、これを読むと年齢がわかります。

 さらに、近年では鱗の根元の組織からDNAを抽出することにより遺伝子解析が可能になりました。集団の遺伝的な特性は、その動態に関する資源構成を調べる上で非常に重要なファクターであるといえます。しかし、マダイ活魚は活きの良さと姿の良さが売りです。いくら調査とは言え、魚を水から上げて測定し、しかも鱗を採るなどある意味言語道断といえます。

 実は、他県では活魚については測定すらできないところもあるそうです。しかし、本県では漁師の方々はもとより市場の職員、仲買人さんたちに容認いただいているようです。これは「市場調査」が、資源の持続的利用を保つのに必要な取り組みであることが暗に納得されているからでしょう。

 マダイやヒラメの市場調査が始まって20年近く経ちますが、こうしたモニタリング的な仕事は「何が成果であるか分かりにくい」として打ち切られる傾向にあります。どちらかというと3-5年間で何かしらの結果がでる研究の方が評価しやすいからなのです。しかし、例えば地球温暖化現象は、過去からの継続的なデータが記録されており、長期的な傾向を現象として科学的に捉えることができたので、世界的に認知されたといえます。水産資源の動態を把握する調査研究も、ある程度過去からの連続した情報が必要になりますので、継続することが必須であるといえます。

 特に、年に1回の産卵期を持つ水産資源の場合には、その周期で資源が増えたり減ったりしますので、そのサイクルに沿ってパターンを把握する必要があります。ですから、20年間のデータといえども、わずか20パターンを把握できたに過ぎず、現象を捉える数として必ずしも十分とは言えないのです。しかし、もし経年と異なるパターンが検出された場合は、警告を発することができます。

 水産資源の動態を調査することは、人が健康を保つために健康診断を受けるのに似ています。市場調査は資源の健康診断として、水産資源を利用する人々の暮らしを守り、さらには将来の子供たちへ良好な状態で引き継ぐ社会基盤を守る仕事であるといえます。

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○10年ぶりの潜水作業

 以前もお話ししましたが、私は、昨年4月の人事異動で10年ぶりに試験場に異動してきました。それまでの10年間はほとんど行政事務に携わっていたため、調査船に乗って海上で調査機器を使用する作業や、海中に潜って行う作業などといった「現場作業」、「体を使う仕事」からは10年間も離れていました。

 そのため、昔に比べて体力的にもずいぶんと衰えていましたし、何よりも「勘が鈍ってしまっている」のが自分自身ではっきりと感じられました。そして、情けない話ですが、現場作業が昔のように務まるのか不安でした。

 試験場の現場作業はいろいろありますが、その中でも特に海に潜る「潜水作業」については、一つ間違えれば命に関わることや、昔に比べて自分の体力が衰えていることが自分でよくわかっていたため、初心者の時よりも緊張してしまいました。正直言って、初めて「潜ることが怖い」と思ってしまいました。

 それ以前に、潜水機材の取り扱いに戸惑う有様でした。かつて、潜水作業は自分が最も得意とする業務であったはずなのですが……。むしろ、同じ職場に新採用で配属された新人研究員の方が、よっぽど無邪気に楽しそうに潜水作業をしていました。

 潜水作業の内容は、現在整備中の小田原漁港蓄養水面に設置された消波堤の内側と外側の海底に波高計を設置するというものでした。(写真参照)潜水する水深も最大で25m前後と、昔、自分が潜っていた水深に比べると、かなり浅い場所で、作業の内容も比較的簡単なものでしたが、自分にとってはかなり緊張するものでした。

 今回、10年ぶりに潜水作業をしたのですが、良かったのは、海に潜っている時、「あっ、この感覚、懐かしいな。」と感じることが出来たことです。不安と緊張感の中にも「海に潜ることの楽しさ」を再び感じることが出来たのでした。昔のように「気力と体力を頼りに潜る」というわけにはいきませんので、安全に、冷静に、そして確実な潜水作業を心掛けたいと思います。

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