神奈川県水産技術センター メルマガ497

掲載日:2016年5月6日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  497号    2016年5月6日号

□ 研究員コラム

1 海の米? (相模湾試験場 荻野隆太)

2 これぞ 希少魚?(内水面試験場 長谷川理)

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1 海の米? (相模湾試験場 荻野隆太)

 相模湾試験場には、小学生や一般の方、JICAの外国の研修生など、様々な方が見学に訪れます。

 基本的に、相模湾で盛んな漁業や多く獲れる魚についての説明がメインなのですが、見学時間に余裕があるとよくお話しするのが今日のネタです。

 「海の米?」この話には前振りがあって、最初に「ハモノ」と「ナブラ」について説明します。

 「ハモノ」は漁師の造語で、例えば釣りをしていて、突然大きな魚や鋭い歯の魚がかかって、釣り糸を切られると「おーい、ハモノが来たぞ!」と叫び注意を促します。ハモノとは、鋭い歯と強い遊泳力で釣り糸のテグスを刃物で切ったようにスパッと切ってしまう魚の総称。具体的にこの魚という指定はありませんが、強い遊泳力のカツオやブリやカンパチ、鋭い歯でテグスを切るサワラやサメ等、フィッシュイーターの大きな魚が挙げられます。

 このハモノと総称される大きな魚の大好物は何でしょう?

 イワシです。中でもシコと呼ばれるカタクチイワシが大好物!ハモノは、シコの群れを見つけると海面まで追い立て、逃げ場を失ったシコは海面から飛び出します。(写真1)シコはカモメやオオミズナギドリ等の海鳥も大好物なので、海鳥が群がって、海上がにぎやかになります。この状態がナブラです。(写真2)

 ナブラでは、バシャバシャと水飛沫が上がり、下からシコを追い立てるハモノとシコによって海面がボコボコと沸騰している様に見えることから、釣り用語ではボイルと表現されます。このナブラがあると、下に喰い気の立った大きな魚(ハモノ)が居る場合が多いので、疑似針やルアーを付けた仕掛けを落とせば、大物が釣れることが多いのです。魚群探知機やソナーがなかった時代から、ナブラは一番わかりやすい大漁のサイン!科学機器が発達した今でも、カツオ船では、ナブラ探しから始めます。

 さて、今回のタイトル、「海の米」が何か、もうおわかりですよね?

 我々日本人にとって、主食はご飯=お米です。一方、ハモノとも呼ばれる大きい魚にとって大好物の主食は?そう、シコ(カタクチイワシ)です。我々の主食の米を、海に置き換えると、海の米=カタクチイワシなのです。

 話は変わりますが・・、神奈川県のしらす船びき網漁業者の団体「しらす協議会」では、先月末の4月30日(4月最終日=シ月ラスと)を、「湘南しらすの日」として制定しております。

 かながわブランドや名産100選にも選定されている「湘南しらす」は、カタクチイワシやマイワシ、ウルメイワシの稚魚。実は、産まれてから1から2ヶ月の「海の米」なのです!

 皆さま、釜揚げしらすはお好きですか?

 今年は昨年と比べて春しらすの漁も良いそうなので、産まれ立ての「海の米」、かながわ名産「湘南しらす」をぜひご賞味下さい。

 写真1 ハモノに追い立てられ、海面から飛び出したシコ

 写真1:ハモノに追い立てられ、海面から飛び出したシコ

 写真2 海面から飛び出したシコを啄ばむ海鳥のナブラ

   写真2:海面から飛び出したシコついばむ海鳥によるナブラ 

 写真3 漁業者のトローリングの仕掛け

  写真3:漁業者のトローリングの仕掛け

クイズ 写真3は漁業者のトローリングの仕掛けで、疑似針の前にヒコーキ(赤い部分)と呼ばれる物が付いています。さて、これは何のためについているのでしょうか?今日お話したナブラと関係があります。(本メルマガの巻末に回答を記述しております)

※太字ゴシック下線部にリンクを設定します。
  リンク先:http://sea.ap.teacup.com/sirasu/(湘南しらす★情報局)

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2 これぞ 希少魚?(内水面試験場 長谷川理)

 ペヘレイという名前の魚をご存知でしょうか? ペヘレイは、南米地域に生息している魚で、外見はボラなどのように紡錘形をしています。神奈川県では昭和41年(1966)に、アルゼンチンから受精卵を搬入し、ペヘレイの増養殖研究がスタートしました。この研究は、30年余りにわたって実施され、飼育方法の開発や河川放流などが試みられました。しかし、経済効果や外来魚に対する社会環境が変化し、現在は、ペヘレイに関する試験研究は終了しています。ペヘレイ研究についてご興味のある方は、詳細について既報の文献や参考書がありますのでそちらをご参照ください。

 私は、内水面試験場に異動して、10ヶ月が経過しますが、こちらに異動してくる以前からも、ペヘレイの研究課題は既に終了していることは、承知していたのですが、その後のペヘレイがどうなったかについては、風の便りで聞いた程度で正確には知りませんでした。こちらに赴任して、この点を聞いたところ、試験終了後、数年間は展示などのために、細々と飼育や採卵を続けていたそうです。しかし、これも現在は終了し、最後に採卵してから5年以上が経過しているとのことでした。

 現在、当場のペヘレイは、生き残ったものを本館の横に設置している展示池でコイといっしょに飼育しています(写真1)。ところで、この池に何尾のペヘレイがいると思いますか?何と4尾です!これが、本当に当場で飼育している最後のペヘレイです。

 ペヘレイの増養殖事業は神奈川県の内水面研究を代表する研究課題のひとつでした。彼らがコイといっしょに悠然と泳ぐ姿を見ていると、栄枯盛衰を感じずにはいられません。ある意味で希少魚ですね? 彼らもかなりの老魚です。最後のペヘレイをご覧になりたい方は、お早めに来場されたほうがいいかもしれません。

 写真1 最後のペヘレイ

  写真1:最後のペヘレイ

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クイズの答え:ヒコーキを付けると、両側に伸びた羽に海面の波がぶつかって波飛沫があがります。これより、実際のナブラでシコが海面を飛び出して、バシャバシャと暴れる様子を演出します。ハモノはヒコーキの波飛沫で、餌となるシコが暴れていると錯覚するため、集魚効果があります。

【お知らせ】
 日ごろより御愛読いただきましてありがとうございます。
 本メールマガジンは今月から月一回の発行とさせていただきます。
 今後より一層内容を充実させてまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

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