神奈川県水産技術センター メルマガ393

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.393 2012-4-13

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.393 2012-4-13
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□研究員コラム

○ イワナ探し (相模湾試験場 渡邉芳明)

○ イボクラゲ (資源環境部 清水 顕太郎)

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○ イワナ探し (相模湾試験場 渡邉芳明)

 携帯のアラームで目が覚める。いつもの鉛のような体のだるさはない。現金なものだ。こんなにも体が正直に反応することに自分でも驚く。

 山小屋の朝は早い。午前4時30分から朝食が用意されている。いつもの、と言っても、もう何年も前から同じ内容の朝食を済ませると、愛竿のスコットを持ち、胸までのウェーダーを履き、フライボックスでパンパンとなったベストを着て山小屋から出て行く。

 気持ちのいい朝である。目の前には清冽な渓の流れが見える。7月も下旬というのに標高1500メートルともなると、朝は薄手のフリースが欲しいくらいである。山小屋の周りには、すでに登山服に身を包んだ人達が準備体操やザックの中身の確認をしている。僕のほうに何か珍しい動物でも見るような視線を感じるが、気にしないことにする。

 本流との合流点にたどり着くと、渓はいつもより水が多いようである。お気に入りのアントパターンをイワナが好みそうな場所にプレゼントしていく。しばらくすると、反応が出てきた。ゆっくりと流れるフライが水面から消える。ロッドを立てると、9ヶ月ぶりになる生命感がロッドを通して感じられる。手元まで引き寄せ、フライを外す。「ありがとう」と言いながら、魚を流れに戻す。そんなことを繰り返しながら、渓を遡行していく。ここには自分ひとりだけの時間がある。お昼には、山小屋で作ってもらった弁当を広げる。こちらも、もう何年も前から同じ内容であるが、渓で食べる弁当は格別なものがある。

 イワナは、「岩魚」と書くように岩が好きな魚である。「イワナを釣るには岩を釣れ」と言われるように岩に絡む流れはイワナの好ポイントとなる。岩に沿って流れる反転流、落ち込みの肩の沈み石の前などもその例である。一方で足首くらいの浅い流れで型のよいイワナが釣れたり、水が止まっているような場所に静かに浮かんでいることもある。秋田の名手の言葉を借りると「イワナは泳ぎたくない魚」であるそうだ。確かにストレートな流れの中でのフライへの反応は少なく、流れが弱まるような場所から反応してくる。そんな場所を探してフライをプレゼントしていく。イワナ釣りは、「イワナ探し」であり、宝探しのような趣がある。こちらのやり方があっているかどうかは、イワナが答えを出してくれる。やり方がまずいと沈黙される。フライフィッシングという舶来の釣りをここまで楽しませてくれる魚が日本にいてくれることに感謝したい。

 山の陽は急に落ちる。釣りに夢中になっていると門限に遅れてしまう。山小屋の主人に心配をかけるわけにはいかない。夜8時には消灯となる。すでに小屋では布団にもぐりこんでいる登山客もいる。猿の鳴き声に驚かされながら、暗くなってきた林道を山小屋に向かう。「今日はいい釣りができました。」と主人に報告をし、静かに後片付けをしながら、明日の釣りに思いを馳せる。

 最近の僕の釣りはこんな感じだ。

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○ イボクラゲ (資源環境部 清水 顕太郎)

 少し前のお話で恐縮ですが、昨年(2011年)10月の終わり頃、近所の人から三浦市内のとある堤防で大きなカマスが釣れているという話を聞き込んだので、11月3日にその堤防に様子を見に行きました。その堤防までは少しの距離ですが砂浜を歩くのですが、その波打ち際になにやら青っぽい物体が打ち上げられていました。(写真)

 大きさは20cmくらいでしょうか。材質(?)は寒天のようなプラスチックのような透明感のあるもので、とても天然のものとは思えない鮮やかな青紫色をしていました。思わず「なんじゃこりゃ?」と近寄ってしげしげと眺めてしまいました。眺めているうちに「どうやら人工物ではなさそうだ」というところまでは想像が付いたのですが、この物体が何なのかはすぐにはわかりませんでした。

 しばらくして「もしかしてクラゲか?」と気がついたので「クラゲだったら刺されるかもしれないな」と思いつつ、恐る恐る指で突っついてみると特にこれといった反撃もなく、手応えはかなりしっかりしていましたが、それでもクラゲと同様の手触りでした。

 翌日、職場で「昨日こんな物を見つけたんだけど」と同僚に写真を見せると、数名が調べてくれました。ほどなく「イボクラゲじゃない?」ということになり、インターネットで検索して写真をいくつか見たところ、そのうちのひとつがまさしくあの砂浜で見た物体と同じ物でした。

 イボクラゲは熱帯性のクラゲで、最大で50cmほどにもなり日本ではエチゼンクラゲに次いで大きいクラゲなのだそうです。私が見た個体は20cmくらいでしたからまだまだ小物だった訳ですね。

 さて、なんでこの熱帯性のクラゲが三浦の砂浜に流れ着いたのかな・・と例によって当センターのホームページに掲載している「関東・東海海況速報」の2011年11月1日号を改めて見たところ、この頃黒潮の流路は直進型でしたが、大島の西側から沖合の温かい水が相模湾内に進入していました。恐らくこのイボクラゲはこれに乗って相模湾内に運ばれたのでしょう。

 黒潮から枝分かれした流れ(黒潮分岐流)は今回のイボクラゲだけでなく様々な生き物を相模湾内に運んできます(ハダカゾウクラゲのこともありましたね)。この黒潮分岐流の流入前後で相模湾沿岸の定置網で獲れる魚の種類や量ががらっと変わることも良くあります。(ハダカゾウクラゲの時も書きましたが)今回のようなことがあるたびに相模湾の豊かさは黒潮や黒潮分岐流によって支えられているんだなぁと実感するのでした。

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