平成31年仕事始め式 知事メッセージ

掲載日:2019年1月4日

日時:平成31年1月4日(金曜) 9時30分から9時50分

場所:県庁本庁舎 大会議場


 明けましておめでとうございます。

 今年は穏やかな新年を迎えることができました。

 そしてまた、箱根駅伝では、このわが神奈川県の雄、東海大学が優勝するという大変嬉しいニュースもありました。

 しかし、きのうは、熊本で震度6弱という地震があった。

 これはまた大変なことになったと思いましたが、意外に被害は少ないようでありまして、ほっとしたところでありますけれども、ああいったことがいつこの神奈川で起きるか、改めてわれわれは気を引き締めなければいけないと思ったところであります。

 さて、きょうは、どんな話をしようかといろいろ考えましたが、もし、タイトルを付けるとするならば、「新しい時代における新しい公務員像を求めて」ということになると思います。

 きのう、NHKのテレビを見ていましたら、この北アルプスに登って、山頂からドローンを飛ばして、今まで見たことが無いような景色を映し出しているという、そういう番組がありました。それを見ながら、ドローンというのは、あんな、気象条件の厳しい北アルプスの山の上でも飛ばして、あんなに映像を綺麗に送ってくることができるようになったのだということを見て、かなりびっくりしたところであります。

 わが神奈川県のさがみロボット産業特区、ここでロボットの実証実験等々をどんどんやってまいりまして、日本のロボットの、この最先端の部分をわれわれが担っているという、そういうプライドがあります。そのような中で、ドローンといったものを飛ばして実証実験をしよう。そのためには、電波法の規制とかさまざまなものが邪魔になるから、それを緩和したエリアを作ろうと特区にしました。

 そういう議論をしていたのがいつだったのかなって。つい先日のことでありました。それが、あっという間にこういうことになっています。このさがみロボット産業特区を振り返ってみても、初めてのこの自動運転、高速道路における自動運転走行システム、この実証実験をしたのがたぶん2013年のことだったと思います。

 その次の年にドイツに行って、ドイツのダイムラーの会長に会って、高速道路を使って自動運転走行システムの実証実験をわれわれ神奈川はやったのだと言ったら、ダイムラーの会長がびっくりして、「そんなにすごいんですか」と。「そんなことが出来るのですか、ドイツでもできません」と。
 その頃は、自動運転走行システムという言葉は、ほとんどメディアでは耳にすること、目にすることは無かったです。ところが、それからあっという間の出来事で、今や自動運転走行システムは、当たり前のようになってきている、そのような時代の変化が起きているところであります。

 そのような中で、元旦の新聞を開けてみると、まあ大きな新聞広告があった。「トヨタイムズ」と書いてありました。トヨタは車の会社はもう止めるのだと書いてありました。車の会社からモビリティの会社になるのだと。トヨタが車の会社を止めるというのはどういうことだろうと。

 実は、そういった担当者と私も昨年の暮れに話をしたことがありました。未来を考えている。未来において、今までの従来型の車社会といったものは、もう全然違ってくるだろうと。むしろ、「車」というキーワードではなくて「モビリティ」。超高齢社会、100歳時代。そのような中で、どうしたらみんなが動きやすく快適に生活できるかという「モビリティ」というところに焦点を当てて真剣に考えているというそのような時代が実はもう起きているわけであります。

 第4次産業革命といった時代の真っただ中にいるのだなということをわれわれは痛感する次第であります。私は知事になって、いつも「スピード感、スピード感」と言ってきました。8年前に私がやってきて、「スピード感、スピード感」と言ったときに、皆さんどんなふうに思われたでしょうか。メディア出身の知事がやってきたから、なんかとんでもないことを言っているなと感じられたかもしれません。当時の私の目に映った県庁職員の仕事の進め方、私の目から見ればスローモーションを見ているようでした。私がいたテレビの報道の最前線というのは、あまりにも慌ただし過ぎたのかもしれませんが、どんどんどんどん時代の流れに合わせて変わっていくということが当たり前という私の目から見て、なんでこんなスローモーションで動いているのかというところがあって、「スピード感、スピード感」と言った。そのようなところだったと思います。

 しかも、その背景には、やはり「時代の流れがどんどん速くなっていますよ」ということでもありました。しかし、そう言った私が、今や、「こんなに速いのか」と驚くような時代になってきています。来年の今ごろは、どんな時代になっているのかなというぐらいのスピード感で動いています。

