神奈川県水産技術センター メルマガ500

掲載日:2016年8月5日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  500号    2016年8月5日号

□ 研究員コラム

1 ギンザメを堪能!!(企画資源部 臼井一茂)

2 水清ければ・・・(栽培推進部 菊池康司)

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1 ギンザメを堪能!!(企画資源部 臼井一茂)

 子供の頃、母が作る魚の煮物は、カレイや銀ムツ、そしてサメで、食卓によく並びました。海のない栃木県出身の母は、「さがんぼ」があったと言って、よくサメを買ってきました。

 一緒に買い物に出かけた時の記憶ですが、お魚屋さんやスーパーにこの切り身があると、「これって、美味しいのよねぇー」と独り言には少し大きめな話し声で、皮が剥がされて白い身に綺麗な赤紫色の縞模様がある「ムキザメ」あるいは「アブラツノザメ」と記載されているパックを手に取り、まるで暗示でもかけるように、その切り身に話しかけるのでした。

 早速、大ぶりに切ってある切り身を、甘みのある醤油味でささっと煮付け、冷まして煮こごりになってから、お皿に盛りつけて出されます。まずは、つやつやに炊きあげた白米の上に琥珀色の煮こごりをすくい、温かいお米の熱で溶け出したところで一口、更にもう一口。そして細い箸先にしっとりとした身を掴まれ、絹のような歯触りの煮魚を口に入れて、そこに銀しゃりを一口。すかさず鼻から抜ける熱気と、ほんのりとした醤油の香りで余韻を楽しむ、そんなしなやかな食感を楽しむ煮魚でした。

 そんな食生活もあって、自分は特にサメという食べ物について偏見もなく、子供の頃から親しんだ食べ物でした。社会人になってからは、気仙沼で「モウカの星(心臓)」やフライを堪能したり、青森では茹でてほぐして酢味噌味の「すくめ」で一杯。もちろん、高級素材となったフカヒレのスープなども美味しく頂きます。

 そうそう、恩師のご自宅に伺う時に気付いたことですが、サメやエイを並べているお店は地域に差があるようなのです。横浜駅周辺の魚屋さんでは、サメはほとんど見掛けないのですが、東京も荒川を渡るとアブラツノザメやカスベ(エイです)なども並んでいるのです。お店の方に聞いてみると、「住んでいる方々が東北の出身が多いみたいで頼まれる」とのこと。つまり、親しんでいる素材だということですね。逆に横浜辺りでは、「並べているとそれだけで嫌がる方がいるし」とのことでした。

 さてさて、最近、はまっている台湾のお料理。暑い台湾では涼しくなってきた夕方からあちこちの路地などで夜市がたち、屋台では虱目魚と書かれているサバヒー、鱔魚と書いてあるタウナギなどが食べられます。もちろんお店に入れば、店の前に綺麗に並んでいる魚やエビや貝、山菜などを選んで、刺身だって蒸し魚だって、美味しく調理してくれます。

 その綺麗に並んでいる魚たちの中に、ひときわ大きく、ひときわメタリックに輝くぶつ切りされた魚が並んでいました。よく見ると、大きなヒレを持つギンザメがぶつ切りにされ、堂々と前列に並んでいました。「どう食べるの」と聞いてみると、ニンニクの芽と炒めたり、煮魚が旨く人気があるとのこと。それから、台北市の外れの夜市には、このギンザメだけで商売しているお店があるとの情報も。個人的な試食続きで程よい運動だと思い、水と紹興酒を抱えながらその店に向かってみました。

 そこは大きな橋のたもとにある、普通の通りなのですが、夕方になるとあちらこちらから屋台が出てきて、あっという間に繁華街の様相になる、ガイドブックに載っていない夜市。入り口付近のお店とのことだったので、地図を見ながら探すと自分がいる通りの反対側の出店でありました。

 早速、手に持つ紹興酒を見せてコップをもらい、待望のギンザメを頼んでキャンプ用の簡易テーブルで待つくことに。すると、かわいらしいお姉さん(ここの奥様の様です)があんみつの餡でもかけた状態の切り身を持ってきてくれました。まずは一口。最初に感じるのはエグくない上品なくん製の香りと、甘みのある餡の味わい。そしてかみしめていくと、皮のゼラチンの弾力と共に、しっとりとした鶏肉のような、少しザラッと感もあるお肉。そしてゆっくりと広がる柔らかなコクというかダシみたいに感じる旨味。少し物足りない感じだが、もう一つ、もう一つと、いつの間にかに虜になってるー。なんて加工品だー!!

