神奈川県水産技術センター メルマガ496

掲載日:2016年4月15日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  496号    2016年4月15日号

□ 研究員コラム

1 やっかいな鳥 カワウ(内水面試験場 戸井田伸一)

2 トライアスロンで海中観察 (栽培推進部 鳥越賢)

----------------------------------------------------------------

1 やっかいな鳥 カワウ(内水面試験場 戸井田伸一)

  「カワウ」私が初めてカワウを見たのは相模大堰ができる前でした。カワウが来ていると鳥仲間に教えてもらい、早速出かけました。初めてカワウを見た印象は、「でかい!」。こんなに大きな鳥が毎日相模川に来たらどうなるのだろうと心配になりました。

 数年が過ぎ、西湘地域県政総合センターに異動したばかりのことです。酒匂川漁業協同組合の方達と話をしていたところ、黒い鳥(カワウ)が毎日のようにきて困っているという話を聞きました。ロケット花火で脅かしても効果が無く、大切な魚が食べ尽くされてしまうとのこと。早速カワウ対策を考え実行しました。

 最初に行ったのが、スターティングピストル(公式の陸上競技大会などで使うピストル)で容易に追い払うことができました。しかし、しばらくすると、音を無視するようになりました。

 次にカワウが摂餌している飯泉取水堰の魚道付近に案山子を設置したところ、最初の2週間はカワウも警戒しており、若鳥以外は着水しませんでした。2週間を過ぎた頃から着水するカワウが増えたため、漁業協同組合が作成したCDに針金を結んだ物を作成し設置したところ、魚道付近での着水は無くなり、約1ヶ月間は効果が持続しました。

 そこで、日本野鳥の会西湘支部と酒匂川漁業協同組合の協力を得て、案山子の作成と設置を約10年間続け、被害の軽減に努めてきました。このときの成果は日本鳥学会で口答発表しています。

 このような努力にもかかわらず、残念ながらカワウの被害は収束していません。酒匂川における案山子の取り組みも人手不足で続けることができなくなりました。相模川水系では多い日には800羽を超えるカワウが飛来して魚類等を食べています。

 このままではアユを初めとした水産資源に大きなダメージを受けることから、相模川の漁業関係者と相談し、ねぐらとなっている竹等の伐採を土地の所有者の同意を得て、平成27年10月10日-10月28日にかけて行いました。休んでいた約550羽のカワウは全て飛び去り、2月現在この場所ではねぐらとしての利用はされていません。

 なお、伐採による効果を検証するため、毎月カワウのねぐら調査を行っていますが、伐採場所周辺では平成28年3月時点で数羽のカワウを確認するだけでした。この効果がどれくらいの期間継続するか引き続き調査を行う予定です。

 写真1 清水下頭首工付近のねぐら(アップ)、カワウの糞により樹木が枯れている

 写真:清水下頭首工付近のねぐら(アップ)、カワウの糞により樹木が枯れている

写真2 カワウの糞により樹木が枯れている

 写真:カワウの糞により樹木が枯れている

写真3 樹木の伐採後、5ヶ月経過した後でもカワウはねぐらとして使用していない

 写真:樹木の伐採後、5ヶ月経過した後でもカワウはねぐらとして使用していない

(注)清水下頭首工付近のカワウのねぐらは、土地の所有者の同意を得て伐採を行っています

----------------------------------------------------------------

2 トライアスロンで海中観察 (栽培推進部 鳥越賢)

 海を仕事場とする漁師さんといえば、体力のある屈強な姿をイメージされる方が多いと思います。逆に研究者といえば、体力よりも頭を使ってデータと格闘しているというイメージを持たれるでしょうか。

 しかし、自然を相手にする研究は、漁師さんには敵わないまでも、仕事の大部分が体力勝負といっても過言ではありません。

 真冬の海に潜るだの、実験に使う岩を海底からたくさん拾い集めてくるだの、重たいバケツを持って走り回るだの、修行のような仕事が数多くあります。ただ、そんなことで音を上げていたら海の仕事は務まらない、ということで、私も自然を相手にする研究者の端くれとして、日夜体力増強に励んでおります。

 その一環、ということでもないのですが、ここ数年、趣味としてトライアスロンに参加しており、昨年は静岡県の沼津・千葉県の銚子・神奈川県の八景島での大会に参加しました。トライアスロンではスイム・バイク・ランの三種目を続けて行うのですが、職業病か、スイム競技中に海の様子がかなり気になってしまいます。

 沼津はさすが駿河湾という雰囲気で、海岸から泳ぎだしてほんの数mで底の見えない深さになります。泳いでいても魚はあまり見えず、時折素早く眼下を泳ぎ去っていく姿が見える程度です。海岸も砂浜ではなく玉砂利のような状態で、スイムを終えて裸足で上陸するとかなり足ツボが刺激され、それで苦しむ参加者もいるようです。

 銚子は沼津とは対照的に遠浅で砂も細かく、かなり泳ぎ進んだ後でも背の届く深さが続きます。海底がよく見えるので、ハゼの仲間やネズッポの仲間など海底に小さなチョコチョコした魚がいるのがスイム中にもよく見えます。

 八景島は東京湾の人工の島ということで、基本的にはコンクリートに覆われています。

 構造物が多く、カキなどの貝類も豊富です。東京湾といえども、あのあたりは意外と透明度が高く、泳ぎながらいろいろな種類の魚が見えます。

 長時間泳ぎながらそんな観察をしているのは、数多い参加者の中で自分くらいなのではないだろうか、と思いながら、各地の海の違いを感じるのもトライアスロンの楽しみの1つになっております。

 5月には毎年横浜の山下公園でトライアスロンの国際大会が開催されます(2016年は5月14日土曜日開催です)。東京湾もあのあたりまで奥に入ると、やはり透明度は期待できないのですが、見えないながらもそこには数多の魚が泳いでいるはずです。私はもちろん世界大会には出場できませんが、見えない魚のことも考えながら、プロ選手の泳ぎ、走りを今年も応援に行こうと思います。----------------------------------------------------------------

■水技Cメールマガジン(隔週金曜日発行)
■メルマガの配信の変更、解除、ご意見やお問い合わせはこちらのメルマガお問い合わせフォームからお願いいたします。

発行:神奈川県水産技術センター 企画資源部
住所:〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島養老子
電話:046(882)2312

-----------------------------------------------------------------

メルマガTOPへ

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター です。