神奈川県水産技術センター メルマガ407

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.407 2012-10-26

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.407 2012-10-26
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□研究員コラム

○ ミズクラゲの話 (資源環境部・企画経営部 前川 千尋)

○ ナガスミヤキ    (相模湾試験場 中川 研)

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○ ミズクラゲの話 (資源環境部・企画経営部 前川 千尋)

 本年4月1日付けの人事異動で小田原市早川の相模湾試験場長から本所の企画経営部長兼資源環境部長に転出しました。昨年の6月1日に相模湾試験場へ転勤して、僅か10箇月で本所に戻りました。前回のメールマガジンでは、「これからも小田原や県西地域の話題をこのメールマガジンでお知らせしたいと思いますのでよろくしお願いします。」と読者の皆様にお約束したところですが、約束を果たせぬうちに本所に戻ることになりました。さて、そこでメールマガジンに何を書けばよいのか、最近のことでは書く話題がないので困りました。そこで、20年程前の普及員の時のことで、印象に残っていることを紹介しようと思います。

 今回は、ミズクラゲが相模湾で大発生した時のことを紹介します。ミズクラゲは、大きさ(傘の直径)が20cm程のクラゲで、春から夏にかけて相模湾や東京湾で普通に見られるクラゲです。相模湾では、今から20年ほど前の平成3、4年頃にミズクラゲが大発生しました。クラゲの大発生としては、10年程程前から日本海側で大型クラゲのエチゼンクラゲが大発生し、漁業操業に大きな影響を与えたこと記憶に新しいことです。ミズクラゲの大発生は、エチゼンクラゲに比べて世間一般ではさほど話題にはなりませんでしが、本県漁業へ大きな影響がありました。

 当時、私は、魚を測定するため週1、2回の頻度で小田原魚市場に通っていました。4月の終わり頃から定置網の漁獲物の中にミズクラゲが混ざっているのが目立ってきましたので、日頃親しくしている漁業者の方にクラゲの様子を聞いたところ、朝から沖でクラゲを始末するのに大変でくたくたになっている。一回見に来いと言われました。

 翌朝早速、朝3時に小田原漁港に行き、船に乗り漁場に向かいました。港からでると、まだ暗い海の中に船の明かりに照らされて多数のミズクラゲが浮いているのが見えました。その時はクラゲが多いな程度の印象でしたが、漁場に到着し定置網を徐々に上げていくと網の中一杯のミズクラゲが見えてきました。残念ながら写真を撮っていませんので、当時の様子をご覧に入れられませんが、クラゲで一杯の網を初めて見た印象は今でも鮮明に覚えています。

 それからが大変な作業になりました。最初は網の裾からクラゲを網の外に少しずつ出しながら、網を閉めていきます。魚も網の中に見えてくると、今度はたも網を使ってクラゲをすくい網の外に放り出します。バケツ一杯分くらいのクラゲをたも網ですくい、放り出すのですから大変な重労働になります。小一時間ほどかかってようやく魚を船に取り込みましたが、そのころには腕はパンパンになり、体はくたくたになっていました。クラゲが多いと、操業時間が普段の2、3倍になり、魚槽に魚とクラゲが混ざると氷がきかず、魚の鮮度も落ちる等、漁師さんには良いことは何もありません。

 ミズクラゲの大発生も2-3年続きましたが、いつの間にか大発生も収まりました。当時、東京湾でもミズクラゲの大発生がありましので、ミズクラゲは東京湾から流れてきたのかと思っていましたが、大発生の原因についてよく分からないまま収束しました。その頃から少し海の様子が変わってきたのと思い返しているところです。

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○ ナガスミヤキ    (相模湾試験場 中川 研)

 以前(平成19年、1月12日発行、No.178)スミヤキという魚について、紹介させていただきましたが、今回は、その記事でも少し触れたナガスミヤキを紹介します。ナガスミヤキと聞いて、すぐに魚の姿を思い浮かべた貴方は、生粋の小田原人です。

 標準和名をクロタチカマスと言い、小田原では、前述のナガスミヤキとか、ナガッポ、ナガズミなどと呼ばれています。以前紹介したスミヤキこと、クロシビカマスは、県内だけでなく、千葉県や静岡県などでも漁村を中心として、食べられていますが、このクロタチカマスを食べる地域は、全国的にも珍しく、ここ小田原周辺だけのようです。しかも、高値で取引される魚なのですから驚きです。中秋から初冬にかけては、このクロタチカマス等を狙った専門の夜釣り、スミヤキ漁が行われるほどですから、いかに小田原市民が、この魚を好きなのかがわかります。

 食べ方としては、やはり塩焼きが一番です。スミヤキと同様、皮と身の間や一部身の中に骨があるため食べにくいですが、背側から身を開き、身から皮に向って身をほぐして食べると比較的食べやすくなりますので、小田原に来た際、メニューにナガスミヤキの文字を見つけた際は、是非食べてみてください。

 このクロタチカマスは、体長1m以上に成長する魚食性の魚です。昼間は深海に棲み、夜間になると捕食のために海面近くまで浮上してきます。それを狙ったのが前述のスミヤキ漁というわけです。近年、不漁が続いており、小田原の海の秋の風物詩でもあったスミヤキ漁が行われていませんでした。しかし、今年の9月下旬に小田原の定置網でクロタチカマスが1尾漁獲されました。それが呼び水となったのか、スミヤキ漁を行う漁業者が現れ、数は少ないものの小田原魚市場に水揚げされるようになりました。スミヤキ漁の復活!とまでは行きませんが、まだ、10月。シーズンは、まだ一ヶ月以上残っています。是非、ナガスミヤキの大漁!を期待したいです。

 小田原に限らず、魚が揚がる港町では、アジやサバのような大量に獲れ、市場に出回る魚だけではなく、食べにくさや知名度、大きさや少量しか獲れないなどの理由で消費地に出回らない魚を美味しく食べる文化があります。元々沿岸漁業は、このような少量多品種の魚が多く獲れます。それを地元の住民が季節や地域にあった方法で料理し、食べてきたのです。

 是非、皆様も地元漁業が行われている町に来た際、地元で獲れた馴染みの無い魚料理を食べてみてください。多くの人たちに漁業や魚のことを知ってもらい、食べてもらうことで、沿岸漁業は守られていくのだと思います。

 皆様、かながわの魚、漁業を知って、かながわの魚を食べましょう。

 (参考) (どんな魚が獲れた!(小田原-真鶴編)第226号で紹介したクロタチカマス)  

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