神奈川県水産技術センター メルマガ501

掲載日:2016年9月2日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  501号    2016年9月2日号

□ 研究員コラム

1 魚を正面から見てみよう (企画資源部 田村怜子)

2 南からやって来た・・・すね毛ガニ(内水面試験場 勝呂尚之)

----------------------------------------------------------------

1 魚を正面から見てみよう (企画資源部 田村怜子)

 4月に企画資源部企画調整担当となりました田村と申します。入庁してから水産課に3年間勤務したあと、初めての異動でこちらへ配属になりました。どうぞよろしくお願いします。
 現在の担当業務は、予算やイベントなどの広報の企画、研修生受入れなどの事務仕事ですが、考えることが多いので時々頭が疲れます。例えば、研修生受入れに関する業務では、研修期間内に最大限の知識や経験を得てもらうためにはどんな内容が良いかを考え、さらに、各分野の担当者のスケジュールと参加可能な人数を確認しながらプログラムを考えます。また、広報業務についてもイベントの周知効果を最大限に引き出すためにはどうするかについて考えます。こうして頭を使っているおかげで脳がブドウ糖を求めるのに抗えず、ついつい引き出しにあるお菓子に手が伸びてしまいます。ふと時計を見ると、まだ9:00か、と思うときもあれば、もう11:30か、と思うときもあり、完全に腹時計に支配される毎日となっています。
 さて、普段は前述の通りのお勤め内容なので、海で仕事をする機会はないのですが、休みの日などを利用して水族館で「疑似潜水体験」を楽しみに行くことがあります。もっとも、スキューバダイビングの息苦しさが嫌でスノーケリングを好む私にとっては、呼吸を気にせず、さまざまな種類の魚が水中で悠々と泳ぐ姿を見ることのできる水族館は、これ以上ない極上のひとときを過ごせる施設と言えます。
 そんな水族館で新たな楽しみ方を発見したのは大学時代のことです。大学院の学生だった頃、東京から東シナ海までを航海する、通称「院生航海」と呼ばれる乗船実習に参加し、漂流ゴミの種類や大きさを目視観察して各海域のゴミの密度を求めたり、東シナ海でトロール網を用いた生物調査等を行ったりしていました。調査が終わり、東京へ戻る航路の途中で鹿児島港へ入港した時のことでした。
 鹿児島港の目の前に、いおワールドかごしま水族館があるのですが、そこに「デンジロウ」と名付けられたデンキウナギが展示されていました。水槽に近づいたとき、昔、ウナギの写真を真正面から撮ったら口がドラえもんみたいになっていてものすごくかわいかった!(誰も同意してくれませんが、個人的にダントツのかわいさだと思っています。イメージ図でごめんなさい:写真1)ということを思い出し、デンジロウもさぞかしかわいかろうと真正面から写真を撮ってみることにしました。そうするとどうでしょう、いつもは長モノのお魚と思っていたデンキウナギが丸モノみたいではありませんか!ふふ、やっぱりかわいい。それより、この写真の撮り方は面白いかもしれない。そう思い、続けてピラルクをパシャリ。いつも想像するピラルクさんと全然違う。これ、魚版証明写真みたいですごく面白いじゃないですか…!!それからはどこの水族館に行くときも魚の “正面顔”を撮ることに夢中になってしまいました。しかし、水族館で魚の正面顔を撮ることは結構難しいことで、泳ぐ魚がこちらを向いた瞬間とシャッターのタイミングが合わなかったり、展示水槽のガラスの厚みによる光の屈折でうまく撮れなかったりします。それでも、いつも見る角度とは違う角度から魚を見ると、新しい一面を発見した気分になり、その魚への興味がわいてきます。また、魚の種類によっては胸びれや目のついている位置が観察できるので、そんな形のひれを持っていて、しかも目と同じ高さについていたのか、などの発見をすることもあり、なかなか楽しいのです。
 みなさんも水族館へ行く機会があるようでしたら、ヒラメやアジなどの慣れ親しんだ魚の正面顔を撮ってみてはいかがでしょうか。そうそう、もしマンボウが展示されているようでしたらぜひ正面顔を撮ってみてください。意外と顔幅があってびっくりしますよ。

  写真1:ウナギ正面図(イメージ) 

 写真1 ウナギ正面図(イメージ) 

 写真2:かごしま水族館のデンキウナギのデンジロウ

 写真2 かごしま水族館のデンキウナギのデンジロウ

 写真3:ピラルクさん

 写真3 ピラルクさん

 写真4:とある水槽のヌシ(ハタ科)

 写真4 とある水槽のヌシ(ハタ科)

 写真5:ピンクのチークが目立つダルマオコゼ

 写真5 ピンクのチークが目立つダルマオコゼ

----------------------------------------------------------------

2 南からやって来た・・・すね毛ガニ(内水面試験場 勝呂尚之)

  相模川の河口に「馬入水辺の楽校」と言うビオト-プがあります。内水面試験場では、毎年、市民団体と連携して、観察会を兼ねた水生生物調査を行っています。このあたりは、淡水と海水が混じり、たくさんの魚やエビ、カニが生息する豊かな水域です。魚類は20種類程度、エビやカニ類も合わせて10種類程度は、毎回、採集されます。豊富なハゼ類やテナガエビ類、県内では珍しい希少種・アリアケモドキ(写真1)をはじめ多様なカニ類など、何が採集されるのか、とてもワクワクする場所です。
 しかし、最近、少し気になっていることがあります。昔と比べて生物相が変化し、採集される生物が変わってきているのです。クロホシマンジュウダイ、カワアナゴ、ウロハゼ、ヒナハゼ、ミナミテナガエビ、ミゾレヌマエビなど、西日本以南に多い種類が増加しています。特に昨年と今年の調査では、見慣れないすね毛の濃いカニが出現しました。「トゲアシヒライソガニモドキ(写真2)」という、ややこしい名前のカニで、汽水域に生息する南方種です。他のカニにも毛が生えた種は少なくありませんが、本種は8本のすべての脚に毛がびっしり生えており、まさに、「すね毛ガニ」です。その上に、小さな体の割には、はさみも大きいので、他種との見分けは容易です。
 ざっと調べたところ、高知県、大分県、沖縄県などから少数の記録がありましたが、分布の中心は東南アジアのようです。神奈川県では初記録になるかも知れません。これも地球温暖化がなせるワザでしょうか。昔から生息していた生物への影響が心配されます。
 内水面試験場では、今後も相模川河口域の生物相の変化を注視し、調査を継続していきます。皆さんも、すね毛ガニのように見慣れない水生生物を見かけたらご一報下さい。

 写真1:相模川河口域に生息する珍ガニ・アリアケモドキ

 写真1 相模川河口域に生息する珍ガニ・アリアケモドキ

 写真2 すね毛が濃い南方種・トゲアシヒライソガニモドキ

 写真2 すね毛が濃い南方種・トゲアシヒライソガニモドキ

----------------------------------------------------------------

■水技Cメールマガジン(第一金曜日発行)
■メルマガの配信の変更、解除、ご意見やお問い合わせはこちらのメルマガお問い合わせフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

  
神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。