神奈川県水産技術センター メルマガ335

掲載日:2014年1月21日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.335 2010-02-26

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.335 2010-02-26
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□研究員コラム

○「大型クラゲ」      (相模湾試験場 片山俊之)

○ あなご学うんちく(12)      (資源環境部 清水 詢道)

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○「大型クラゲ」   

 2009年10月中旬から11月中旬にかけて相模湾に大量の大型クラゲが来遊しました。大型クラゲの発生源は長江河口域-黄海沿岸であり、東シナ海を通って日本海へ到達、日本海を北上した後津軽海峡を抜けて太平洋へ来遊します。
  大型クラゲは2002年、2005年などにも大量発生し、日本海側を中心に漁業被害をもたらしましたが、相模湾にこれだけ大量に来遊したのは2009年が初めてです。特に西湘地区の定置網ではピーク時に1000個体/日以上入網し、操業の妨げとなりました。

 相模湾試験場でも大型クラゲの来遊実態を把握するという目的で、定置網漁に同行したり、調査船を使って目視調査を行ったりしました。
 私は写真撮影のため大型クラゲと一緒に泳ぎましたが、グロテスクな見た目とその大きさ (傘の直径は1.5m以上、触手の長さは5mほど) には圧倒されました。さらにその遊泳速度にも驚きました。クラゲというと海面を漂っているイメージだったのですが、フィンを装備した自分が泳ぐのと同じ速度で移動していきます。(写真)

 大型クラゲについては、その生活史、生態、来遊経路などが明らかになりつつありますが、まだまだ不明な点が多くあります。初期発生海域が中国・韓国沿岸ということで、詳細な調査が難しいことがネックとなっています。
 また、大型クラゲは浮遊生活の中で成熟・産卵し、孵化した幼生はポリプとなって付着生活を行いますが、天然海域ではポリプが発見されておらず、どのような基盤に付着しているのかも未解明です。
 減耗要因についても一般的には水温の低下とともに死滅すると言われていますが、詳細は不明です。東北や北海道では水温10℃以下になっても大量に入網したことがあるとか。

 漁業者や漁業に関係している方からすれば、大型クラゲなんてもう二度と来て欲しくないというのが正直な気持ちだと思いますが、今後また大量発生し、相模湾内に来遊する可能性もあるのでその動向には注意が必要です。

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○あなご学うんちく(12)

 東京湾のマアナゴの資源管理が、東京都、千葉県とともに、あなご筒の水抜き穴を大きくするという手法で進み始めた背景には、あなご筒漁業では、漁獲されるのはほぼマアナゴだけである、ということが大きく関係しています。
 底びき網漁業のように、多くの種類の魚介類を同時に漁獲するような漁業では、シャコのことだけ考えて網の目を大きくするとクルマエビが逃げてしまう、というようなことがあるので、ひとつの種類のことだけ考えて漁具を改良するわけにはいかないのですが、あなご筒漁業ではマアナゴしか獲れないので、マアナゴのことだけ考えての漁具改良が可能だったのです。

 ほとんど唯一の例外として漁獲されるのはヌタウナギという魚です。ヌタウナギは体は細長く、色は薄茶色、目はきわめて小さく、骨格は原始的な軟骨のためになんとなくしまりのない印象です。
 最大の特徴は体の表面に沢山ある粘液線から大量に分泌される粘液で、この粘液にからみつかれると他の魚介類は窒息してしまうほどのものです。
 日本ではどこの地方でも粘液のために邪魔者扱いなのですが、お隣の韓国では皮は革製品に(英語でeel-skinといい、製品はとても高価で取引されます)、肉は食用に、とても珍重されている人気者です。
 ところが、ヌタウナギは卵を産むようになるまでに5年もかかる上に1回に産む卵の数は30個ほどととても少なく、再生産の効率がとても悪いために、多くの地方で資源は壊滅状態になってしまっているようです。
 ヌタウナギの資源管理の第一歩はマアナゴと同じで、小さいものは漁獲しないで逃がす、ということなのですが、ヌタウナギの方がマアナゴよりも水抜き穴から逃げ出す可能性は高いようで、東京湾のあなご筒の水抜き穴を大きくした、ということはマアナゴだけでなくヌタウナギの管理にもつながっているのです。
 ヌタウナギの仲間は地球上で最も早く現れた脊椎動物である、と考えられています。でも、それほど昔から生き残ってきた種類が、再生産効率がとても低いというのは不思議です。
 粘液のために、他の動物から守られてきた、ということなのでしょうか。人間にかかったらひとたまりもないのに。

 韓国料理屋さんの店先に「ウナギ入荷!」という張り紙があったらそれはヌタウナギのことです。残念ながら私は食べたことがありませんが、炭火でホイル包み焼き(塩味とかコチジャン味)にするのが一般的な料理方法のようです。
 上質の鶏肉のような味わいといわれています。

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