V 実態調査結果 1 調査の概要 1 調査目的 介護保険施設等における身体拘束に関する状況等を把握し、その結果を施設等に周 知するとともに、県としての身体拘束の廃止に向けた取組みを支援する施策・事業を 展開していく為の基礎資料とする。 2 調査対象 介護保険施設及び指定居宅サービス 事業所の種別 対象施設   調査票での略称 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 279 特 養 介護老人保健施設         160    老 健 介護療養型医療施設         53     療養型 指定特定施設入居者生活介護事業所    (有料老人ホーム、養護老人ホーム、 軽費老人ホームA型・B型、ケアハウス) 327    指定特定施設 認知症対応型共同生活介護事業所 (認知症高齢者グループホーム)     501    G H 合   計 1320 *平成21年1月1日現在で神奈川県内に開設している施設を調査対象とした。 3 調査票の配布 平成21年1月30日(金) 4 調査期間 平成21年2月1日から2月28日 5 調査票の回収期日 平成21年3月16日(月) 6 調査内容 別紙「調査票」のとおり 7 調査票の配布・回答の回収方法 調査票は対象施設に郵送で配布し、回答は郵送、ファクシミリ、電子メールにより回収した 8 その他 調査結果の比率(%)は小数点以下第2位を四捨五入して、小数点第1位まで表示している 2 調査結果の概要 【傾向分析及び課題について】 (1)傾向 ○ 身体拘束の実施施設の割合は、前回(平成19年度)の30.3%から今回28.7%に、拘束を 受けていた利用者の割合も3.2%から2.5%に減少している。また、身体拘束の廃止に向けた 取組みをしている施設の割合は、全体の93.2%から95.9%に、身体拘束を行うことによる   弊害の認識・対応をしている施設の割合は、全体の93.7%から95.9%に増加しており、   各項目において、若干ではあるが、改善が見られた。 ○ 身体拘束廃止推進モデル施設の知名度は、62.1%で、前回調査時(50.1%)よりも、大幅に   アップしているが、その活用度は、37.3%(前回36.5%)で、ほとんど変化がない。 ○ 身体拘束の具体的行為11項目以外で「拘束」若しくは「権利擁護を尊重すべき点」として、   目に見えない拘束の廃止、アセスメントの重要性、接遇マナー(言葉、振舞い等の徹底)の   向上など、各施設において幅広く検討している様子が伺える。 (2)課題 ○ 実際に行なっていた身体拘束を行為別に見ると、施設種別により多少の違いはあるが、全体   では、「ベッドを柵で囲む」、「車いすにベルト等をつける」、「ミトン型の手袋をつける」が   前年度同様で上位3項目となっており、具体的行為の中でも、特に身体拘束を外すのが困難な   行為であるといえる。困難事例への対応など、実践的な研修の必要性がある。 ○ 身体拘束の廃止が困難な理由は、前年度同様で「安全のため家族が拘束を希望」、   「職員が少ない」、「事故が起きた場合、家族の苦情や損害賠償請求が心配」が上位3項目   を占めている。また、自由意見からも、家族への説明の難しさや、家族との連携の重要性に   ついての意見が多いことから、家族・一般県民を対象として継続的に普及啓発等を行なう   必要性がある。 ○ 身体拘束廃止推進モデル施設に対する一定のニーズはあるものの、実際にモデル施設を   活用するまでは、至らない施設が多いので、引き続き、認知度・活用度の向上を目指し、周知   等していく必要がある。 1 回収率 ○ 回収率は、82.3%で1,086施設から回答があった。 内訳:特養235、老健123、療養型40、指定特定施設286、GH402であった。 2 調査対象者 ○ 回答のあった施設の調査の対象者は、52,259人であった。 平成21年2月の1ヶ月間に全日施設入所していた利用者(月途中の入退所者等を除く)の 実人数は、特養17,647人、老健11,375人、療養型2,627人、指定特定施設14,631人、 GH5,979人で計52,259人であった。 3 身体拘束の有無 ○ 1,086施設の28.7%に当たる312施設で身体拘束が行われていた。 ○ 52,259人の2.5%に当たる1,328人に対して身体拘束の対応があった。 4 身体拘束の行為別の状況 ○ 「ベッドを柵で囲む」・・・・・・・・35.8%   「車いすにベルト等をつける」・・・・21.4%   「ミトン型の手袋をつける」・・・・・20.4%で全体の77.6%であった。 「Bベッドを柵で囲む」が763人と一番多く「E車いすにベルト等をつける」456人 「ミトン型の手袋をつける」が434人でこの3つ行為で全体の77.6%を占めた。 5 身体拘束廃止が困難な理由 ○ 身体拘束の廃止が困難な理由しては「安全のため家族が拘束を希望」、「職員が少ない」   「事故が起きた場合家族の苦情や損害賠償請求が心配」の比率が高い。 6 身体拘束の「廃止」又は「減少」できた理由 ○ 身体拘束の「廃止」又は「減少」できた理由としては「ケアの工夫をした」、「家族に   理解と協力を求めた」、「管理者が決意し、方針を徹底した」「職員が弊害等を認識し、   意思統一をした」、の比率が高い。 7 身体拘束廃止推進モデル施設の認知度及び活用の有無 ○ 身体拘束廃止推進モデル施設を知っている施設は、約6割強である。そのうち、実際の 活用状況は、「相談した」「見学した」「研修に参加した」を合計すると4割に満たない 状況である。