 アンモニア臭はなし、臭みなどは感じない。塩味も特に感じず、ただ純粋な旨味をじっくり感じさせてくれる。この味わいにはやはり手作りしかできないそうで、くん製なども時間がかかり、たくさんは作れないとのこと。他のテーブルに目をやると、常連というか虜になったおじさん達が、味噌汁やビールと共に食べてました。そうだ、創業50年だか言っていたような。

写真1:お店の紹介ポップ

写真1 お店の紹介ポップ

写真2:燻煙の柔らかい香りがいいギンザメ

写真2 燻煙の柔らかい香りがいいギンザメ

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2 水清ければ・・・(栽培推進部 菊池康司)

  皆さんは東京湾の水の色というと、どのように思い浮かべるでしょうか?多くの人は「濁った水」、「汚い色」を想像するのではないかと思います。現在行っている研究業務に横浜周辺の海での海洋観測や魚類採集があり、その中に「透明度」という観測項目があります。透明度というのは、船の上から直径30cmの白い円盤(セッキー板といいます)を海に沈め、水面から見えなくなる深さを計測します。当然、濁った海ほど、すぐに見えなくなり、透明な海ほど深く沈めても見えることになります。肉眼での観察の為、個人差もあるでしょうが水の濁り具合が簡単にわかるためよく使われている指標です。

 横浜周辺沿岸域では、夏場に1から3m冬場で4から5mといったところが平均的な透明度ですが、なぜ、透明度が夏に低く、冬に高いかというと、海水中に存在するプランクトンの量が原因だと考えられます。夏は水温が高くなり、多くのプランクトンが発生するため、海水が濁り、透明度が低くなりやすいからです。

 6月上旬に行った調査では、海に出たときから「なんか海がきれいだな」と感じました。調査箇所は水深1.5mから17m程度の海域ですが、浅いところでは海底がはっきり見えており、多くの箇所でセッキー板が見えなくなる前に海底に到達してしまいました。一番、透明度の高かった地点は、9.5mもの透明度でした。「横浜の海もきれいになったんだ」と思う人もいるかもしれませんが、私たちは「これは異常だ」と考えています。漁師さんにも「魚獲れてますか?」と聞くと、「全然だめだね」と返ってきます。常に透明度が高いところでは問題ないのでしょうが、通常3m程度の透明度のところが、いきなり9mと3倍にもなったときは、何か海に異変が起きていると考えます。得てしてそのような時は魚が獲れなくなります。

 観測では、海水中の酸素量も測っており、このときは、表層で3から7mg/lの酸素量でした。いつもなら6から10mg/lはあるはずですから、かなり酸素が減少している状態です。「透明」ということは「植物プランクトンが少なく、光合成が減少し、海水中の酸素も少なくなった。」という現象が起きている考えます。このような状態では、魚も餌がないので動きたくもないのでしょう。もしかしたら、どこかへ行ってしまったかも知れません。その後、海の濁りは戻ってきて、漁師さんも「まあまあだね」といっていたので、少しほっとしたところです。まさに「水清ければ魚棲まず」です。「きれいな海」は必ずしも「豊かな海」ではないのです。なぜこのような現象が起きているのか?その原因はまだ解明されていません。どうしてこのような現象がおき、魚たちへどんな影響をあたえているのか調べて行くのも私たちの仕事です。

写真1:セッキー板

写真1 セッキー板

写真2:下ろすときはこのようになります

写真2 下ろすときはこのようになります

写真3:水中に下ろすところ

写真3 水中に下ろすところ

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