 さて、そのような中で、公務員たるものはどうあるべきなのかということを根本からやはり考え直す、そのような時代に来ているのではないでしょうか。

 公務員の皆さん、私がスローモーションのように感じたというのはなぜなのか。それは、間違えてはいけない。前例をしっかり調べて、法律をしっかり見据えて、そして絶対に間違えてはいけないというその思いが、何よりも強かった。だからこそ、われわれはこの県土、神奈川県を守っているのだというプライドを持って仕事をされていた。それは素晴らしいことではありますが、従来型の同じ仕事が続いているときには、それは非常に有効な手段でありました。

 しかし、皆が経験したことがないようなことが「ぽんっ」と。新しいテクノロジーで今まで見たことがないような話が「ぽんっ」と飛び出してくる時代に、そういった発想法で向き合うということはどういうことになるでしょうか。

 私が一番恐れているのは、その従来型の公務員の発想法でこういう新しい時代にそのまま向き合っていくと、時代の流れを止める、そういう役割を果たしてしまう、そういうことになりやしないかと大変心配しているところであります。

 つまり、あしたはもう違うかもしれないと、外ではどんなことが起きているのかと、それはやはり柔軟な発想で自分の中に取り入れていく。そういうことがとても求められている、そのような時代ではないでしょうか。

 今までは、前例を大事にする。しかし、これからは、前例にむしろとらわれない。前例は前例として、しかしとらわれない。そして、時代の新しい流れ、それを今まで以上に意識するということ。その時代の流れに自分は乗っていくのだと。新しい流れに乗るということは、少し不安なところがあると思います。しかし、時代の流れには乗っていくのだ。そして、県民の幸せのためにわれわれは一生懸命にがんばるのだと。この公務員魂というものは決して失ってはいけない。

 しかし、発想法そのものは大きく変えなければいけないのではないかと思うところであります。もうわれわれの仕事の中でもそういう面がどんどん出てきています。

 私もびっくりした県庁の中での出来事、マイME-BYOカルテ。未病政策を進めてきて、マイME-BYOカルテ、やはりビッグデータがカギを握っているのだと、多くの皆さんが健康な時から日々の情報をどんどん入れていくと、そういうマイME-BYOカルテの情報、ビッグデータのベースができあがれば、未病政策も大いに前進するし、県民の皆さんの健康維持、増進といったことに対して大きな貢献をするだろうということで、さまざまな形でその加入者を増やそうと全力をあげて努力してきました。

 1年目の目標が1万人でした。何とかクリアできました。2年目の目標が5万人でした。これも何とかクリアできました。ところが、3年目の目標は50万人でありました。いきなり3年目でそこまで飛躍できるのか、私もとても心配をしていました。

 しかし、2年半経った段階で7万人、これは相当厳しいと思っているときに、LINEと包括連携協定を結びました。そして、LINEからマイME-BYOカルテにいくという、そういう仕組みをつくった瞬間に、加入者は突然のごとく跳ね上がりました。桁が一気に二つ繰り上がりました。あっという間に100万人を突破しました。

 これが今の時代の流れの速さということであります。こういったものについて、LINEというものはこういう会社だ、こういうふうな可能性を持っているぞ、それを察知してわれわれに繋げてくれた人がいました。その流れにしっかりとわれわれは向き合って、しっかり手を結んだ。しかも、どこよりも早く彼らと手を結んだことによって、彼らも神奈川のことを一生懸命考えてくれました。それによって爆発的なそういった加入者の増加といった素晴らしい成果を上げることができました。

 LINEを使ったいじめの相談、こういったことも取り組みました。これもわれわれの常識、自分の常識にこだわっているとなかなかできないです。電話で相談するというのはとっても大事なことだと私もずっと思い込んでいました。

 ところが、LINEの幹部の皆さんと話をしたときに、自分でも、時代の流れに十分ついていけてないのだと改めて思ったのが、「黒岩さん、今の子どもたちは電話で話なんかしないのですよ」と。電話は話をするためのツールではなかったのか。では何で話しているんだと、「LINEですよ」と。言ったはいいけど、自分で自分のことを考えてみたら、自分もそうですね。

 かつてだったならば、電話で話をしていた内容、家族とも話をする電話で話をした内容、顔を見て話をした内容。その多くをLINEだ、メールだということでコミュニケーションをとっている自分もいるわけだけれども、それを言われてみて初めて気が付いた、ということであって、それを実際にやってみたら、やはり中学生たちが早速反応してくれた。

 これによって、いじめといった問題、なかなか隠されていて表に見えてこない問題でも、新しい時代の流れのツールに寄り添ってやっていったら、大きな大きな成果を上げることができる。その一つの事例であったということもできるのではないでしょうか。

