神奈川県水産技術センター メルマガ359

掲載日:2014年1月21日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.359 2010-12-24

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.359 2010-12-24
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□研究員コラム

○ 刺し網にキンメダイ    (資源環境部 岡部 久)

○ 川から魚達が姿を消すわけは?    (内水面試験場 相澤 康)

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○刺し網にキンメダイ

 この10月下旬、城ヶ島の赤羽根沖のカワハギ場で刺し網を揚げていたYさんは、見慣れない赤い魚がかかっていることに気づきました。全長約40cm、800gほどもあるこの魚は間違いなくキンメダイでした。キンメダイは城ヶ島沖や沖ノ山周辺海域でも100mを超える深いところに生息しており、立縄やハイカラ釣りで漁獲されるのが普通ですが、25ヒロ(約40mの深さ)の岩礁で刺し網にかかるという話は、私も聞いたことがありませんでした。Yさんも「40年漁師やってるけど、こんなの初めて」。連絡をくれた漁協職員のAさんも「地震の前触れかな?」と不思議がります。投棄された魚が刺し網にかかることは考えにくいですし、Yさんは「鰓が真っ赤だったから、生きて掛った」と主張します。

 いわゆる深海魚が浅いところに現れることは決して珍しいことではありません。リュウグウノツカイやフリソデウオなど、奇天烈な深海魚がダイバーによって写真に収められたりすると、Aさんが言うように「地震の前触れか」と騒ぎになりますが、数年に一度程度の頻度で聞かれる話です。

 また、キンメダイやハダカイワシの仲間などは、昼間は深いところにいて、夜になると浅場にくることが知られ、餌のいる深度への移動や、天敵を避けるための移動であると考えられています。沖ノ山あたりでキンメダイを狙った操業は夜間に行われ、水深100m前後に現れる魚探反応で食ってきたりしますので、数十メートルの浅場にキンメダイが現れることは、あり得ないことではないと見ていいでしょう。今回、刺し網に掛った魚も、夜間に浅いところへ浮いてきて、刺し網に掛ってしまった可能性はあると思います。

 あれからひと月、大きな地震は起きていません。今後も起きないで欲しいと思いますが、そうもいかないでしょう。地震予知については地震学の専門家に任せたほうがよさそうです。

(注)ハイカラ釣り 疑似餌針を使ったサビキ釣りの一種。疑似餌は鳥の羽根やサメの皮を使って漁師が自作する。

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○川から魚達が姿を消すわけは?

 最近、環境保全に関する関心が高くなり内水面試験場の見学やフィールド観察会等で、生物の生態や水辺環境の保全について説明する機会が多くなりました。 総合学習の一環で小学生のクラスも頻繁に来場します。テーマを決めて予習をして、ちゃんと質問メモも用意して、・・・中々、感心々々。

 ところで、質問回答のやりとりの中で、気になった事がありました。「魚達が姿を消したのは、水が汚れたから・・・」の認識についてです。確かに、都市河川では産業や生活の廃水をそのまま排水していた(たれながしにしていた)頃には、水が汚れ、魚達が絶滅し「死の川」と呼ばれる川も少なからずあったでしょう。

 しかし、メダカやミヤコタナゴやホトケドジョウはどうでしょうか?これらは主に人々に身近な田畑の用水路や溜池に生息していましたが、最近では姿を消し「希少魚」と呼ばれるようになった魚達です。ここでは市街地開発等で生息環境(棲む場所)そのものがなくなったことが重要な原因でしょう。

 ですから「水が汚れたから魚がいなくなったのですか?」との質問に対しては、「『水が汚れた』だけではなく、『棲む場所そのものがなくなった』ことにも注目して下さい。」と回答しています。 ややもすると「水の汚れ」のみに注目し、「諸悪の根源は全て水の汚れ」と思い込むこともあるかもしれません。それは、もしかしたら、勉強不足の周囲の大人達が指導の中で決定論的に誘導してしまっているためかもしれません。

 今後もビオトープや河川で遊び、生物に触れる工夫をしながら、子供たちに楽しんでもらいながら、理解を広げてもらえるように努力していきたいと考えています。

(写真1)ミヤコタナゴ (写真2)ビオトープの見学風景

 

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