神奈川県水産技術センター メルマガ370

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.370 2011-05-27

-- Fish-mag >゜)))< ------------------------
/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.370 2011-05-27
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□研究員コラム

○ キンチャクダイの話     (企画経営部 臼井 一茂)

----------------------------------------------------------------

○キンチャクダイの話

 子供の頃から魚を飼うことは好きで、近くの川でフナやコイ、田舎の田んぼでホトケドジョウやスナヤツメなどを獲ってバケツで飼ったり、オイカワやヨシノボリなどを水槽で飼育したり。そしてある時見たブルーグラミィという淡水の熱帯魚を見て、こんな姿や色の魚が居るんだと感動してから、自分はこの水産という路を進んできたような。

 さて、今回は海水魚の熱帯魚の話である。残念ながら家では一度も海水魚を飼育したことはなく、自分の中にそれらの思い出というのも皆無なのであるが、淡水魚の熱帯魚に比べとてもカラフルで、姿形も洗練されていると感じていた。まあ、子供の時分は財力が無くて、海水というそれだけでコストのかかる物を取り扱えなかったこともあり、幾分かのあこがれも含まれてはいるだろう。では、これからが本編である。

 水族館や熱帯魚屋さんで見る海水の熱帯魚といえば、デバスズメやシリキルリスズメなどの綺麗なブルー色が特徴的な小型のスズメダイや、ニモで有名なカクレクマノミなどいるが、やはり王様と呼ぶべきであろう熱帯魚は、チョウチョウウオやキンチャクダイの仲間であろう。

 ちっと話は横に逸れるが、魚類の分類などを専門としている方からの話題で、あのディズニーのアニメ映画「ファインディング・ニモ」であるが、舞台はオーストラリア・グレートバリアリーフの海で太平洋をモデルにしているのだが、主人公のカクレクマノミの模様などから、当のニモは大西洋に分布する種類であって、時代劇の時代考証と同じく生物考証がなっとらんと!!言っていました。まあ、そういう人は、何回もお子さんと見ていたのでしょうね。

 さてさて、キンチャクダイですが、この魚は著しく側扁した平べったい体型をしており、細かいところではえらぶたの骨にトゲが有り、特にオスにはこのトゲが2対あるのがであるのが特徴です。水深30mよりも浅い岩礁に生息して、カイメンやホヤなどを食べており、太平洋側ではよくみられています。

 キンチャクダイの仲間には、サザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイ、コガネヤッコ、ニシキヤッコ、レンテンヤッコなど、とても姿が美麗であり、しかも幼魚から成魚にかけて体の斑紋(はんもん)が変化することが知られており、私にはついて行けないマニアチックな魚達です。

 このキンチャクダイも幼魚時には黒地に1本の黄色い横帯があるだけの、イシダイにもカゴカキダイにも派手さで負ける地味な感じの魚なのです。そしてあまりにも親と違う模様であることから、ハクセンキンチャクなどという別種として扱われていたそうです。ですが成長して大きくなると黒が薄れてほんのり赤みを帯びた茶色のような黄色で、川の流れのような縦縞のメタリックな青色の線がいくつも出てきます。特にその線がゆらいでえがかれており、個体によって違うのでまるでシマウマのようですよ。

 さてさて、このキンチャクダイですが時々網に入って水揚げされています。多くは水族館用などに生かして生け簀などにとっといてあるのですが、他の魚と混ざって水氷で鮮魚として水揚げされることがあります。市場では競りに出されているのは見たことは無く、雑魚としてのぞかれてしまうのですが、以前から漁師さんや活魚を取り扱う漁協の方に、この魚は旨いんだぞ!!と話を聞いていました。

 ある時、泳いでいる大きなキンチャクダイいくつも活魚水槽に泳いでいた時に、網で擦れたのでしょう鱗がはがれていた魚がいました。以前から試食してみたいと思っていた魚です、早速交渉して分けてもらうことができ、あっさりとしただし汁で煮付けてみました。皮をはぐようにして鱗が取り除け、そこに現れた乳白色のほどよい締まりのある身と厚めで骨離れの良い、ほっこりとした甘みをうっすら感じる淡い旨味で、これはいける!!ついつい一口だけの予定が、一気に食べてしまいました。その時に気がついたこと、写真を忘れたぁ-。

 それから半年は過ぎたでしょうか、イベントに出店していたタッチングプール、中にはタコやカワハギ、ハコフグなどが泳いでいましたが、隅っこには瀕死のキンチャクダイが!!しばらくしてからもう一度見てみると、氷水の中に様々な死んでしまった魚とともにこのキンチャクダイも。担当者に聞いてみたら捨てるだけと言うことなのでいただいてきました。写真に写っているのは、最初に感じたキンチャクダイの風味はさすがに求められなかったので、濃いめの味で煮付けにしたキンチャクダイ。その隣は骨酒で旨味を出し尽くしたイワナをその煮汁で煮付けたものです。

 またまた、服を脱がすように皮をはがし、しっかりした骨離れの良いむっちりとした身、イシダイとイボダイを足して2で割った感じ。味わいの底に感じるものはクロムツなどの甘みで、カイメンやホヤを食べて育っているとは思えない、中々のものでした。

 しかし、水族館に行ったときに知り合いなどに説明する内容が、生物としての紹介より食べ物としての紹介が多くなってきたような。カラフルな奴らも、チャンスがあれば食べてみるかな、シガテラに気をつけながら。

----------------------------------------------------------------

■水技Cメールマガジン(隔週金曜日発行)
■メルマガの配信の変更、解除、ご意見やお問い合わせはこちらのメルマガお問い合わせフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画経営部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。