 この新年明けて、さまざまな論説を見ている中で、こうやって新しい時代、速くなった時代の流れというものを論説する、論調はたくさんありました。

 その中で、私が大いに気になったのは、日本が埋没している。

 かつて、戦後のモノづくりといった中で日本は素晴らしい、世界に向けてモノづくり大国日本といったものでリードするようなそのような時代があった。しかし、今この第4次産業革命だ、ビッグデータだAIだ。新しい時代の変革の中で、どこが、世界のどこがそのリーダー役を果たしているのかといった中で、日本の姿は見えない。こういうことが書かれてあった。

 確かにそうですね。こういったものをわれわれはどう乗り越えていくのかということであります。
 そのような中で、われわれ神奈川県が言い始めた「未病」というコンセプト、これは、私はこういった世界の大きな流れの中で、神奈川県発で新しい発信、新しいステージを自らつくっていく。それぐらい実は大きなプロジェクトである、発想であると確信をしています。

 「未病」という言葉を最初に使おうとしたときに、全員に反対されました。予防でいいじゃないかと言って。

 でも、予防と未病は違う。病気にならないということが予防だけれども、病気になった人には予防という言葉はない。未病というのは、健康と病気はグラデーション、全部つながっているから、どんな状況の人にとっても未病を改善するということは有効な概念なのだと。

 しかも、このビッグデータ、今までのカルテというのは、病気になったときだけの情報でした。病院に行ったらカルテを書くと。健康な人のカルテはなかった。それをさまざまなテクノロジー、これによって日常的なデータを全部取り入れることによって、センサーによって解析することによって、AIによって解析することによって未病状態が見える化するテクノロジーがそこまでやってきた。

 そうしたならば、それを自分でコントロールしていくのだと。自分が主体的に自分の健康に向き合っていく。それが未病コンセプトであります。

 これをわれわれ神奈川県から徹底的に訴え続けたということによって、おととしの2月に政府の健康医療戦略の中に、この「未病」という言葉が入り、その文章が閣議決定されました。

 そして、去年にはインド政府と日本政府との間の覚書の中に、「未病(ME-BYO)」という言葉が正式に入りました。外交文書の中にも「未病」が入った。これはなぜなのか。

 われわれはこの国際展開をしてきた中で、相手のリアクションによって感じるこのメッセージのある種の斬新さ、強さ、といったものであります。あのWHO、世界保健機関が今、「未病、未病」と言って、われわれと全く同じ歩みをしています。

 それはまさに日本発のメッセージだから。日本発のメッセージにどういう意味があるのか。世界で一番早く超高齢社会が進んでいく、それが日本。その中で最も早く超高齢社会が進んでいくのがこの神奈川、それを乗り越えなければいけないという、われわれは危機感を持っている。その危機感を突破する方法が、この「ME-BYO」というコンセプトだ。このシンプルなメッセージがWHOのハートをつかみ、スタンフォード大医学部のハートをつかみ、国際社会から大いに認められている。
今やこの超高齢社会という課題最先進国として、この日本が世界に向けて発信するチャンスがやってきているということだと思います。

 われわれはこういったものを、さまざまなものと組み合わせていく。ロボット技術とも組み合わせていく、そして、まちづくりとも組み合わせていく。どんな街でどんな風に住んでいるのか、その住み方そのもの、どんなコミュニティがそこにあるのか、それが、実は未病改善のためには大変重要であると、そういうことであります。

 私は横浜の若葉台団地を見に行って、びっくりしました。高齢化率の進み方がすごく速い、46%が高齢化。ところが要介護認定率は全国平均をはるかに下回り、ずっと増えない。増えないどころか、かつてよりも減っていると。これは何が起きているのか。現場を見に行って気づきました。コミュニティの力。自分たちのこの若葉台団地を住みよい街にしようしようというその努力。みんなが触れ合っていこう、そしてみんなが笑いあえるそのような社会をつくろう、そういったことの積み重ねによって、素晴らしい成果が出ている。

 これがまさに、世界に発信する超高齢社会のモデルだと思っているところであります。

 人生100歳時代という発想も、われわれ神奈川から発信をし、今や日本でみんなが言うようになりました。100歳時代はどんな100歳時代であるべきか、それは、笑いがあふれる、楽しい充実したコミュニティ、これがしっかりした笑いあふれる100歳時代を目指していく。

 それが間違いなくゴールである。われわれは自信を持って、世界に発信し続けていきたいと思います。そのような中での新しい公務員の姿、公務員像、皆さんとともに模索をしていく1年にしたいと思います。

 どうもありがとうございました。今年も頑張りましょう。