神奈川県水産技術センター メルマガ494

掲載日:2016年3月18日

神奈川県水産技術センターメールマガジン  494号    2016年3月18日号

□ 研究員コラム

1 本県沿岸の水産資源の動向を発表しました(企画資源部 一色竜也)
2 シラス試験操業(企画資源部 舩木修)

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1 本県沿岸の水産資源の動向を発表しました(企画資源部 一色竜也)

 水産技術センターでは、漁業にとって重要な13種類の魚介類の資源動向を平成27年12月にホームページに公表しました。県内の年別漁獲量の長期変動を基にして、資源量の水準を低位、中位、高位の3段階、直近の資源の変化の傾向を減少、横ばい、増加の3段階で示し、資源の状態をわかりやすく表現しました。 (http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p986010.html

 水産資源は大きく2つの特性を持つといわれています。一つは自律更新する天然資源であること、もう一つは資源量そのものが大きく変動するということです。自律更新する天然資源とは、石油等の鉱物資源のように生産して消費してしまったらそれで終わりという資源とは対照的に、親を適切に残せば次世代が増え自律的に元に戻るか、または増大する可能性がある資源ということです。ただし、一方で水産資源は水温や餌の状況等、自然環境の影響で大きく変動する特性を持つために必ずしも増大せず、逆に減少してしまう危険性も孕んでいるということが言えます。親を適切に残すこと、すなわち乱獲しないことは資源の再生産にとって必要条件ですが、十分条件ではないのです。こうした水産資源の特性の上に成り立つ漁業は、同じ第一次産業で括られる農業に比べ決定的に不確定要素が大きい産業であるといえるのです。

 では、漁業で安定性を保つにはどうしたら良いかでしょうか。大きく2つの方法があると思われます。一つはある一定の魚種を対象とし、新たな漁場をどんどん開拓していく方法です。その昔、まぐろ漁業が沿岸から沖合、遠洋へと進出し、やがては地球の裏側まで到達していったように、もし無限に海が広がっていればかなり効果的な方法です。しかし、当たり前ですが海の広さは限られており、いずれは限界に達してしまう地勢的な制約があります。もう一つは様々な資源を利用する多角的な漁業を行う方法です。多角化できれば、ある資源が減少しても、その代わりとなる資源を活用することによって、資源の枯渇といったリスクを分散させることができるため、漁家経営の安定化に効果があると思われます。ただし、やみくもに多角化を進めると、単一の資源からの利益は減少し、さらに複数の資源を漁獲するためのコストが増大して、漁業の収益性が悪化してしまいます。また、対象とする魚種を見誤って減少傾向にある資源を選択した場合は、さらに深刻な事態になる危険性もあります。したがって、資源の動きに合わせた対象魚種の組み合わせのが、効率的で安定的な漁業にとってキーポイントになります。

 もっとも、沿岸漁業では対象魚種の多角化はすでに昔から行われてきたことで、漁業者の勘と経験、それを支える技によってこれまでも収益を得てきました。しかし、漁業技術の進展で効率的に多獲することによる水産資源の減少圧力や、沿岸海域の環境変化等で漁業者の勘と経験を超えた事例が見受けられるようになってきました。さらに地球温暖化等の気候変動による水産資源への影響も懸念が高まっており、沿岸漁業の収益性を担保できる魚種の選択は今後重要性が増していくと考えられます。

 こうした昨今の状況を鑑み、水産技術センターでは沿岸漁業の漁家経営の安定化と資源の永続的な利用が図られるよう、本県沿岸の水産資源量とその動向についての積極的に発信していこうとの考えにより「神奈川県周辺海域における重要水産資源の動向」を公表しました。漁獲量の変動のみならず、今後はさらに水産技術センターが調査した多様なデーターや、漁業者との対話の中で得た情報等を総合的に解析しながら、情報のブラッシュアップを図っていきます。是非ご覧いただければと思います。

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2 シラス試験操業(企画資源部 舩木修)

 このタイトルでのメルマガは2回目になりますね。

 本県のシラス漁は、ふ化後海に下った稚アユの混獲を防ぐため毎年1月1日から3月10日まで禁漁になりますが、当センターでは解禁後の漁況予測の参考にするため、この時期に試験操業を行っています。

 私は以前にもシラスの担当をしたことがあり、この試験操業に何度か立ち会っていますが、前回のメルマガ(とはいえ12年も前ですが)は、当時はマイワシの資源量が激減していたにもかかわらず、その仔魚であるマシラスが多く採集されたという内容でした(no.29参照)。

 時は流れ、今はカタクチイワシが減りマイワシが増加しつつあります。マイワシが多かった80年代のように、春シラス漁といえばマシラスで始まるといった時代が近いうちに来るかも知れません。

 シラスの漁況予測は正直難しいです。遊泳力が弱いシラスは海況変動、特に黒潮流路の影響をもろに受けます。したがって、資源量が多いからといって相模湾でのシラスの漁場形成にそのまま繋がるとは限らないのです。

 3月11日のシラス漁解禁に向け、予測担当としては試験操業の結果とともに黒潮流路の位置を気にかけながらの毎日になります。

 昨年の春シラスは不漁でしたので、今年の春シラス漁は好漁となり各浜でシラスを干す風景が見れるといいですね。

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