神奈川県水産技術センター メルマガ329

掲載日:2014年1月22日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.329 2010-01-15

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.329 2010-01-15
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□研究員コラム

○マッカチンは人気者?          (内水面試験場 勝呂 尚之)

○招かれざる客            (相模湾試験場長 高田 啓一郎)

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○マッカチンは人気者?    

 「ザリガニ」と言えば、今や最も身近な水生生物です。川の支流や農業用水路などの観察会では、少なくても数十は顔を見せます。
 大きくて真っ赤なものを特に「マッカチン」と呼び、子どもたちに人気があります。小さくて茶色や青色のザリガニは、あまり人気はないけれど、マッカチンを触れない小さな子どもの遊び相手になってくれます。

 観察会では、採集したザリガニを集め、「さあ、アメリカザリガニとニホンザリガニに分けて!」と号令をかけると、みんな真剣に「マッカチン」と小型のザリガニに分け、「簡単さ!」と得意そうです。
 「すべてアメリカザリガニだよ」と種明かしをすると、「えええー」と驚きと抗議が入り混じったような叫び声が返ってきます。
  実は県内のザリガニはすべて「アメリカザリガニ」で、アメリカの南部が原産地の外来種です。昭和初期に当時の鎌倉郡に養殖用のウシガエルのエサとして輸入された個体が逃亡し、全国に広まりました。
 魚やエビなどの小動物の他に植物も食べる雑食性で、水の汚れも平気です。繁殖力も強いので在来の生物を押しのけて増殖し、生態系に深刻な悪影響を及ぼしています。

 小田原ではメダカの保護のためにビオトープを造成しましたが、ザリガニが大量に増えてしまい、対策に苦慮しています。これまで、効果的な対応策がなかったのですが、最近、トンボの専門家が考えた「アナゴかご」(写真1)による駆除方法の効果が大きいことがわかり、各地で使用されています。

 小田原のメダカビオトープでも、かなりザリガニが減り、反対にメダカや水生昆虫が増加しつつあります。戦前に海を渡ってやってきたマッカチン・・・・子どもたちの良き遊び相手となり、カブトムシと並ぶ人気者ですが、自然の中では傍若無人に振舞う乱暴者だったのです。
 その影響でメダカ、タガメ、ゲンゴウ、トンボ類など、昔から生息していた田んぼの住民たちが、姿を消してしまっていることに皆さんは気づいていますか?

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○招かれざる客

 昨年の10月中旬から11月中旬にかけて相模湾に沢山のエチゼンクラゲが出現しました。新聞やテレビなどでも報道されたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
 当場の研究員がエチゼンクラゲの(写真)を撮りましたが「傘の大きさが1.5メートル位あり、間近に見るとその大きさに圧倒された。また、海中に漂っているのではなく、意外と速く泳ぐので驚いた」と感想を語っていました。

 エチゼンクラゲの詳しい生態については、他機関のホームページなどを参考にしていただきたいのですが、相模湾でみられたエチゼンクラゲは、遠く黄海や東シナ海の沿岸で発生し、成長しながら日本海を北上、津軽海峡を通過後、親潮に乗って三陸・常磐沿岸を南下、房総半島沿岸に達し、南方から日本沿岸を北上する黒潮の反流(黒潮と陸岸の間に発生する黒潮とは反対方向の流れ)によって相模湾に到達したと考えています。

 このエチゼンクラゲ、相模湾沿岸で営まれている定置網漁業()にとって大変迷惑な存在なのです。エチゼンクラゲは傘の大きさ1.5メートル、重さ150kgにもなります。これが多いときで一晩に1,000個以上も網に入る訳ですから、網から上げて処理する作業が大変ですし、その作業のために水揚げの時間も遅れます。
 また、網に入った魚も傷めてしまいます。さらに、エチゼンクラゲが網に入っているときに急潮(沿岸に急に発生する速い流れで定置網が流される場合がある)が起きると、エチゼンクラゲが網の目を塞いで抵抗となり、たちまち定置網が流されてしまう恐れがあるからです。

 年配の漁業者の方に聞いても「昨年のように相模湾で大量のエチゼンクラゲをみたのは初めて」とのことでした。このような希な現象が起きたのは (1)元々、黄海・東シナ海での発生量が多かったこと、(2)親潮や黒潮が相模湾にエチゼンクラゲが流入しやすいような流れ方になっていたこと この二つの要因が重なった結果と考えています。

 エチゼンクラゲは中華料理の材料になるものの、大量に消費されるような有効利用法はまだ開発されておらず、漁獲物としての価値はないので、今のところエチゼンクラゲは漁業者にとって招かれざる客です(日本海沿岸や東北地方沿岸の漁業者も同様ですが)。

 二度と相模湾に出現しないことを祈っています。

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