神奈川県水産技術センター メルマガ409

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.409 2012-11-22

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.409 2012-11-22
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□研究員コラム

○ 魚と私 (その3) (水産技術センター所長 米山 健)

○ あなご学うんちく(16) (資源環境部 清水 詢道)

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○ 魚と私 (その3) (水産技術センター所長 米山 健)

 今年の3月に、私の思い出に残る魚、キツネメバルの話をしましたが、もう一種ユメカサゴは次回まわしということにしましたので、今回は、そのユメカサゴのことを書きます。

 前回とりあげたキツネメバルやウスメバルは、仙台湾の岩礁域が漁場となっていましたが、このユメカサゴは、それより沖の水深100-200mの砂泥域が漁場で、地元では「ノドグロ」と呼ばれていました。その名のとおり、口を開けるとノドのあたりが黒く、腹を割くと、腹腔内も真っ黒でした。また、胃内容物は、アミ類、魚類、エビ類のほか、ゴカイなどの多毛類がみられました。さらに、成長もゆっくりで、25cmを越えるには10年以上もかかると推測されました。

 めったに大きな魚体のものは獲れず、10-20cmのものが主体でしたが、それらを焼いたり、煮たり、一夜干しにして食べてみました。この魚は小型ですが、何とも言えない甘みのある脂が特徴で、特に一夜干しは絶品でした。

 美味しいからだけではなく、記憶に残るのには、もう一つの理由があります。それは、いくら魚市場に水揚げされた魚を観察しても、卵をもった個体が見つからなかったことです。浅い方に小さな個体が生息し、大型の魚はそれより深いところに棲む傾向がありましたが、深い漁場で獲れた魚を観察しても、結局、見つからずじまいで悔しい思いをしました。

 その後、2回ほどユメカサゴを食べました。特に、20年ほど前、千葉県に行ったときに、直売所で延縄により漁獲されたばかりの生きているものが売っていたので、喜んで箱ごとまとめて買い、持って帰るのに一苦労しました。ユメカサゴは、相模湾でも獲れることがあり、遙か東シナ海まで生息するそうです。学生時代は、「おそらくこのユメカサゴの産卵場は、遙か南の海域で、黒潮にのって稚魚が北の海域まで運ばれ、大きくなると南の海域に帰っていくのではないか。」と想像していました。

 いまだに産卵場の疑問は解けないままですが、生きのいい魚を見つけた時は、ぜひ食べてみてください。最近、日本海側で売り出し中のノドグロ(アカムツ)と比べても遜色ない美味しさだと、私は思っています。

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○ あなご学うんちく(16) (資源環境部 清水 詢道)

 年1回、全国のアナゴ類の研究者が集まって研究成果などを話し合う「アナゴ漁業資源研究会」(通称アナ研)については、このうんちくシリ-ズでも紹介したことがありますが、来年1月に第16回研究会が長崎県対馬市で開催される予定です。アナゴ類の漁獲量を都道府県別にみると、最も多いのは長崎県で、しかもその90%以上が対馬市で漁獲されているという、全国でも有数の大産地です。アナ研は、兵庫県、神奈川県、宮城県などアナゴの産地をまわるような形で開催されてきまたが、長崎県での開催は初めてです。

 対馬は、魏志倭人伝によれば「土地は山険しく深林多く、道は禽鹿の小径の如し。良田なく海物を食して自活し、船に乗りて南北に市糴す」とあるそうです。平地が少なく、良田がないために海に活路を求めて、そのひとつが現在のアナゴということなのでしょうか。対馬でのアナゴの漁獲方法は、現地では篭漁業と呼ばれていますが、東京湾などのあなご筒とほぼ同じもののようで、篭を幹縄に、10m間隔でとりつけます。1隻が1回に使用できる篭の数は対馬の東側では1000個まで、西側では1300個まで、東京湾では筒の数の多い人で600個くらいですから、かなり大規模な操業です。おそらく筒の形や材質など、東京湾とは異なっていると思うので、実物を見たり、操業する船に乗船してみたいのですが、冬の対馬周辺の厳しい気象状況や海の状況を想像すると、体験するのはちょっと無理ですかね。

 対馬のアナゴは、九州-パラオ海嶺の産卵場から、北赤道海流、黒潮に乗ってやってきて、やがて黒潮から離れて対馬暖流に乗ったグル-プと考えられます。東京湾では春先に葉形仔魚が来遊してくることがわかっていますが、対馬周辺にはどのような状態で来遊してくるのでしょうか。葉形仔魚がいつ、どこに来遊してきて、どこで変態して対馬の漁業資源として加入するのか、それらを考えるのはとても楽しいです。ちなみに、東京湾のアナゴの旬は梅雨の頃ですが、対馬のアナゴは1年中が旬なのだそうです。

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