神奈川県水産技術センター メルマガ373

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.373 2011-07-8

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.373 2011-07-8
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□研究員コラム

○ アーカイバルタグによる標識放流調査 (相模湾試験場 片山 俊之)

○ あなご学うんちく(14) (資源環境部 清水 詢道)

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○アーカイバルタグによる標識放流調査

 相模湾試験場では2010年10-12月にかけて尾叉長42-62cmのブリ(銘柄わらさ1尾、銘柄いなだ7尾)にアーカイバルタグ及びダートタグを装着し、城ヶ島南沖にて標識放流を行いました。この調査は、独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所、静岡県水産技術研究所、三重県水産研究所、高知県水産試験場、宮崎県水産試験場、鹿児島県水産技術開発センターと共同で行っています。本調査の目的は「ブリの回遊様式を把握すること」です。では、なぜアーカイバルタグでブリの回遊様式がわかるのか、その仕組みについて少し説明します。

  アーカイバルタグは、長さ10cmの円筒形の本体と、約20cmの緑色の外部センサーから成るデータ記録型の標識です(写真1)。調査の際はブリの腹部を5cmほど切開し、本体部を腹腔内に埋め込み傷口を縫い合わせます。外部センサーは体外に出ていますが、これだけだと標識が目立たないため、さらに背中にダートタグを2本装着します(写真2)

  アーカイバルタグには時刻が記録され、水深、水温、体内温度は2分ごとに、そして照度は1分ごとに記録されます。ブリが再捕されデータが回収されると、1日の照度変化の様子と水温データから、ブリが泳いだ1日ごとの大まかな位置が推定できます。また、その個体がどのような水深帯、水温帯を泳いでいたかというデータも同時に入手できます。これらを解析することにより、その個体が放流された場所から再捕された場所まで、どのような経路を移動してきたのかが明らかとなります。

  平成22年度に放流したブリは、2011年6月現在2個体が再捕され、データ解析中です。相模湾試験場では平成23年度にもアーカイバルタグによる標識放流調査を計画しています。本研究は標識ブリの再捕が重要なカギとなっています。どこかで標識ブリを見かけたら試験場までご一報ください。よろしくお願いします。

  標識魚のお知らせポスターはこちらです。ポスター 

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○あなご学うんちく(14)

 私たちがマアナゴの研究を開始したのは1992年で、特に東京湾の資源管理を主要な目的とした研究は1994年に始まりました。それまでになにがわかっているか、を文献などからつかむことから研究をはじめるのが私のやりかたなので、マアナゴの場合にも日本水産学会誌を中心に文献探しからはじめました。ところが、とても論文の数が少ないことに驚きました。驚くだけならいいのですが、数が少ないということは、わかっていることが少ない、ということなので、これから研究を始めようという私はとても困りました。そこで、全国の水産試験場にあてて、各県での生産の実態、葉形仔魚の来遊状況、資源管理の必要性などについてアンケ-ト調査をお願いしました。それによっていろいろなことがわかりました。さらに、全国では様々な調査が行われていることもわかりました。でもそれらが、なかなか共通の知見として整理されていない、こともわかりました。

 マイワシ、マサバ、マアジなどの全国的に分布している魚種では、水産庁などが主催する情報交換の場がわりにあるのですが、マアナゴではそのような場がありません。マアナゴ研究者たちは、情報交換の場がないために、私のようにはがゆい思いをしてるのでは?と勝手に思い込みました。そこで以前からおつきあいのあった東京水産大学(現東京海洋大学)の東海 正教授に、マアナゴ研究者が集まって情報交換する場がつくれないかを相談しました。東海先生は瀬戸内海でマアナゴの研究をされているし、全国に広い人脈をお持ちなので、相談を持ちかけるのには最適でした。東海先生のご努力の結果と兵庫県水産試験場の丹下 勝義さん、反田 實さん、大阪府水産試験場の鍋島靖信さん、九州大学の望岡典隆さんなどの積極的な協力があって、アナゴ漁業資源研究会という集まりがたちあがり、1997年12月に兵庫県水産試験場で第1回の研究会が開催されました。大学や水産試験場などの研究者に加えて、地元兵庫県の漁業者の皆さんも多数参加、熱のこもった有意義な議論になりました。以来、神奈川、大阪、宮城などアナゴの主要な産地をめぐるような形で、毎年1回研究会が開催されて現在に至っています。

 集まる人たちも、研究者、漁業者にとどまらず、アナゴ料理に携わる人たち、流通を扱う人たちなど、どんどん多彩なメンバ-になってきています。この研究会によって、アナゴの生態・資源についての知見は飛躍的に進み、また整理されてきました。この結果は、マアナゴ資源と漁業の現状 第1号(日本水産資源保護協会発行)、同第2号(水産総合研究センタ-中央水産研究所発行)という印刷物になって、マアナゴ研究に役立っています。でも、この稿でなんども繰り返してきたように、マアナゴって、まだわかっていないことがいっぱいあるんですよね-。

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