神奈川県水産技術センター メルマガ327

掲載日:2014年1月22日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.327 2009-12-25

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.327 2009-12-25
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□研究員コラム

○水の流れ          (内水面試験場 山本 裕康)

○マアナゴの雄と雌 その後      (資源環境部 田島 良博)

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○水の流れ    

 タイトルをご覧になって皆さんは何を思い浮かべたでしょうか?水産関係者の書くことだから、川や海のこと、あるいは最近話題の水源に関した山や森などの保全のことを想像されたかもしれません?
 しかし、私が原稿のネタ探しで思い付いたのは・・・。身近で重要な私の職場(内水面試験場)の水の流れです。 まずは、水源ですが、試験場の敷地内に2ヶ所の井水ポンプが設置されています。井水とは言っても、汲み上げている深さは浅く、水温は一定ではありません。
 これは、試験場のすぐそばを流れている相模川から、地下に浸透して流れている水を汲み上げているためです。従って、季節により水温の変動が生じます。この変動は、河川水と比べると、約3ヶ月ほど時間差があります。
 普通、井戸水は水温が一定のため、夏に冷たく冬に温かいという本来の季節では得難い水温の水と感じます。しかし、試験場の井水は水温が3ヶ月ズレるため微妙な井水となっています。
 丁度、四季で一季節ズレる感じなので、秋から冬に水温が高く春先から初夏が低くなります。試験場のお魚達は水温調整せずに、かけ流しで飼育されると時差ボケならぬ、季節ボケ状態になります。(笑)  魚の研究には良い面もありますが、飼育においては水温調整で苦労することもあります。

 (次回は水源の先の話の予定です。) 

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○マアナゴの雄と雌 その後

 以前マアナゴの資源調査のため、魚体測定を行っていることをお話しました(Vol.194 )
そして、測定を続ける中で、どうもマアナゴは大きなものは雌しかいないのでは?というお話をVol.214でお伝えしたところです。
 今回は、測定を始めて3年目に入り、実際のところどうなの?というお話をしましょう。

 2007年4月から始めて、今年11月までに1,447尾のマアナゴを測定しました。そのうち、雄は614尾、雌は833尾で、雌の方が多いことに気が付きます。これは、以前お話したとおり、大きなものは雌ばかりになるということに由来します。
 では、どのくらいの大きさになると雌ばかりになるのかというと、東京湾の場合では大まかに言って全長50cm以上と言えそうです。

 もう少し細かく見ると、これまでの測定で確認された雄の最大全長は47.4cm、雌では68.3cmです。つまり、48cm以上はすべて雌という結果を得ています。 また、雄雌の割合は、全長42cmくらいまではほぼ1対1ですが、それ以上になると、徐々に雌の割合が高くなり、48cm以上では100%雌になります。

 では、なぜ大きなマアナゴは雌ばかりなのかという理由について考えて見ます。結論から言うと、まだよくわかっていません。というのは、全国各地でマアナゴが漁獲されており、各地の研究者がマアナゴの調査を行っていますが、未だに天然海域で成熟したマアナゴが採集されたことが無いからです。
 つまり、マアナゴの生活史の完結を見た人はまだいないということです。したがって、雄と雌が、それぞれ何歳まで生きて、どのくらいの大きさになって一生を終えるのか明らかになっていないのです。

 これまでの調査や、各地のアナゴ研究者との情報交換を通して得られた情報から考えると、全国的に大型の雄が発見されていないことから、雄は雌よりも小さいうちに、繁殖のため日本の沿岸を離れて産卵場に向かうと思われます。
 一方で、雌はかなり大型のものまで沿岸で漁獲されています。相模湾で行われた調査では、全長1mを超える雌のマアナゴが採集されたことがあります。
では、雌はいったいどのくらいの大きさになったら産卵に向かうのでしょうか?
 産卵期と思われる時期に採集された1m以上の雌でも、卵巣は未成熟で、卵を持ったものは見つかっていません。

 ここ数年、ウナギでは産卵生態に関する研究が大きく進展し、成熟した親や生まれたばかりの仔魚が採集され、産卵場がほぼ特定されました。しかし、マアナゴについては、まだまだ研究途上です。
 マアナゴ資源を上手に利用し、おいしいアナゴを食べ続けられるようにするためには、資源管理をしっかり行う必要があります。そのためにも、マアナゴの生態解明は重要であり、研究者の苦闘は続くでしょう。
 でも、未解決の課題を多く抱える研究の中に我が身を置く幸せを感じているところでもあります。

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