[2012.10.15 掲載]
スズメバチは日本のハチの中で最も攻撃性の強い仲間で、巣を刺激すると、腹端の毒針などで攻撃してきます。日本には、16種が生息しており、特にオオスズメバチは非常に強い攻撃性を持っています。
人家やその周辺で主に見られるのは、キイロスズメバチとコガタスズメバチです。
働きバチは、幼虫の食物として、いろいろな昆虫やクモなどをとります。また、樹液、花蜜、捨てられた飲み残しのジュース缶などにも群がります。
● 内容
- 身近にみられるスズメバチの種類
- スズメバチの一生
- スズメバチの攻撃行動
- ハチに刺された時の症状
- ハチに刺された時の対処
- 巣の駆除
① オオスズメバチ(学名:Vespa mandarinia japonica)
- 働きバチの体長は、27~40㎜です。
- 北海道、本州、四国、九州、佐渡島、対馬、種子島、屋久島に分布しています。
- 巣は、地下数十㎝の比較的狭い既存の空洞に造られます。まれに屋根裏などに造ることもあります。
- 働きバチは、多いときに500匹に達することもあります。
- 刺症被害は7~11月、特に9~10月に多く発生します。巣の近くを通行し、ハチを刺激した場合に最も多く攻撃を受けます。攻撃相手を脚でつかみ、大アゴで強く噛んで、何度も毒針で刺してきます。
② キイロスズメバチ(学名:Vespa simillima simillima)
- 働きバチの体長は、17~24㎜です。
- 本州、四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島に分布しています。
- 巣は、日本産スズメバチの中でもっとも大型で、直径40~80 ㎝になります。
- 木の枝、崖、軒下、家屋の壁間、屋根裏、土中など、さまざまな場所に巣を造ります。
8月頃、巣の引っ越しが見られます。
- 働きバチは、最も多いとき千数百匹になることもあります。
- オオスズメバチに次いで攻撃性が強く、刺症被害は9~10月に多く発生します。
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③ コガタスズメバチ(学名:Vespa analis insularis)
- 働きバチの体長は、21~27 ㎜です。
- 北海道、本州、四国、九州、佐渡島、対馬、屋久島に分布しています。
- 巣は、主に低木の枝に造られます。
- 働きバチの数は、多い時でも100匹くらいです。
- 刺症被害は7~10月に多く発生します。
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コガタスズメバチの巣 |
スズメバチの一生を下図に示しました。
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・雄バチと新女王バチは、巣外で交尾したのち、新女王バチのみが朽木の中などで単独で越冬します。
・旧女王バチ、働きバチ、雄バチは、すべて冬までに死亡します。 |
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・越冬した女王バチが、 1 匹で巣を造り始めます。昨年以前の古い巣が使われることはありません。
・十数匹の働きバチが羽化すると、女王バチは巣にとどまり、産卵に専念します。 |
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・巣は急速に大きくなり、秋には最大になります。 |
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・雄バチと新女王バチが育てられます。 |
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巣の出入口や外被上にいるハチが、近づいた対象物を注視する一方、一部は巣を離れて、巣の周辺を飛び回ります。
*巣に近づかないようにしましょう。 |
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警戒のため巣を離れたハチが、対象物に接近し、まとわりつくように飛び回ります。
*このとき静かに巣と反対方向へ後退すれば、ハチは攻撃せずにその場から去ります。
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木の枝や軒下などの巣の場合、巣の付着している枝などに軽い振動を加えたとき、威嚇していたハチや巣内のハチが飛び出してきて、対象物に飛びかかり毒針を刺します。
*一刻も早くその場から離れなくてはなりません。追いかけてくることもあります。
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巣に直接触れたり、破壊した場合、巣内の大部分のハチが飛び出してきて、対象物に勢いよく集中的に飛びかかってきます。
*数十メートル離れても攻撃されることがあります。
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- 激しい痛みと腫れを生じます。
- ハチ毒に対してアレルギー体質の人は全身症状を呈したり、死亡することもあります(アナフィラキシーショック)。
- 同時に多数のオオスズメバチに刺された場合、ハチ毒アレルギーでなくても、その毒作用によって死亡することもあります。
抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗ります。アンモニアは全く効果がありません。
症状が激しい場合には医療機関を受診する。過去にハチに刺されたことがある方は、特に注意してください。
お住まいの市町村の担当課にお問い合わせください。スズメバチの巣の駆除に対しては、行政機関で駆除する場合や補助等が出る場合などがあります。
また、自分で駆除することはお勧めしません。駆除業者に依頼して駆除する方が安全です。
(微生物部 稲田 貴嗣)
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