神奈川県水産技術センター メルマガ411

掲載日:2014年1月18日

神奈川県水産技術センターメルマガ VOL.411 2012-12-21

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/KN/ 神奈川県水産技術センターメールマガジン  VOL.411 2012-12-21
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□研究員コラム

○ 単独釣行 (相模湾試験場 渡邉芳明)

○ 潮岬 (資源環境部 清水顕太郎)

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○ 単独釣行 (相模湾試験場 渡邉芳明)

 9月も中旬を過ぎると、登山客はめっきり減っていくが、それと反比例するかのように釣り人は増えていく。毎年のことであるが、今年はそれがとても顕著に感じられる。こんな人数で上流に行って釣りができるのだろうかと、ちょっと憂鬱な気分になる。それは僕だけでなく、この上流へのバスを待つ釣り人は皆そう感じていることだろう。いつものように皆の今日の予定を確認し、なんとかそれぞれが希望通りの場所に入れることがわかると、ほっとした気分になる。

 沢を下って本流に出ると、あまりの水量の少なさに驚かされる。こんな時は、ティペットを細くし、フライも見にくい小さめのものを使うのが常套手段であるが、キャスティングの精度はさておき、近年実感しつつある老眼を理由にあえて見やすい14番のドライフライを結んで釣り上がる。

 しかし、この魚の反応の悪さはなんだ。反応の悪さは、様々な要因が考えられる。渇水、産卵期前、先行者の有無、フライ・ポイントの選択、アプローチ、ドリフトの仕方、釣気の出しすぎ、等々。数え上げたらきりがない。意外に「釣気の出しすぎ」というのも僕の中では釣れない要因になっている。不思議と何も考えずに投じたフライに魚が反応するというのは、経験上よくあることで、魚も「釣ってやる!」というこちらの気を感じて姿を消すというのは、野生動物故の感覚があるのかもしれない。その後も釣れない時間は続き、ドリフトもいい加減になってきて、さらに釣れないモードに入っていく。

 ふと、気づくと、周りは普段見慣れない景色となっていた。夏も終わりになると、ここは日暮れが急に早くなる。ふいに強烈な不安にかられた。谷が深いこの渓では、谷の上にある林道に上がるルートは限られている。釣友の林道に上がるのに死にかけたという話や山小屋の主人の「先日、釣り人が滑落しましたよ。」という言葉が頭の中にこだまして聞こえてくる。この数秒の間に急に渓が暗くなってきたように感じられた。「遭難・・・。」いやな考えが頭をもたげてくる。「落ち着け」と自分に言い聞かせながら、「早く林道に上がらなくては」という思いが正確な判断を狂わせる。いつもは暖かく迎えてくれる渓が、僕を冷たく見放し、無言で佇んでいるような感覚があった。「今すぐ林道へ向かわなければ」という思いしかなかった。

 上を見上げると、なんとか林道まで登れるのではないかと思わせる斜面がそこにあった。斜面はその渓特有の尖った岩が折り重なるように堆積しており、歩を進めるたびに岩が崩れ落ちた。手をつき、斜面を這うように登ってゆく。額からは汗が噴き出てくる。トゲのある草をつかみ、思わず体勢を崩しそうになる。ウェーダーは、傷だらけになっているだろうと思いながら、ルートを変えることもできなかった。

 登って行くにつれて、そこが下から見るより急な斜面であることがわかった。斜面の角度は、だんだんきつくなり、もうこれ以上は進むこともできず、かといって、降りることもできない所まで来ていた。今まで味わったことのない感覚が体中を突き抜けていくのが感じられた。

 少し先を見ると、網状のものが土の中から所々出ているのが目にとまった。過去に土砂の流出を防ぐために張られた物の残骸かもしれない。手を伸ばせば、何とか届きそうな距離にある。これをロープ代わりに登っていけば、林道まで到達できるかもしれない。一方でこれがズルリと抜け落ちれば僕はどうなるだろうという思いもよぎった。手を伸ばし、それをしっかりとつかむ。何とか持ちこたえてくれと祈りながら、登っていく。体中の筋肉がギシギシと音を立てているのがわかる。林道のアスファルトに手が触れた時、体ごと林道に転がり込んだ。

 「単独釣行はやめたほうがいい。」

 林道を下りながら、行きつけのショップオーナーから言われたことを思い出した。一人で来たことを少し、反省する。それでも僕は、単独釣行をやめることはないだろう。釣友と行く釣りも楽しいが、一人でいく釣りには何物にも代えがたい、自分だけの時間があるからだ。

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○ 潮岬 (資源環境部 清水顕太郎)

 11月29・30日に和歌山県から千葉県の漁海況担当者の会議が和歌山県串本で開催されました。私もその会議に出席したのですが、開催県の和歌山県水産試験場のご厚意で潮岬を見学することができました。

 潮岬は島しょを除き陸から黒潮が見られるほとんど唯一の場所です。私は海況担当として海況図上で何本もの黒潮を描いてきましたが、恥ずかしながら黒潮本流を見たことがありません。前日(28日)の「関東・東海海況速報」から「もしかしたら黒潮が見られるかもしれないな」と思いながら、29日早朝串本に向かったのでした。潮岬を見学することができたのは30日のことでしたが、幸いよい天気で、風も穏やかで海も凪いでいました。一方、残念なことに黒潮は少し岸から離れたため黒潮本流を見ることは叶わなかったのですが、黒潮が近いこともあり、結構な早さで東向きに潮が流れており、十分迫力ある風景でした。

 さて、和歌山県からお隣の三重県の一部では西に向かう流れのことを「上り潮」、東に向かう流れのことを「下り潮」というのだそうです。これは西向きの流れは京都に向かう=上る、東向きの流れは京都から離れる=下る からきているのだそうで、私が潮岬で見たのは「下り潮」ということになります。和歌山県沿岸の漁模様は「上り潮」なのか「下り潮」なのか、また、流れが「強いか」、「弱いか」でがらっと変わるそうです。このため、和歌山県の海況担当者は1日に最低3回は潮岬に行って、流れの状況などを確認するのだそうです。もちろんその情報は「関東・東海海況速報」にも反映されています。海況図の作成当番のときに和歌山県の海況担当から「もう少し黒潮を接岸させて」とか「離岸させて」という連絡をもらうことがあるのですが、実際に目で見て確認したのですから非常に正確な情報だと言えるでしょう。

 潮岬を見学した30日には少々強引に串本から神奈川に帰ってきたのですが、今度はゆっくり行ってみたいですね。何しろ、釣れそうなポイントがそこかしこにあるのですから、私のような釣り好きには天国のようなところです。和歌山水試の方に聞けば、よく釣れる場所も釣り方も教えてくれるでしょうし・・・

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