神奈川県水産技術センター メルマガ293
神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.293 2009-05-01
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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン VOL.293 2009-05-01
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□研究員コラム
○思わぬところで! (相模湾試験場 高田 啓一郎)
○カタクチイワシのお腹の中 (企画経営部 仲手川 恒)
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○思わぬところで!
先日、湘南地域の生物研究グループの方が「一都三県漁海況速報」(現在の名称は関東・東海海況速報)を見せてほしいと相模湾試験場を訪ねて来られました。
一都三県漁海況速報は、メルマガno.4でも紹介したように本州沖合いを流れる黒潮の流路や海水温の分布を図示したものです。
(写真)
何を調べるのに使うのかお聞きしたところ、「南方海域に生息するヤドカリの1種が相模湾で見つかったが、その大きさが一定の範囲に限定されていることから、発見場所で世代交代を繰り返しているのではなく、黒潮が相模湾に近づいたときに黒潮によって一時的に幼生が南方から運ばれ育ったのではかいかと考えている。その検証のため」とのことでした。
「一都三県漁海況速報」は主に漁業者の操業の参考情報として作成していますが、このような思わぬところでも利用されるのかと改めて感じ入った次第です。
(メルマガno.4)
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○カタクチイワシのお腹の中
当所では、水産資源の状況を把握するために水揚物の大きさや重さなどを測定し、さらに性別や成熟状況を調べています。このデータは、食卓などに水産物を安定的に供給するための重要な基礎資料として利用されています。現在、神奈川県の沿岸漁業において1,2の水揚量を誇るのがカタクチイワシです。最近はスーパーで見かけることも多くなり、安くておいしい魚です。ある日、そのカタクチイワシを測定しているとお腹のふくらんだものが多くいることに気づきました。最初は、卵や白子を持っているものと思いましたが、解剖してみると、胃の中から透明の細長いものが出てきました。よく見るとシラスでした。シラスは何の子どもか、皆様もよくご存知のことでしょう。そう、共食いです。
通常、カタクチイワシは動物プランクトンなど小型のものを鰓(えら)でろ過して食べています。このときは、相模湾全域でシラスが豊漁となっていたことから、シラスが高密度に分布していたものと考えられます。そこに来遊したカタクチイワシの群れがたまたま食べてしまったのでしょうか。サバやカツオなどがシラスを食べることはよくあることですが、まさか親に食べられてしまうとは。
なお、今年も4月中旬現在、シラス、カタクチイワシともに豊漁となっていますので、このような現象が見られるかもしれません。
(写真)
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