神奈川県水産技術センター メルマガ406

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.406 2012-10-12

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.406 2012-10-12
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□研究員コラム

○ 肉食系と草食系 (内水面試験場 安藤 隆)

○ライギョのチャー・カー(魚の油鍋) (企画経営部 臼井 一茂)

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○ 肉食系と草食系 (内水面試験場 安藤 隆)

 電車で週刊誌の吊り広告を眺めていたら、今の男子は草食系が多く、女子は肉食系が多いというような記事を見かけました。草食系は優しくて、周囲と同調し敵が少ない。肉食系は主張が強くて周囲に影響を及ぼすといったところでしょうか。

 外来魚についても、この類型化とイメージが当てはまるようです。外来魚というと多くの方が思い浮かべるのはブラックバスとブルーギル、在来の魚を食べ尽くして生態系を破壊してしまうギャングというイメージ。典型的な肉食系です。以前は、ライギョが今のブラックバスと同じようなイメージを持たれていました。大きなカエルを一呑みにしてしまう様子を見てライギョが増えると大変なことになると思っていました。

 しかし、同じ時期に利根川水系で繁殖していたソウギョ、レンギョ、アオウオなど中国から来た魚たちは1メートルを超える巨体にもかかわらず、あまり問題視されていなかったように思います。これは、彼らが肉食系ではなく草やプランクトンを主食とする草食系で、穏やかなイメージだったためでしょうか。その他にもタイリクバラタナゴは広く大量に繁殖して、在来のニッポンバラタナゴを脅かしていますが、プランクトン食で見た目も美しいためか、一般にはあまり敵視されていないようです。

 例外としてはニジマスなどがあります。魚食性の強い魚ですが、多くの川に放流されて釣り人に喜ばれています。これは彼らが滅多に繁殖しないため、増えてしまって困ることはないという安心感があるためでしょうか。

 その他に「国内外来魚」の問題があります。琵琶湖のコアユの放流によって全国に分布が拡がった魚種の他、先頃山梨県の西湖で発見されたクニマスも国内外来魚です。本来生息していた田沢湖で70年も前に絶滅したと思われていた魚が発見されたというので、うれしい話題として多くのメディアに取り上げられていましたが、外来魚問題を考える上では思いは複雑です。国内外来魚の問題は内水面漁業とも密接に関連し、根が深いので、また別の機会に。ちなみに私は典型的な草食系です。

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○ライギョのチャー・カー(魚の油鍋) (企画経営部 臼井 一茂)

 先日、変わった麺類を探しにベトナムの首都、ハノイへ行ってきました。ここは米の粉で作られた“フォー”の本場で、幅広のものや丸いモノなど、色々な太さや形の麺がありました。日本では米粉で作られてるというと、フォーより中華料理で出てくる細いビーフンの方が一般的で、それはベトナムではブンと呼ばれてました。

 市内にはいくつもの専門店通りがあり、フォー巡りに出かけたのですが、町中はバイク天国でその排気ガスなどで多くの方が分厚いマスクをしてました。道を横断するのもコツが必要で、唐突に飛び出すと事故になりますから、頃合いをみて適当に渡っていくと、向こうが避けてくれ渡れました。なかなかスリリングな体験で、そうですね、イメージとしては渋谷のスクランブル交差点で、多くの人が歩いているのが、全てバイクであり、そこを歩いて突き抜ける感じでしたよ。

 いくつかのお店でフォーを頂くと、麺自体が旨いという事ではなく、牛や鶏などからとった、あっさりしながら味わい深いスープで、主食の米を食べているのだという感じ。それから、地元のスーパーを廻って色々な乾麺もゲットしてきました。

 足取りも軽く町を見て回っていると、水槽をそろえた店が並ぶ通りに出くわしました。中を見るとナマズやソウギョ、ハタのような水玉模様の桂魚(中国に生息する淡水のスズキ類)のような魚とともに、子どもの頃にルアー竿を折られた記憶が残る、でっかいライギョがいました。

 ライギョは丸太ん棒のような寸胴の淡水魚で、上鰓器官と呼ばれる血管の発達した粘膜のひだをもって、エラ呼吸以外に空気の呼吸もおこないます。熱帯魚で有名なキノボリウオや闘魚で有名なベタなども、この器官を持って空気呼吸もします。

 このライギョですが、現地ではとても高級な魚で、カー・ロックと呼ばれていました。これを使ったチャー・カー・ラボン(ラボンは店名の様です)というハノイ発祥の名物料理があるとのことで、その専門店に行ってみました。

 そのお店はネットで一応検索はしていたのですが、有名店とのことで並ぶことを覚悟してきたのですが、重厚な入り口のドアを開けて入ってみると、照明もついてなくて薄暗く、お客さんが誰もいない。幅の狭い木製のらせん階段をあがって2階に通されたので、店前の通りを見られる窓側に陣取りました。さて、臨戦態勢ができたところで何を頼むかメニューを捜すと、テーブルに小さなプレートが置いてあり、「当店のメニューはこの一品のみ」と書いてありました。ではではと早速頼むと、ワケギとデールの野菜類、フォーと何種類かの香草類(有名なコリアンダーのほか、ドクダミの様な香りとミント臭が)、塩がまぶしてあるピーナッツ、そしてニョクマム(魚醤)が出てきました。一応、食中毒予防にと持ってきた自前の箸を出して待っていると、小さなフライパンにターメリックで黄色く色づいたライギョの切り身が、たっぷりの油で揚げられていました。

  給仕してくれた小さなお兄ちゃんにどうやって食べるのかと聞くと、野菜を入れて一緒に炒めるとのこと、そして自分の器にフォーを入れて、香草、ピーナッツ、塩気が少し感じる程度のニョクマム(タレかな)を絡めて味付けし、炒めた野菜と雷魚の切り身をのせていただくとのこと!!

 う-ん、旨い。香りも塩気もほんのりで、味がまろやかでさっぱり。実に旨い。魚肉にコラーゲンが多い感じで、むっちりした食感。海の魚だと、もしいればですが大きなハタハタを切身にしたような、ハタ類とかアラに通ずる食感かも。火鍋に入っていた桂魚にも似ているかな。ただ、ライギョの切身、指を半分にしたくらいの大きさで数個しか無く、食べ足りないのが残念でした。

 そうそう、油壺マリンパークの館長を務められた末広先生の寿司ネタの本だったと思います。その本の中に、戦時中にはヒラメの代用品として食べられていたのだと。しかし、淡水魚のこのライギョには顎口虫という寄生虫がおり、その寄生虫を食べる形で人体に取り入れてしまうと、成虫になれず幼虫のまま皮膚の下を長い間動き回って、最終的には内臓や、脳、そして眼球などに移動します。寄生虫の何かの本で、眼球からこの寄生虫が出てきていた写真を見た覚えがあります。そして、その場合には脳に重大な障害や失明を起こしてしまいますから、刺身などの生食、切り身が大きくて中心の加熱が不十分な料理は食べないように、注意しないといけませんよ。

 しかし、ベトナム料理はタイ料理や韓国料理などと異なり、香草が臭過ぎることなく、香辛料や唐辛子で味も香りもキツ過ぎることのない、とにかく野菜を多く食べられる料理でした。開高健さんも、海外で味が飽きたらベトナム料理を食べられていたとか聞いたことがあります。

 それにしてもこのライギョ、ヒラメの代用品として使われるぐらいですから、美味しいのですね。子どもの頃、釣れてさえいれば、もっと早く食べる機会があったのかも。

 写真:ハノイの料理屋さんで食べたチャー・カー・ラボン

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