神奈川県水産技術センター メルマガ306

掲載日:2014年1月23日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.306 2009-07-31

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.306 2009-07-31
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□研究員コラム

○磯遊びを楽しんでいただくために          (資源環境部 石井 洋)

○栽培漁業と資源回復         (栽培技術部 一色 竜也)

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○磯遊びを楽しんでいただくために 

  本年4月に、水産課から異動になり水産技術センター資源環境部に配属されました。よろしくお願いいたします。担当は、海況のモニタリングとマグロの資源調査です。 調査研究等のよもやま話ができませんので、水産課に在職中のお話をさせていただきます。
 梅雨も明け、みなさんはわくわくしながら夏休みの計画を立てられていることと思います。しかし、当時漁業取締も担当していた私にとっては複雑な心境でした。海水浴や磯遊びで魚や貝類を採る場合、漁業法や神奈川県海面漁業調整規則などにより使ってはいけない漁具や採ってはいけない貝類等が定められており、水産課ではこれら規則等を遵守させるために巡回取締を実施しています。時には、海上保安官や警察官と合同で取締を実施することもあります。
 巡回取締は、海上保安官や警察官のように日々取締りに従事しているわけではないので、強面な方とのやりとりには不慣れですし、磯遊びを楽しんでいる子供達に悲しそうな顔をさせたりとか、うだるような暑さの中海岸線の徒歩等での移動は心身ともハードな業務となります。神奈川県の漁業関係法令違反の検挙者数が年々増加傾向にあり、近年、密漁取締に関する報道番組も毎年放映されるようになりました。それ以来、放映後番組を見た視聴者から県に直接抗議の電話がかかるようになりました。
 抗議の主旨は、少ししか獲っていないからかわいそうではないか。知らずに獲ったのだからかわいそうではないか。規則等を知る機会がなかったから、県はもっと周知すべきである。といったものです。 たしかに磯遊びが一転して不幸なことにならないよう周知することは大変重要ですから、一人でも多くの方に規則等を知ってもらうために、巡回取締の際に規則等が書かれたパンフレットを積極的に配布しております。また、海岸や海岸沿いの道に、「このあたりの海(漁業権区域内)で貝(アワビ、サザエ等)や海藻をとってはいけません。」「水中銃やアクアラングを使用して魚をとってはいけません。」などと書かれた看板を見たことはございませんか。県は、その規則等をみなさんに知っていただくために看板を設置しており、看板の追加や更新をさらに進めていく予定です。
 磯遊びの計画を立てるときには、水産課のホームページをぜひご覧いただき磯遊びを楽しんでください。

神奈川県環境農政部水産課ホームページ  (「海のルールを守りましょう!!」)

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○栽培漁業と資源回復

  これまでわが国の沿岸各地では「とる漁業から作り育てる漁業」へと銘打って栽培漁業が展開されていました。その中でも人工的に稚魚を生産し、海域に放流する種苗放流事業が本県でも盛んに行われ、マダイやヒラメ等の減少した漁獲量を回復させ、安定的な漁獲を維持することに一役買ってきたと言えます。今回は栽培漁業が資源回復に担った役割を考えてみましょう。
 水産資源を預貯金に例えますと、その利子の範囲内で生活する分には永続的に生活できることになります。しかし、この利子分を超えて獲ってしまった場合は、元本が減ってしまうので、翌年の利子は減少してしまいます。翌年は減った利子以内に支出を抑えるしかないのですが、これを元の元本の状態まで戻すには、さらにその減少分も我慢しなければならないことになってしまいます。
 この状況を打開する最も効果的な手は、他に収入を得ることでしょう。別に収入を得て生活に必要な支出を賄いつつ、預貯金も積み立てていければ、比較的早く元の状況に戻ることができます。預貯金が回復した以降も、継続して収入を得ることができれば、その分を預貯金に積み立てれば利子を増え、生活はさらに豊かで安定したものになるはずです。

 水産資源に立ちかえりますと、種苗放流を行うことは「他に収入を得ること」と同じと言えます。放流魚を獲ることで直接的に漁獲量を増やすことだけでなく、資源も充足し資源の回復を促すことできます。少なくとも元の状況に戻れば、減少する以前の漁獲量の範囲で永続的な資源の利用が可能になると思われますし、その後も種苗放流を継続すれば、さらに資源を拡充でき、永続的に利用できる漁獲量を増やすことができると考えられます。
 しかし、栽培対象種のほとんどは、放流を開始する以前の漁獲量を超えることはできておりません。また、この状況で放流を止めてしまった場合、果たして永続的な漁獲量を確保できるかどうかが定かではありません。実は、先ほどの預貯金の例では利率の変動という重要な要因が考慮されていないからです。この利子率、水産資源では再生産成功率(加入資源量/親資源量 加入資源とは親資源から単年度に生み出された子の資源)に相当しますが、年によって変動します。
 水産資源の多くは多産多死型の再生産戦略をとっており、生まれてから資源へ加入するまでの間、その生残は環境に大きく影響を受けるからです。もし、資源が減った原因が環境にあるのなら、漁獲を減らすことはもちろんのこと、種苗を放流しつつ、減耗環境が何であるかを解明し、もし人の手によって改善できるものであれば、それに取り組んで良くしていくというシナリオが、資源回復の近道といえましょう。
 この数十年間の研究で資源の種となる稚魚(種苗)はある程度の数量を安定的に人工的に産み出せるようになりました。次にはそれを放流する海域(畑)を整える(耕す)技術を生み出していく必要があります。今ある種苗生産・放流技術を活用して、栽培技術部では沿岸資源が再生産できる場の解明と改善に取り組んでいます。

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