神奈川県水産技術センター メルマガ300

掲載日:2014年1月23日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.300 2009-06-19

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.300 2009-06-19
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□研究員コラム

○見えないところで消耗する定置網のシャックル           (相模湾試験場 石戸谷博範)

○アイゴと磯焼け                      (栽培技術部 工藤孝浩)

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○見えないところで消耗する定置網のシャックル

 定置網の屋台骨である側張り(ワイヤーロープや連結具シャックルで構成)は、一度設置すると数年間は流れや波に揉まれてながら、網全体の形を保持する役割を担います。したがって、十分な強度を持たせて設計することが大切で、相模湾の大型定置網では、当場の回流水槽実験結果より、かつては24mm径(耐久強度27トン)のワイヤーロープが用いられていたところを、現在では36mm径(耐久強度61トン)に増強されてきました。これにより、転倒返し(側張りのワイヤーロープが切れて、網全体が裏返しになって流出する。)等の大事故は大幅に減少しました。

 しかし、常に忘れてはならないことに、連結用のシャックルの消耗があります。写真のシャックルは、側張りを連結していた5年使用のもの(左)と錨綱を連結していた6年使用のもの(右)です。特に錨綱用では、消耗が激しく、この状態で、急潮が来た場合には、2ノット設計の網でも、1ノットに達する前に、この部分から破壊され、連鎖的な錨綱の切断、最終的には網の流出にいたるものと考えられます。定期的な点検と5年毎の交換が是非とも必要な安全対策であると思います。

 (定置網で5-6年間使用したシャックルの写真)

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○アイゴと磯焼け                     

 最近、「磯焼け」という言葉をよく耳にします。磯焼けとは、藻場が大規模に消失したまま長期間回復しない状態を言い、アワビやサザエなどの海藻を食べる水産動物がいなくなり、ウニは痩せ、磯魚は寄り付かなくなって、漁業に大きな打撃を与えます。

 その原因は、水温の変動や台風による海底のかく乱、漂砂など様々ですが、近年は海藻を食べる魚による食害がクローズアップされています。磯焼けを起こす魚は、アイゴを筆頭に、ノトイスズミ、ブダイ、ニザダイなどが知られています。いずれも暖かい海の磯魚で、近年の温暖化傾向に伴って分布域が拡大しています。これらの摂餌量が増えて海藻の成長量を上回ると、磯焼けになるのです。

 職場の目の前の城ヶ島のアマモ場では、昨秋にかつて見たことがないほど多くのアイゴの幼魚が現れました。そして、1ヶ月ほどの間にアマモの葉はバリカンで刈り揃えたように短くなってしまいました。アイゴに食べられてしまったようです。

 水温が下がった冬の間、アイゴは一時的に姿を消しましたが、水温の上昇とともに再び大挙して現れ、食害が懸念される状況になっています。水産庁は3年前に「磯焼け対策ガイドライン」をまとめましたが、そこに書かれた魚への唯一の対策が「釣りによる駆除」です。それを実践しようと、5月31日に三崎漁港で藻場を守るためのアイゴ釣りイベント(主催は(社)全国豊かな海づくり推進協会)が開催されました。

 私や私の仲間は、イベントの1週間前に三崎漁港内のアマモ場で数千尾のアイゴの群れを見ていたので、力を込めてイベントに参加し、その場所をねらいました。しかし、30人あまりが出した竿には、ついに1尾のアイゴも掛かりませんでした。安全管理を徹底するため、参加者は4隻の遊漁船に分乗して釣ったのですが、船影やエンジン音がアイゴに嫌われたようです。

しかし、下船後のアイゴの試食会やアイゴ料理の話は好評で、アイゴの美味しさを知っていただけた事は大きな成果でした。ふと当日の記念写真を見ると、横断幕には「アイゴを食べて藻場をまもろう!」と書かれていました。釣れなくても、とりあえずは良かったのですね。

「釣れたアイゴは持ち帰って食べる」事を普及啓発するのが、当面の磯焼け対策なのです。

  「アイゴを食べて藻場をまもろう!」イベントの様子

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