神奈川県水産技術センター メルマガ401

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.401 2012-8-3

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.401 2012-8-3
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□研究員コラム

○ 図鑑というアイテム (資源環境部 田島良博)

○ ヤマメの食事と森の環境 (内水面試験場 勝呂尚之)

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○ 図鑑というアイテム (資源環境部 田島良博)

  前回(No.383)は、調査で採集した雑多なごみや砂の中から生き物を拾い出すソーティングという作業についてお話しましたが、今回は次の生き物の種類を調べるというお仕事に関するお話です。といっても、種類を調べる作業そのものではなく、必須アイテムである図鑑についての雑談です。

 さて、私たちが研究で使う図鑑というと、日本産魚類検索(東海大学出版)や日本産えび類の分類と生態(生物研究社)など何万円もする専門書というイメージがあるかも知れませんが、結構ビジュアル系の図鑑も活用しています。検索図鑑などは、種類を確定するための最終兵器のようなものですが、モノクロの線画が中心で、いまひとつ全体のイメージがつかめません。ある程度何の仲間か絞ってから使わないと、本命にたどり着くまでが長い道のりとなります。そこで、見慣れない生き物が登場すると、このビジュアル系の図鑑が結構役に立ちます。例えば、ウミウシガイドブック(TBSブリタニカ)など、カラフルな写真が満載で眺めているだけでも楽しいものです。

 最近は、ガイドブックやハンドブックと称するシリーズで、結構マニアックな図鑑が多数発行され、書店の図鑑コーナーもなかなか賑やかですね。きれいな写真や図版が中心ですが、比較的薄いので価格は1から2千円台と結構手ごろなものが多いです。私も、このようなライトな図鑑をいろいろ買い集めていますが、実は仕事用というより趣味の絵本として買っています。最近はイモムシハンドブックなど、文一総合出版のハンドブックシリーズにはまっています。生き物の種類を調べたいという欲求もありますが、どちらかというとお茶を飲みながら眺めて楽しむためのアイテムとなっています。

 私のような生物屋は、子供の頃に生き物の図鑑に夢中になった経験を持っている人が多く、同僚たちもその類です。そして、往々にして今でも図鑑に目がないので、新しい図鑑でるとすぐ話題になります。1冊1冊は比較的手ごろでも、これらが次々と出てくるとなかなかお小遣いには響くもので、どこまで手を出すかは悩みどころです。それでも出版社のサイトで新刊情報をチェックしながら、ワクワク感を楽しんでいます。

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○ ヤマメの食事と森の環境 (内水面試験場 勝呂尚之)

 丹沢の渓流に生息する魚の代表はヤマメです。釣り人に人気があり、美味しい魚ですが、いったい何を食べているのでしょうか・・・。

 ヤマメの食性を現場で調べるために、口から水をスポイドで入れ、食べたものを吐き出させます。分析すると、メインディッシュが昆虫類であることがわかります。水生昆虫のカゲロウ、トビケラ(写真1)およびハエ(水生昆虫はすべて幼虫)、陸生昆虫のコウチュウ、カメムシ、バッタ(写真2)が目立ちます。胃内容物指数(餌の重要度を、魚と餌の大きさを考慮して算出した指数)を解析すると、陸生昆虫の方が大きいので、ヤマメの餌として重要であることがわかりました。周辺の森が天然林で良い状態の河川では、陸生昆虫の割合が高い傾向があり、荒廃した人工林を流れる河川では、陸生昆虫が少ないので、仕方なく水生昆虫を食べているようです。餌の出現種や出現個体数が河川によって異なり、ヤマメの食性は森林環境を反映する「森のリトマス試験紙」であることが示唆されました。

 特に注目されるのは、秋のヤマメの胃内容物にはバッタが多い点です。カマキリやバッタには、ハリガネムシ(写真3)がよく寄生していますが、このセンチュウは水中で産卵するために、なんと宿主の昆虫を操って川へ飛び込ませるのです。グロテスクなハリガネムシですが、バッタを川に飛び込ませ、ヤマメなどの魚類にエサを提供する丹沢生態系の重要な役割を演じています。丹沢の渓流域では、秋になるとヤマメの胃内容物からカマドウマが頻繁に出現するので、昔から不思議に感じていました。この事実は、京都大学フィールド科学教育研究センターの佐藤拓也氏の御努力で解明されたものですが、私にとってはまさに「目からウロコ」の研究発表でした。

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